BIO DIESELで挑むダカールラリー

ダカールラリー(通称パリダカ)と言えば、F1と並び、モータースポーツファンならずとも注目を浴び続ける大舞台だが、チームACPメンバーで「エコミッション1999@北米」から活躍してきた“寺ちゃん”こと寺田昌弘選手が、トヨタ車体「チームランドクルーザー(TLC)」のドライバーとして、そのダカールラリーにエントリーすることになった。トヨタ車体本社のある刈谷とは目と鼻の先にあるホテルに滞在している我々は、激励を兼ねて表敬訪問する事にした。

トヨタ車体ダカールラリーのチームスタッフ

トヨタ車体ダカールラリーのチームスタッフ

トヨタ車体本社へ到着すると、ブルーのツナギ姿の寺ちゃんが笑顔で手を振って迎えてくれた。案内されるままシルバーに輝く社屋の角を曲がると、2011年のラリーマシン2台がど〜んと鎮座している。逞しい車体は赤白基調にペイントされ、ボンネットには「BIO DIESEL」とグリーンのロゴが施してある。基本理念に『環境との調和』を掲げるトヨタ車体がダカールラリーに使用する2台のランドクルーザーは、社員や地域の方々の家庭、社員食堂から回収された使用済みのてんぷら油を精製した「バイオディーゼル燃料(BDF)」だけで走行し、過酷なラリーに挑戦しようというのだ。

社内数カ所に設けられた「てんぷら油(廃食油)回収ボックス」には、トヨタ車体社員の家庭から出される廃天ぷら油がペットボトルなどに入って集められていたが、これを含め、現在までに5,000リットルあまりが回収されたという。目標としている7,000リットルまでもう一息だ。集められた廃油は、豊田通商さんに託されたあと、徹底的に不純物が取り除かれ、高度な精製行程を経て、晴れて「バイオディーゼル燃料(BDF)」へと生まれ変わる。昨年までのエントリーでも軽油に20%を混合して使用してきたが、技術革新の恩恵を受け、2011年には2台のマシンが100%「バイオディーゼル燃料(BDF)」での参戦を果たす事になる。

マシンを調整中のガレージで“電気くださ〜い!”とばかりに充電をお願いする。運良くチームメカニックも同席していたので、プリウスPHVのタイヤ交換をお願いすると、本場仕込みのスピードたるや、あっという間に作業が終了。普段、ヘビー級のタイヤを扱い慣れているスタッフにとっては、プラモデルを組み立てるような感覚なのかも知れない。

ランドクルーザーといえば、キャンプなどアウトドアに出かけるSUVとしてのイメージが強いが、世界を旅するとそれは真に“働くクルマ”だと実感する。砂漠や泥水に埋もれた不整地をもろともせず、人や物資を運ぶ逞しいトランスポーターとして、絶対の信頼を得ている数少ない存在だ。それはラリー参戦などで得られたノウハウをクルマ作りに反映させてきた成果でもある。今回の「バイオディーゼル燃料(BDF)」100%使用で得られる情報が、世界で活躍するクルマ達にフィードバックされる日も遠くないだろう。環境メッセージを込めて挑戦するダカールラリーに向けて、頑張れTLC!
(DAKAR RALLY 2011/Argentina-Chile 2011.1.1-1.16)



トヨタ車体 チームランドクルーザー(TLC)

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