8月 8日 2011

清流長良川の船運による物資集散の拠点として繁栄してきた商業の町美濃には、かつての水運港の証として江戸時代に建てられた上有知灯台や商家屋敷が保存されている。古くから特選の和紙や生糸を中心とした経済活動で富を得た商家が屋敷を建立するうちに、通りから目に付く場所にある「うだつ」の豪華さを競うようになった。うだつとは本来、隣り合い連続して建てられている隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものだが、財力を誇示する装飾的な意味に重きが置かれるようになったのだ。

うだつの上がる町を行くプリウスPHV

うだつの上がる町を行くプリウスPHV

豪華な「うだつ」を上げるためには相当の出費が要ることから、裕福な家に限られていた。これが「うだつが上がらない」の語源と考えられている。重要伝統的建造物群保存地区として選定されている美濃町は、別名“うだつの上がる町並み”とも呼ばれ、江戸時代から残る屋敷が連なり、切妻屋根の両側には装飾を凝らした“うだつ”が誇らしげに突き出している。中には国の重要文化財に指定された建物もあるが、ほとんど全ての屋敷が和紙店や旅館、金融業、醸造業、塩問屋など現役の商家として使われ続けているのが素晴らしい。この歴史溢れる“うだつの上がる町並み”は、美濃商人の誇りとして、伝統や文化とともにいつまでも受け継がれていくに違いない。

旧今井家の水琴窟(日本の音風景100選)


カテゴリー: ECO-MISSION2011,東海

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