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ロアール河畔の穴住居

 

中世の知恵を現代に生かす穴居利用
Cave Housing - Taking a lesson from the past:

●10月日10 フランス・ソーミュール
<October 10> Saumur FRANCE

フランス中央部を流れるロアール河畔の小都市、Saumur(ソーミュール)一帯は石灰岩(LimeStone)が多く、18世紀の頃から岩をくり抜いた住居が利用されてきました。夏は涼しく、冬暖かい自然の温度調節機能を生かした快適な住まいとして、現在でも総延長で約1000kmにも及ぶ洞窟が利用されてるそうです。

ただ、さすがに現在では住居としてよりもワインの貯蔵庫や倉庫など、年間を通して12度から16度と一定している洞窟の温度調節機能を生かした使い道が多くなってきており、また、変わったところではキノコの植物園、洞窟の動物園などに生まれ変わっているところもあります。自然環境を現代生活にも上手に取り込み、また町の観光資源としても積極的に利用しています。

エコ・ミッションはワインの貯蔵庫などよく知られた利用方法ではなく、ユニークな洞窟活用を行っている“キノコ栽培&植物園”と“動物園”を訪ねてみました。

はじめは“キノコ園”です。訪問したNeveax Yannickさんの“キノコ園”は、1628年に生活していた記録が残っているという古い洞窟でした。キノコ栽培は1913年から行われていたというのですが、一時中断していたものを、Yannickさんが復活させました。総延長に直すと約2kmもあるという洞窟で、そのうち約600mをキノコ栽培が見学できるように整備しています。

キノコ栽培の実際はコンポストのブロックに菌を植え付けるというおなじみの方法です。ここで栽培されているのはフランスで代表的なキノコの「Champignon de Paris(マッシュルーム)」が80%近くで、残りは「Pleurote(ヒラタケ)」「Pied Blue(レピスタ・ヌーダ)」をはじめ日本から導入された「Shii-Take」など多くの種類が見学できます。

"Le Saut-Aux-Loups"Champignonniere
Route de Saumur a Chinon 49730 Montsoreau
Phone: 02 41 51 70 30 FAX: 02 41 38 15 30


洞窟利用
洞窟利用
キノコ園のオーナー、Yannickさんに石窟利用の現状を聞く。 9世紀頃から教会などの石材が切り出された跡を様々な用途に利用してきた。

さて、もう一つの利用法はさらにユニークです。なんと石灰岩を切り出した跡を動物園に利用してしまったのですから(1961年に開園)。このユニークな動物園はRoire(ロアール川)からちょっと離れたDoueという街にありました。

こちらは洞窟と言うより石材の“露天掘り”の跡を利用したと言った方が正しいでしょうか。巨大な縦穴をキリンの獣舎に利用したり、池に改造してその中に島を造り猿たちのテリトリーを造らせたりと実に上手に利用していました。洞窟のじめじめとしたイメージではなく、ちゃんと輝く太陽の下、動物たちが生き生きと過ごしているのを見て安心しました。

飼育されている動物もゾウなどの巨大動物こそいないものの、前出のキリンを始め、ライオンから虎、熊、そしてニシキヘビなど大概の動物園で見られる動物は全てそろっています(約10ヘクタールの敷地に70種を越す動物が飼育されているそうです)。とくに注目したいのは猿の種類が多いことで、世界の動物園の中でもこれほど様々な種類の猿がそろっている動物園は珍しいのではないでしょうか。

ZOO de DOUE
Parc Zoologgique Route de Cholet 49700 Doue-La-Fontaine
Phone: 02 41 59 18 58 FAX: 02 41 59 25 86


洞窟利用
洞窟利用
まさか動物園に利用するとは……。 キリンや虎、チータ、猿など約70種の動物が暮らしている。

古い生活文化を捨て去るのではなく、利用できるところは巧みに変身させて利用する、ロアール河流域の運河を中心とした文化にふれてみました。

Being rich in limestone, there are many cave houses seen in a small city by Loire River called Saumer. They are still in use today and some of them are those constructed in eighteenth century. Ideally conditioned temperature outside contributes to make the inside houses comfortable all the year; it is cool in summer and hot in winter.

You will learn how nice it is to utilize things that is already available to you which otherwise would be thrown to the bin by looking into Loire River riverside culture.


10月10日<October 10>

ロアール河畔の洞窟利用の現場を見る。

フランス中央部を流れるロアール河畔の小都市、Saumur(ソーミュール)一帯は石灰岩(LimeStone)が多く、9世紀頃から城や教会の石材として大量に切り出されたそうです。そして、その石切場の跡を利用して住居や倉庫が造られ、活用されてきたといいいます。エアコンなどない当時、夏は涼しく、冬暖かい自然の温度調節機能で快適な住まいだったのでしょう。

今でも実際に利用されている洞窟が多くあるというので、先人の知恵を生かした生活を確かめにエコ・ミッションは“キノコ園”や“動物園”を訪れました。ワインセラーや倉庫として利用している例は、ここ以外の多くの洞窟でも見られますが、ちょっとユニークな利用方法としてこの2つを選んで出かけてみました。

そこで見たものは、石材を切り出した跡を上手に利用しているロアールの人々の知恵でした。古いものを捨て去るのではなく、大切に残して、しかもそこから多くのものを得るという、実にエコ・ミッション的な発想でもありました。

また、そこかしこに整然と残る石材を切り出した跡や、途中で中断したままになっていたりする跡を見ると、今まさに石を切り出そうという先人達の息吹が聞こえてくるかのようでした。

10 October, 2000

Loire lakeside caves in use:

Hearing that there are caves that are still in use today, Eco-Emission party visited a mushroom farm and a zoo to see clever use of caves devised by predecessors.

We selected the two places because usage of caves are unique compared to other facilities where caves are normally used as wine cellar or warehouse. In fact, caves we saw in the farm and zoo were “leftovers” of digging for stone. This is an idea of Loire people. They do not discard aged objects, but recycle them for the good of people.

Very eco-emissionlike idea, isn’t it?


今日の隊長のひとこと
<Today's Yokota's comment.>

『石を切り出した跡を、動物園に利用するなんてとても考えれらない。すばらしい発想です!』

 


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