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環境都市フライブルグ

 

フライブルグ市の「環境経済政策」とは
Environ-economic policy in Freiburg city:

●10月24日ドイツ・フライブルグ
<October 24> Freiburg GERMANY

フランスやスイスとの国境に近いドイツ南西部のフライブルグ市。人口20万のこの地方都市が世界で最も知られる「環境都市」と呼ばれるようになったのは、単に市内から自動車を締め出し、ゴミの分別や包装紙を減らしたからではありません。太陽電池、熱電併給システムなど、欧州のベンチャー企業を積極的に誘致した「環境経済政策」の成果が実を結んだからなのです。

すでに現在では環境行政はFreibrug、一市だけの問題としてとらえるのではなく、「スイスのBasel(バーゼル)、フランスのMulhouse(ミュールーズ)、Colmar(コルマール)とも共同で地域システム政策(Regoi政策)を立ち上げ、研究開発機関の連携体制を取るなど、三国間で行われるEC統合の実験場としての役割も担うようになっています」(Freibrug市経済観光担当、前田成子さん)。

ちなみにFreibrugは地理的にはヨーロッパの中心ともいえる位置にあるのですが、1992年10月には国際連合の“地方自治体の為の国際環境機関”ICCLEEIの欧州事務局が設置されることで、名実ともにヨーロッパの環境政策の中心としても機能するようになったのでした。


フィレンツェ
フィレンツェ
freiburg版「夢の島」を訪問。ランドバッサー地区でゴミからメタンガスを回収する現場にて。 これが郊外の“Park & Rider ”の表示板。ここにクルマをおいて都心部には電車で。
 
フィレンツェ
フィレンツェ
リサイクル所にゴミを持ち込む市民たち。毎週月曜は価値のあるゴミの競売が行われる。 環境ビオトープ。新興住宅地にはこのようなせせらぎを作って環境をより良く。

具体的な環境対策をざっと紹介しておきましょう。自動車関連では、住宅地域の速度を下げることによる空気汚染の減少、パーク&ライド・システムを実現するために公共交通機関の充実、自転車の奨励、市内乗り入れ量を制限するため市内駐車場の削減など。都市対策では緑化対策、景観保護対策、環境開発に基づいた全ての建設対策。

そして一番身近なゴミや廃棄物処理対策として分別収集システム、ゴミ埋め立て地とエネルギーの再利用化、ゴミを出さないキャンペーン、専門のリサイクリング仕分け業者支援、建設廃棄物リサイクリング業FEBA設立。エネルギー利用対策としてコージェネレーション・システムによる地域暖房・発電実現、太陽熱エネルギー、水力発電開発。森林対策としてSchwarzwald(シュバルツバルト)の酸性雨被害の研究・対策、など実に多岐にわたっていました。


フィレンツェ
フィレンツェ
太陽エネルギーの電力モジュール組み立て工場、Solar Fabrik。ショールームを兼ねる。 すでに実験は終わっていたが、これがソーラーシステムによるドイツ初の「自給自足住宅」。
 
フィレンツェ
フィレンツェ
街中にも至る所にこのような用水が。そういえば日本の都市にも昔はよく見られたのですが……。 「環境を考えることで国境も越えられるでしょう」(FreibrugのDr. Rolf Boehme市長)。

「環境に対する政策で、クルマを街の中まで入れないようにして、その変わりパーク&ライド・システムを取り入れました。ただ、モビリティは街の中でも必要な場面はあります。環境に優しいクルマの利用を考えるなど、まだまだ検討すべきことはたくさんあります。」お忙しいところ、貴重なインタビューの時間をとっていただいたFreibrug市のDr. Rolf Boehme市長さんは、さらに素晴らしい考えを披露してくれた。

「ECの中で他の国々と環境問題面で一緒にやっていくことで国境もなくなってしまうのではないですか。人間が住むのは“国”ではなく“環境”ということにしましょう。」(Dr. Rolf Boehme市長)。

Apart from getting rid of cars from the city, collecting classified rubbish and ordering retailers not to use unnecessary wrapping stuff, Freiburg city of 200 thousand population has been continuously doing everything it can to keep their surroundings clean and is now known to the world as the most environment-friendly city.

Solar power cell and heat-power supply system are a part of results of their environ-economic policy gained by positively asking for knowledge and techniques of European venture companies.

We are pleased to have a chance to bring the PRIUS into a town where both government and people are keen-eyed on "environmental conservation" too see their reaction to it.


10月24日<October 24>

環境問題も人間の情熱しだい。フライブルグがたどった道。

「黒い森」、Schwarzwald(シュバルツバルト)の端に位置する人口約20万人の大学都市、美しい石畳やゴシック建築の教会を持つ中世の面影を持つ都市、バーデン・ワインの特産地を控えた観光の拠点、等々、Freibrugには様々な顔があります。しかしその中で、なぜ環境都市の評価が定着してきたのでしょうか。それを探るため、エコ・ミッションはFreibrugを訪れました。

環境都市Freibrugの名は今や世界的に有名です。各国から訪れる多くの視察団の多さに、“新たな観光資源”などと揶揄されるくらいなのですが、実はそれも情熱を持って取り組んだ人々がいたからこそ実現したものなのでした。そしてそれは、現在も進行形で推進されていることを確認しました。

興味深いことに、それほど環境対策で有名なFreibrugなのですが、実際に市民に環境問題を問いかけても、期待したほどの答えは返ってきません。「そうですか」とこちらが問いかけたことにあらためて、認識をする、という感じです。実はFreibrugの住民は、こちらが「環境」「環境」と騒ぐほど意識をしているわけではなく、それが当たり前と言った感じで、ゴミの分別収集を行い、リサイクルを行い、そして様々な環境政策を推進する政権を支持しているというわけでした。

環境問題を追って様々な国を訪問しましたが、これまでに気が付いたのは、環境に対する取り組みにも二通りの考え方があるということでした。身近なところで、犬の糞公害を例に考えてみましょう。まずひとつが「犬の糞を放置する市民が跡を絶たないので、政策によって犬の糞を回収するシステムを完備しよう」という考え方。もうひとつが「犬の糞を放置しないように飼い主の啓蒙に力を入れ、自分で処理してもらうよう政策で規制する」というものです。

どちらも“政策”によって犬の糞によって悩まされることが減少する面では同じです。しかし、個人、個人それぞれのレベルでの“環境問題”という点においては、あまりにかけ離れた結果が生まれるのではないでしょうか。どちらがどうという性急な結論は出さないでおきましょう。


今日の隊長のひとこと
<Today's Yokota's comment.>

『環境問題はそれにかかわる人間の情熱しだい。様々な訪問地で共通する感慨でした。』

 


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