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道路開発と環境保全<サンホアキン・ヒル>(6月4日)

ECO-MISSIONの最初の訪問地であるサンホアキン・ヒル(LA)は、自動車道路と自然環境がいかにしたら共存して行けるかのお手本のような場所でした。

環境問題を考える時、ともすれば現実から乖離した理想を追い求めてしまいがちですが、それはあくまで未来をどうすべきか、の研究者たちにまかせて、私たちは、「私たちが今できること」を始めなくてはならない、と痛切に感じさせられる場所でもありました。

日本以上にクルマ無くしては生活の成り立たないアメリカで、「クルマを使うのをヤメなさい」とは誰が考えてもいえません。クルマが走る以上、道路が必要です。その道路を作るには、大切な自然の一部を借りなければなりません。
そこで今回、最初の訪問地とした、このカリフォルニア州の南部に位置するサンホアキンは、まさにどうすれば良いか、を実際に見せてくれたのです。

もちろんこことて万全ではないでしょう。細かなことにこだわる日本人の目から見たらまだまだ出来そうなこともあります。でもまさに、彼らが「今できることを今やっている」という姿にこそ注目するべきなのだと思います。

サンホアキン・ヒルの「環境復興計画」は環境省の野生生物保護局やオレンジ郡、道路工事事務所などが協力して行っています。新たな道路建設にあたって、自然との共存に労力と費用をかけ、LAとしては珍しい有料道路としてまで環境を守り抜こうとする姿勢は、多くの住民に理解・支持されているのです。$1〜$2.25程度の通行料はまた、自動的に支払いが済んでしまうシステムの導入により、料金所での渋滞による環境の悪化も防止しています。

わが国でも各種の「自動支払いシステム」の実験・研究が行われていますが、ここサンホアキン・ヒルのトール・ゲートはすでに日常的に利用されています。我々が通った人手による支払いのゲートより、自動支払いのゲートの方が通行量が多かったことからも、実用度の高さが実感できました。


プリウス・デザイナー<カルティ・デザイン・リサーチ>(6月4日)

プリウスのあの個性的なボディをデザインしたのは、サンホアキンに近いCALTY DESIGN RESEARCH社のアーウィン・ルイさん。奇遇というか、今回のECO-MISSION 最初の訪問地でプリウスは形づくられたのです。


芸術家的な気難しさなどまったく感じられない、とても気さくな方で、気軽にプリウスにも試乗していただきました。普段はMR-2とスープラに乗っているそうで、やはりクルマの大好きな方でした。

アーウィン・ルイ氏講演会
ファミリーセッションでのひとコマ


サンホアキン丘陵(San Joaquin Hills)

カリフォルニア州の海岸線にあるNewport Beachから東南に数十km下ったこの地域は、自然豊かな環境であり、貴重な生態系システムが存在しています。

道路建設やさまざまな開発計画により、自然環境が破壊されそうになりましたが、環境省の魚類・野生生物保護局(FWS = Fish & Wild Life Services)やカリフォルニア州交通局(Calrtans = California Department of Transportation)、オレンジ郡(ディズニーランドがある所)、現地道路工事事務所(TCA = Transportation Corridor Agencies)などが協力して、できるだけ環境を破壊しないようなプログラムを実践し、成功した地区なのです。
いまもFWSが主体となってこの地区一体の環境復興計画が行われています。1992年FWSは、この地区に生息する30種類以上の動物や植物の保護プロジェクトを開始しました。その中でも、大きな成功例として注目されているのが、San Joaquin Hills Corridor(SJHC)です。これは、Newport Beachから東南のSan Joaquin Capistranoを結ぶ15mile(24km)の有料道路です。
複数の野生生物の棲息地をできるだけ維持しながら行われたプロジェクトで、湿地帯や塩水の沼地、低木林などを再生して環境との調和を図りました。
この地区は交通渋滞が激しいことで有名でしたが、通行料の支払いにプリペイドカードが利用できるようにしたため、料金所での渋滞も減り、7.5mile(約12km)間で従来より20分程度早く通行できるようになりました。
また、工事期間中に4万点もの化石が発見され、現在はLegacy in Stoneという博物館に展示されています。

担当部署:TCA
工期:1993年9月〜1996年11月
開発予算:約15億ドル(約180億円)
環境緩和対策
野生生物の交差点:4箇所
復元した雑木林:約262エーカー(約100ha)

調査のポイント
今回の訪問では、自然と融和した有料道路のドライブを楽しみ、通常の有料道路建設費の数倍もの予算を費やしてまでも自然環境保全を行った道路建設政策の本音を探ります。
また、回復された自然環境において、めずらしい動物などの撮影に挑戦し、その全貌を明らかにしたいと期待しています。


6月4日
ECO-MISSION隊は無事ロスアンゼルスをスタートいたしました!

我々を応援、支援して下さっている皆様、どうもありがとうございます。

これから一路ニューヨークを目指してプリウスとともに北米大陸を走り回ります。

スタート・セレモニーに参加していただいたUSトヨタの大勢の皆様、そしてかけつけていただいた報道関係者の皆様、どうも暖かい拍手をありがとうございました。

はからずもUSトヨタの石坂社長様からも、「無事ニューヨークに着くように」とのスピーチをいただきまして、スタッフ一同身の引き締まる思いで、ロスアンゼルスを後にいたしました。


今日の横田隊長のひとこと
『Thank you for best support!』

いざ、出発!

 


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