鶴見川源流の泉

エコミッション2010@ジャパン最終ステージは、すばらしい晴天で幕を開けた。多摩丘陵の低山帯を蛇行しながら続く道を走ると、尾根を越えるたびにすうっと視界が開け、初冬の澄んだ青空が広がる。

首都圏の都市河川の代表格として多摩川や利根川は頻繁に話題となるが、ここ鶴見川はマイナーな存在だ。高度成長期を支えた京浜工業地帯へ注ぐ「どぶ川」のイメージが強く、一級河川の水質調査ではワースト1の汚名を着せられていたためだろうか。しかし、他の多くの河川は遡って水源地を訪ねると深い山々に恵まれているが、そもそも鶴見川にはそれが見当たらず、流域全体が都市部に埋没しているというハンディがあるのだ。ひとたび雨が降ると、保水能力のない流域からドッと水が押し寄せて水害をもたらす「暴れ川」としても知られ、治水のためにコンクリートで護岸され、川と触れ合う機会を失った気の毒な一面もある。

「水源地はどんな所なのか?」疑問を解決すべく、地図を頼りに川の途切れる場所を目指してプリウスPHVを走らせた。
盆をいくつも伏せたように連なる丘は隙間無く住宅が密集し、取り残されたように点在する雑木林や田んぼをつなぐように流れる鶴見川の水面が輝いて見える。20kmほど遡り、地図に記された河川が途切れそうな地点でも、普通の住宅地が続いている。もしかしたら、一般家庭の水道の蛇口が水源かも知れないなどと冗談話をしていると、急に道幅が狭くなり、雑木林の丘の麓に小さな流れを見つけた。

「鶴見川源流の泉」。直径5メートルほどの池の真ん中から、澄み切った水塊が盛り上がるように沸き上がっている。標高200メートルにも満たな雑木林は、一級河川の源流という重責を必死で支えているようで、愛おしくも思える。尾根の向こう側は分水嶺でメジャー河川“多摩川”へと注ぐが、「負けるな鶴見川の源流!」とエールを贈りたい。いつまでも残して欲しい大切な場所だ。

ワースト河川とされてきた鶴見川も、1980年頃から大規模な浄水場建設や下水道整備が進み、少しずつ水質が改善されるようになると、流域の人たちが川へ戻ってきた。特にこの10年は環境意識の高まりとともに、クリーンナップ作戦や野鳥観察会など官民一体となって汚名返上に取り組んでいる。その成果は「鶴見川の鮎」という嬉しいカタチとなって現れた。数年前から遡上が確認され、毎年のように規模も場所も増加しているという。また蛍、カワセミといった清流にしか棲めない生き物も徐々に戻りつつあり、昨年は“川へ入って遊ぶ事ができる”レベルにまで回復を見せはじめている。

古くから水と共に暮らして来た“郡上八幡”では、源流の泉の清い流れをできるだけ損なう事なく下流へ繋ぐ事をあたりまえのようにして来ている。流域のほとんどを都市に囲まれた鶴見川にこそ、こんな意識が求められるのかも知れない。

鶴見川源流の泉” への2件のコメント

  1. ついにファイナルステージ開始ですか。
    天候も祝福してくれている気がします。
    お気をつけて。

  2. ootaharaさん コメントありがとうございます。
    仰る通り、スタートから今日まで良いお天気に恵まれています。明日は牡鹿半島女川港へ行きます。どんな空模様になるやら。