下水道処理の汚泥から作られた“世界初”の水素を満充填してスタートした「Hydro Challenge @ MIRAI」は、周南〜尼崎400.8kmを無補給で駆け抜けた。
現状では水素ステーションの営業は週末を除く9:00〜17:00と制約はあるものの「水素の道」を実証できた事を報告するため、トヨタ本社を訪れた。
エントランスでは、田中チーフエンジニア(以下CE)を筆頭にMIRAIの開発者の方々が盛大な拍手で迎えてくれた。予想もしていなかったサプライズに胸が熱くなり、あらためて最長区間を走りきった喜びがこみ上げて来る。
MIRAIから降りるのを待ちわびるように、いっぱいの笑顔で迎えてくれた田中CEと、がっちりと握手を交わす。他に先んじて水素燃料電池車の量産化を成功させた誇りが、力強い手のひらから伝わってきた。
これまでの旅のエピソードを話しだすと、開発者の方々の表情は一変し真剣そのもの。MIRAIに向けた意識の高さがこのクルマを生み出す原動力となり、これこそが新しいクルマ作りに欠かす事の出来ない「エンジニア魂」なのだと強く感じる。次世代を牽引する誇り高きトヨタマンの新たな挑戦は、どんな未来を見せてくれるのか。
東京タワーのゴールへ向けてハイウェイに上がる前に、水素ステーションを併設しているとよたエコフルタウンに立ち寄った。
ここは水素燃料電池をはじめ、暮らしに広がるさまざまな新技術を紹介する施設。環境教育のスポットとしても人気が高く、この日も大型バスが到着するたびに、大勢の見学者が降りてくる。
豊田市が企画したふるさと納税「ミライ・チャレンジコース」は1万円以上納付すると、MIRAIを1日借りられるというユニークなもの。これが3日間で300人を越える予想以上の人気ぶりで、申込者の試乗がこの先もしばらく続くという。
水素の充填を終えて出発しようとしているところへ、2台のMIRAIが戻ってきた。まだまだ希少なMIRAIの3ショットに見学者たちも大喜び。スマホを取り出して撮影会がはじまった。
トヨタ本社では田中CEはじめ開発者の方々から熱い気持ちを受け取り、とよたエコフルタウンで一般の暮らしに浸透しつつある水素社会を感じながら、MIRAIの生まれ故郷をあとにゴールの東京タワーへと舵を切った。