神奈川県のサインボードを過ぎた頃からクルマが増えはじめ、やがて渋滞に掴まってしまった。エンプティランプが点灯して数キロ、ゴール目前でのノロノロ運転がもどかしい。
首都高3号線の渋谷を過ぎた辺りから渋滞は解消しペースが上がりだした。谷町JCを右へ進むと待ちわびた東京タワーが現れた。見慣れたはずの東京タワーをこれほど愛おしく思った事はない。
“ささやかな冒険”1,200km達成!
「イワタニ水素ステーション 芝公園」で待っていたみなさんから惜しみない拍手と声援をいただきながら感動のゴールを迎えた。
100年かけて整備されてきた「ガゾリンスタンド」というインフラに頼らない新種のクルマ、水素燃料電池車MIRAIが生まれた。
兵庫県尼崎市に日本初の「商用水素ステーション」が誕生してから1年しか経っていない今、MIRAIで旅はできるのか?
そんな単純な疑問から始まった“ささやかな冒険”を、MIRAIは確実に、そしてしなやかに駆け抜けてゴールした。
最長区間400.8kmを含めた全ての道のりが新しい発見の連続だった。滑らかなスタート、低重心からくるコーナーリングの気持ち良さ。単なる移動手段ではない魅力的なクルマは多いが、MIRAIもそのひとつに数えられる存在だ。クルマを降りた後にも独特なフォルムに視線が集まり、たくさんの人が声を掛けてくれる。
「良いクルマですね。でも、そばに水素ステーションが無いからなぁ。」
そんな言葉が多く聞かれた。
水素ステーションを繋ぐ福岡〜東京1,200kmにチャレンジしている事を告げると、目を丸くして驚きながらも、水素社会の到来を期待している様子が伺える。2020年オリンピックイヤーを迎える頃には、多くの水素燃料電池車が街を往き交い、一般住宅のエネルギーとしても水素が広まっているだろう。新しい時代の幕開けにMIRAIに関われた事が何より嬉しい。
トヨタ自動車、岩谷産業、福岡市中部水処理センター、九州大学をはじめ、このチャレンジを支援していただいた全ての方々に感謝いたします。