棚田の荒廃を食止めるヤギの食欲

全国的に山間部の集落では過疎化が進み、特に棚田や段々畑など農耕機が使えず人力に頼らざるを得ない農地の荒廃が問題となっている。一度開墾した土地には、元来の森には見られない昆虫や蛙など多様な生物が共生をはじめるが、人の手が入らなくなると彼らは行き場を失い姿を消す。加えて、雑草が生い茂る荒廃地は猪や猿の絶好の隠れ家となり、近隣の農作物を荒らされたり、時には噛まれるなどの被害が増加しているというのだ。そのまま放置しても、開墾以前の森に戻るには100年以上も掛かり、古代の環境サイクルを取り戻すのは困難だと言われている。

遊休農地や田畑周辺の雑草をヤギに食べさせて保全を図るモデル事業が行なわれていると聞き、岡山県赤磐市沢原地区を訪ねた。岡山市内から岡山県庁農村振興部の杉さんの運転するEV車に先導してもらい、地元振興組合がボランティアで運営する「城山牧場」へ到着。野原を走り回るヤギ達の歓迎を受けた。

飼われているヤギは一般的な日本ザーネン種。傾斜地や段差のある場所も身軽に飛び回り、親ヤギ1頭が1日に10kgもの草を食べる。城山牧場では県内の山間部を中心とした遊休農地に3〜4頭の“ヤギチーム”を無償で貸し出しているが、1ヶ月も経つと見違える程きれいに刈り込まれた田畑が姿を現すとあって、荒廃に悩む多くの地域組合からの要請や問い合わせが絶えないという。

離島などで野生化したヤギが、森林や草原を食べ尽くしてしまうなどの深刻な環境破壊が問題となっているが、犬に次いで古くから人間に飼われていたというヤギは、しっかりとコントロールしながら付き合えば、自然との共生に一役買ってくれるという良い例がここにあった。牧歌的な風景の中、ただただ無心に草を食む愛嬌たっぷりのヤギ達に癒された1日だった。

愛嬌のある表情からは想像できない食欲

愛嬌のある表情からは想像できない食欲

棚田の荒廃を食止めるヤギの食欲” への1件のコメント

  1.   近くに住む者です。

      山羊はかわいく、その上よく食べますね。

                 アッパレ!!!

      これからもたくさん沢山食べてね。

          ☆そして、私たちの目も楽しませてね。☆

    そして、お世話になってる方に  感謝!!