遥か太古から、人の暮らしと密接に関係しながら豊かな自然を育んできた水辺の風景を求めて、昌寧(チャンニョン)郡にある韓国最大の自然内陸湿地「牛浦(ウポ)沼」を訪れた。
洛東江(ナクトンガン)流域に広がる854ヘクタールの広大な湿地帯の総称を「牛浦(ウポ)沼」と呼ぶ。釜山からクルマで2時間ほど北上、いくつかの丘陵地を越えた先に「UPO WETLAND」の入口が見えてきた。
緩やかなワインディングを進むと、コーナーを曲がるたびに地域総出でニンニクの収穫作業に精を出す姿が見られる。これほど大量のニンニクを一度に目にしたのは初めてだが、あらゆる韓国料理にニンニクが使われているのだからそれもうなずける。
調べて見ると、この地域一帯は沼地を干拓した肥沃な土壌ゆえニンニク栽培に最適で、一大生産地として知られた場所だった。稲作とニンニクや玉ねぎなどを年間を通じて絶やす事なく栽培しており、落ち穂などの餌が豊富なため、多くの渡り鳥が越冬や繁殖のために飛来する環境が整っているのかも知れない。
駐車場にプリウス&プリウスPHVを停めて歩く事10分。散策路の林を抜けた先に、広大な沼地が現れた。さわやかな風が吹き抜ける浅瀬で、数羽の水鳥達が何かを啄む姿が見える。
深い場所でも水深1m程度の浅い沼地にも関わらず、水が腐敗する事は無く清浄な環境が保たれているのは、好気バクテリアがアンモニアなどの有害物質を十分に分解できているという証しだ。水草が酸素を供給し、水生昆虫やミミズ、泥をかき混ぜる淡水貝類や魚類などがそれを手助けしている。湿地の環境を維持するすべての生態系バランスが保たれているのは、実際に訪れて見れば一目瞭然。気温30度と真夏の陽気にも関わらず、弱った沼地のような「ドブ臭さ」は一切感じられない。
一時は農薬の乱用などで生物の生息数が激減した事もあったが、1998年、ラムサール条約保存湿地として登録されて以降は急速に保全活動が進められ、見事に生態系を復活させたモデルケースとして注目されているが、その施策は“微生物にストレスを与えない環境づくり”と言ういたって単純明快なもの。その効果は如実に現れ、現在は342種にも及ぶ絶滅危惧種が生息するようになったという。
保護区を散策していると、サンドカラーの制服を着た女性が話しかけてきた。より多くの方に牛浦沼の素晴らしさを知ってもらおうと活動するボランティアガイドさんだ。この湿地の成り立ちから生息する生き物の事まで、非常に高いスキルで丁寧に解説してくれた。
ボランティアガイドのチェさん【トキの解説】
日本でも絶滅してしまったトキですが、ここ牛浦沼でも1979年に観察されたのを最後に姿を消してしまいました。農薬の乱用で餌となる魚貝類に蓄積した毒素が原因で孵化率が低下したためだと言われています。現在は中国から譲り受けた個体から復元事業を始め、60羽が施設内で飼育され野生放鳥を目指しています。
牛浦沼では無償で参加している14名のボランティアガイドさんが保護区内を巡回し、生物図鑑などをインストールしたタブレット端末で丁寧に解説してくれる。その中にひとりの日本人も居るというので楽しみにしていたが、残念ながら今日はお休みしているとの事、もしも牛浦沼を訪れる事があれば、入口受付で聞いてみてはいかがだろう。水辺の生態系を熟知したガイドさんのスキルの高さに驚かれるはずだ。
美しい景色の中でPHVデイキャンプ
せっかくフィールドへ出掛けるのだから、久しぶりにプリウスPHVの電気でランチを作り、デイキャンプを楽しもうと、釜山市内のマーケットで食材を仕入れて出掛けていた。その話を聞いた韓国カー雑誌社「自動車生活(カーライフマガジン)」の編集長が同行取材を申し出てくれた。
管理事務所でデイキャンプが出来る見晴らしの良さそうな場所を教えてもらい、15分ほど走って沼の対岸まで移動し広い草原にクルマを停めてセッティング開始。
プリウスPHVの横にテーブルと椅子を並べ、電気を取り出す「ヴィークルパワーコネクター」を差し込んで準備完了。電気ポットでお湯を沸かし、電気グリルでウインナーを焼き、電気鍋でコーンクリームスープを煮込み、トースターでパンを焼く。もちろん電気はすべてプリウスPHVで賄っている。
“何もない”草原でホットサンドとスープでランチが出来る贅沢な時間を満喫できた。
同行取材したカーライフマガジン編集長とカメラマンは、まさか本当にこんな事が出来るなど思いもよらなかったと驚いた様子。韓国で初めてプリウスPHVの電気を“実際に使う場面”を取材できたと大いに喜んでいた。
韓国滞在の最後に、美しい牛浦沼のほとりでプリウスPHVデイキャンプという贅沢な経験ができました。
近くて遠い国などど揶揄されている韓国は、旅して見れば何度でも訪れてみたいすばらしい国でした。
カテゴリー: ECOMISSION2014,韓国
トラックバック Uri