昨日からの雨が季節を早送りしたのか、今朝の気温は18度と肌寒く、しかも雨が降り続いている。今日は史跡「払田柵跡(ほったのさくあと)」を訪れて野外を歩きまわる予定なので、天気とにらめっこしながら回復を待っていると、昼近くなって、ようやく空が明るさを取り戻してきた。
1900年頃、仙北市周辺の水田から、1辺が30cmもある角材200本余が掘り出された。当時は燃料や下駄の材料に加工されたりして売られていたが、その中に文字が書かれた木片が見つかり、敦煌出土の「木簡」に似ていたことから、遺跡としての調査が始まったという。発掘調査を進めて行くと、二重の柵に囲まれた平安初期(800年頃)の城柵跡で、外柵が囲む城内の広さは、何と東京ドーム18個分(878千平米)にも及ぶことが分かった。東西南北の門構えや、外郭柵の内側の丘からは正殿など政庁跡としての証拠も見つかったため、平安京を模したものと考えられている。縄文からの伝統と風土に恵まれた東北の地を、平安の中央政府が律令国家の領域に取り込むために攻め入った際に、行政と軍事機能を備えた城柵が「払田柵跡」なのである。
総合案内所に併設された資料館で予備知識を頭に入れ、雨上がりの柵内を散策することにしたが、東京ドーム18個分というのだから何しろ広い。外柵に復元された南門まで150m、正殿までは1km以上はあるだろう。ふと資料館入口に目をやると、レンタサイクルが並んでいる、しかも無料で借りられるのだ。ハンドルにぶら下げてある案内カードには、走行出来る場所とそうでない場所が色分けされているので、史跡を痛める事もないだろう。早速申し込み用紙に記入して何年ぶりかのサイクリングに興じる。
広大な平安の景色を眺めながら自転車をこぎ出すと、雨上がりのひんやりとした風が心地よく、思わず顔がほころぶ。史跡の案内サインを目当てに自転車を走らせ、広大な史跡を楽しく観て回る事ができた。以前エコミッションで訪れた平城京などのやはり広い場所でもこんなサービスがあったら良いと思う。もしも「払田柵跡」を訪ねる機会があれば、レンタサイクルで見学する事をおすすめしたい。
広大な「払田の柵」はレンタサイクルがおすすめ
カテゴリー: エコミッション2012,秋田県
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