どんよりとした空模様の下、青森県での日程を終えて東北自動車道を南下すると、頂に雲をまとう雄大な岩手山がその堂々たる姿でこちらを見下ろしている。花巻I.Cで国道に下り、幾つかの峠を越えた先に“日本の原風景”が色濃く残る「GazooMura遠野」が見えてきた。小雨がパラつく生憎の天気だが、それがむしろ遠野にふさわしい幻想的な風景を際立たせているように感じる。
遠野市内へ向かう途中、高い石垣の上に分厚い茅葺き屋根の伝統的な住居「千葉家」を訪れた。この地方に伝わる「曲り家」は、母家に馬屋を取り込んだL型の伝統的な住居だ。特に、国の重要文化財に指定されている千葉家は、江戸末期に建てられた大型の曲り家として豪農の屋敷構えを現在に伝える。千葉家は築後200年を越えた今も住居として使用されているが、一部を除き一般公開されている。
幾代にも渡る語り部たちが継承してきた“民話のふるさと”遠野に伝わる“オシラサマ”や“カッパ”、“ザシキワラシ”などの昔話は、独特の世界感をもって聴くものを魅了する。子から孫へと語り継がれる伝統・文化を絶やさぬようにと、十数人の語り部たちが集まり「いろり火の会」を作っているという。会のメンバーで長年語り部として活動している小松敦子さんをお招きし、地元の子供たちを交えて話してしただいた。「むがす あったずもな」で始まり「どんどはれ」で終わるやわらかな方言で語られる民話の数々に聴いている皆が引き込まれ、遙かむかしへタイムスリップするひと時を満喫することができた。
民話の語り部さんのお話
カテゴリー: エコミッション2012,岩手県
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