9月 25日 2012

能代エナジアムパークに到着

能代エナジアムパークに到着

市街地を抜け、空を突き上げるように建つ2本の高い煙突を目指すと、日本最大の防砂林「風の松原」が横たわる海岸線の先には、パイプラインやベルトコンベアで連結された巨大な建物が建ち並び、まるでひとつの生き物のように鼓動している。もしもここが発電所だと知らずに迷い込んだとしても、ここから生み出される“エネルギー”を感じ取れるに違いないだろう。

先日の澄川地熱発電所に引き続き、今回は火力と風力発電所のある秋田県能代市を訪れた。場内の案内看板に従って、発電所に併設されたPR館「能代エナジアムパーク」に立ち寄り、発電所内を案内してくれるツアーを申し込んだ。東日本大震災以来、その依存度が高まる火力発電所とはどんなものかを間近に見学できるのだ。しばらくすると専用車両が到着、洗練されたユニフォームを身にまとった女性コンパニオンのアナウンスでツアーがスタートした。

富士山のように積み上げられた石炭

富士山のように積み上げられた石炭

ひと口に火力発電と言っても、石油や天然ガス、石炭など数種類の使用燃料によって発電コストや付帯設備が異なるが、能代火力発電所は国内で40%シェアの石炭を使用している。(1970年代のオイルショック以降、主流だった石油から石炭と天然ガスに移行している。)58万トンの備蓄能力を誇る貯炭場には、いくつもの巨大な石炭の山がそびえ、かなり長期間発電できるのでは?と思ったが、たった60日で空になるというから驚きだ。月に一度300mを超す大型タンカーによって、オーストラリアやインドネシアから運ばれてくる石炭は年間300万トンにも及ぶ。

燃焼効率を上げるためにパウダー状に粉砕された石炭をボイラーに噴きつけて燃焼し、水を高温高圧の蒸気に変えてタービンをまわして発電している。電気エネルギーが生まれる場所、唸りを上げるタービン建屋に入ると、発電所という生き物の鼓動に圧倒される。本を読む時に点ける電気スタンドも、お湯を沸かすポットも、仕事で使うPCも、ここから生み出された電気を分けてもらっていると思うと感慨深い。能代に限らず、全国の発電所でも申し込みをすれば見学できるので、機会があれば直に鼓動を感じていただきたい。

最後に敷地全体が見渡せるタービン建屋の屋上に案内された。109万平米(と言われてもピンと来ないが)の広大な埋立地を眺めていると、社会を支える電気を生み出すというのは、大変な労力とコストが掛かるものだなと、つくづく考えさせられた。風にそよぐクロマツの防砂林「風の松原」の遠方には、この後見に行こうとしている、風力発電の風車がゆっくりと回転するのが見えた。

入社3年目とは思えない程、明るく流暢な解説をしてくれたコンパニオンの児島さん、
東北電力の方々、色々な質問にも丁寧に答えていただきありがとうございました。

海岸線に600kw24基と1500kw17基が並ぶ

海岸線に600kw24基と1500kw17基が並ぶ

引き続き能代火力発電所に隣接する2つの風力発電所を訪れた。日本最大の防砂林に象徴されるように、ここ能代は通年にわたり日本海から強風が吹き付ける風力発電の適所として開発が進められて来た。砂浜には直径44m(600kw)が24基、直径70m(1500kw)が17基が林立している。全国的に見てもこれだけの規模で、しかもすぐ真下までクルマで近づける場所は珍しい。青空をバックに白いローターがゆっくりと回る姿は、いつまで見ていても飽きることがない。これは私が風車好きな事もあるだろうが、先程まで感じていた火力発電の圧倒的なパワーに比べ、風を受けて発電する姿に「健気(けなげ)さ」を感じるからかも知れない。

日本海からの風受けて回る風車

日本海からの風受けて回る風車

大小合わせて41基の風車の発電量は最大で74万kw弱と、能代火力発電所の半分にも満たない。そして、先日訪れた澄川地熱発電所は5万kw強。電気エネルギーとは縁深いプリウスPHVで東北地方の各種発電所を訪問してみて、エネルギー自給率の極めて低い日本にこそ、自然エネルギーの更なる技術革新が必要なのだという事を肌で感じることができた。

八竜町風力発電所

昨日は記事をエントリーすることができませんでしたが、その理由は明日わかります。
神々しい樹々と、そこに息づく伝統のお話。お楽しみに。



カテゴリー: エコミッション2012,秋田県

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