宮崎の梅雨は明けて

君たちが運転する頃にはPHVが主流になっているかも知れない

宮崎へ来て初めての朝は曇天。重く湿った空気がまとわりつくようだ。出発の準備をしていると大きな入道雲の彼方から、ゴゴゴ・・・と低く唸るように雷が鳴りだし、やがてボツボツと大粒の雨が落ちてきた。抱えたバッグをトランクルームに放り込み、大急ぎでドアを閉めると急かされるように宿泊先を後にする。

次第に激しくなる雨の中、今日の訪問先である「宮崎トヨペット花ケ島店」に到着。
何しろまだ見ぬプリウスPHVにはスタッフの関心も高く、開店準備に忙しい時間帯にも関わらず、多くの方に取り囲まれた。さっそく“電気くださ〜い”と、充電をお願いする。恒例のセレモニーのごとく社長さんにプラグを接続してもらい充電開始。
外を見るとあれほど降っていた雨は止み、真っ青な空にはぎらぎらと太陽が照りつける最夏の陽気に急変していた。

朝からオイル交換や点検整備などで大勢のお客様が来店してくる。初めて見るプリウスPHVに質問が集中、私たちACPメンバーも、ここまで運転してきた感想や、充電に関する基礎知識などの話題でお客様の対応をさせていただいた。

飛行船を描く子供たち。みんなうまいなぁ!

週末とあって家族連れのお客様も多く、子供たちの明るい笑い声に癒される。
日本グッドイヤーが募集している「飛行船お絵描きコンテスト」の画用紙に、楽しい飛行船や未来の乗り物を描いてもらった。夏休みの間、ポスターが掲示されたディーラーやカーグッズショップなどで受付ていて、入賞するとプレゼントが貰えるとか。
子供だけじゃなくて一般の部もある。家族そろってのお絵描きもたまには良いもの、応募してみてはいかがだろうか。

進化を続ける水俣市

水源地のひとつ寒川へ

八代のホテルを出て南九州西回り自動車道という出来立てホヤホヤのルートで水俣市へ向かう。まだカーナビに登録されていないため破線が表示されるだけで道案内をしてくれない。水俣市と記されている真新しい標識を頼りに進むと予定時刻より20分も早く到着した。

水俣市へは以前、エコミッション・ジャパン(2001年)で訪れている。“環境”とか“エコロジー”という意識が芽生えたばかりの当時にあって、資源ゴミの回収システムを高度に発展させ、水俣市から回収されるゴミを「ブランドゴミ」と言わしめるまでになり、日本のみならず世界中から注目されていた。あれから10年。市民活動から始まった素晴らしい取り組みの“その後”を知りたくて再びこの地を訪れたのだ。

水俣市役所を訪問し、プリウス PHVに“電気くださ〜い!”と充電をお願いした。週末をひかえた金曜日のせいか混雑する駐車場の一角をお借りして充電を開始すると、もともと環境意識の高い土地柄、大勢の方が集まってプリウスPHV談義が始まった。他の地域では燃費や車両コストに話題が集中する所だが、環境性能に対する関心の高さに驚いた。市役所の公用車として近々PHV車両を導入し、充電設備も整える予定だという。

グリーンカーテン脇で充電中

環境モデル都市推進課で環境問題を担当されている草野さんからお話を伺う事が出来た。ゴミ問題から始まった環境への取り組みによって、いち早く環境モデル都市宣言をした水俣市は、市民と行政が手を取り合い、常に一歩先を行く活動を目指しているという。

お世話になった市役所の草野さん

草野さんに水俣市の水源地のひとつ、久木野にユニークな村おこしを実践している「愛林館」という施設を紹介していただいた。久木野の谷間には美しい棚田が幾重にも連なり、その周囲を包み込むように照葉樹の森が形成されたすばらしい景観が広がる。ここでは頻繁に企画されている労働ボランティアを受け入れた棚田や森林での作業体験に、県内外から多くの人が参加している。館長の沢畑さんの人柄に惹かれ、毎回のように参加するリピーターも多いという。

愛林館をはじめ、海岸や市街地などを案内して頂いた市役所環境モデル都市推進課女性スタッフから、10年前に訪問した時にお会いした「水俣のブランドごみ生みの親」地域婦人会長の坂本ミサ子さんが、いまも精力的に活動されていると聞き、訪ねてみる事にした。突然の訪問にも関わらず、快くご自宅へ迎え入れていただき、お話を伺う事ができた。

環境問題を情熱的に語る坂本さん

年齢を感じさせない凛とした表情が、今日までの活動のブレない信念を物語っていると感じた。坂本さんは現在でも年に一度は海外へも出かけ、各地で講演活動などを続けているという。また、2006年には産業廃棄物最終処分場計画の白紙撤回を求める地元市民グループ「水俣の命と水を守る市民の会」の代表に立ち、水俣市人口3万人余りのうち2万1000筆の反対署名を集めて計画を撤回させるなど、今だ水俣の環境保全活動の中心で活躍されているのだ。

“夏の暑い日にグランドで汗を流して遊んだ子供たちが、水道の蛇口をひねって水を飲む。こんな当たり前の事ができんようになったらどうするね。当たり前の事が当たり前にできる水俣のためだったら、まだまだがんばりますよ。”
坂本さんが別れ際に語った一言に強く胸を打たれた。

山笠が終わり明日から夏!

山笠 櫛田入り

福岡滞在の最終日、明け方に始まった男たちの祭り“博多祇園祭山笠櫛田入”。
勢水を浴びながら威勢よく駆け抜けるスピード感、迫力たるや、さすがに博多っ子が「日本一」を自負するだけのことはある。

昨日各地で被害をもたらした豪雨は去り、朝から小降りになったので、“電気くださ〜い!”とばかりにホテル近くの「ジェームス博多東那珂店」を訪問した。平日にも関わらずお客さんが途切れる事なく来店し、店頭でプラグを差し込んだプリウス PHVを見つけると、足を止めて話かけてくれた。ジェームスには頻繁に来店するという石橋さんご夫婦は、初めて見たプリウス PHVに興奮気味。“ハイブリッドで充電もできるなんてスゴイ!”ドライバーズシートにも座っていただくと、エネルギーモニターに次世代を感じた様子。とても明るいご夫婦との楽しいひとときを過ごす事が出来た。

プリウス PHVは100V3時間でフル充電。近くのレストランでお腹もフル充電したので、本日の目的地、熊本県八代へ向けて移動を開始する。九州自動車道を南下するほど空が明るさを増し、たくましい阿蘇山のシルエットが浮かび上がるようになると、西の地平線あたりに青空が見え隠れし始めた。

陽が落ちる頃、今日の宿泊先に到着。部屋の窓から空を見ると帯状に伸びた雲が徐々に赤く染まり、不知火海をバックに夕焼けショーが開幕する。特等席を求めプリウスPHVで見通しのきく広い場所へ出かけて刻々と変わる空を楽しんだ。これほど素晴らしい夕景の後には、きっと梅雨開け・夏本番が控えているに違いない。

博多では晴れて暑い日が続いても、“祭りが終わらんと梅雨は開けんばい”と言って譲らないというが、今年はずばり的中のようだ。

高速道路がゆるい下り坂にさしかかり、遠くに八代の町が見えてきた。アウトレーンにステアリングを切り料金所のETCゲートを通過すると、路上に真っ白な帯が出現、口蹄疫の拡散を防ぐため高速道路I.Cや県境にの石灰が大量に撒かれているのだ。1日も早い安全宣言を期待したい。