大荒れの九州北西部

災害派遣

陽が昇る2時間程前、バサッ、バサッと窓を叩く雨音で目が覚めた。バケツをひっくり返したような豪雨がホテル前の幹線道路を川に変えていた。

今日は、佐賀県伊万里までの90kmを移動するつもりだったが、九州北西部に強烈な豪雨をもたらしている雲塊が、どっかりと腰を下ろして居座っているため、ハイウエイの多くが通行止めだ。これは途中から一般道を通るルートだな、などと軽く考えて長崎県諫早をスタートした。

長崎自動車道を北上しながら気象情報をチェックすると目的地の伊万里地方に大雨・洪水警報が発令されてしまった。旅の安全を最優先に考え、止むなく予定を変更し伊万里行きを断念した。
雨は激しくなるばかりで高速道路上は雲の中を走っているような最悪の視界だ。やがて九州自動車道で通行止め標識に阻まれ、武雄北方I.Cで一般道へ出された。

佐賀平野を福岡に向けて進む車線はひどく渋滞している。小さな橋を渡るたびに川が氾濫し泥水が堤防ぎりぎりまで迫っているのが見える。やがて田畑や民家が水面にポツンと浮かぶような光景が広がった。数カ所で欠壊してしまったようだ。自衛隊の四輪駆動車やトラックが十数台、災害救援のため下り車線を急ぐただならぬ状況だ。今夜の宿泊先である福岡市内も避難勧告地域が拡大し、混乱している様子がラジオやWebから流れ続けている。

3倍以上の時間を掛けてようやくホテルに到着。空もにわかに明るくなり、大量のとんぼが群れ飛んでいる。まずはひと安心と行きたい所だが、今夜から明日午前中に掛けてまた大雨という予報。
明日は熊本県八代までの長距離移動を控えている。正確な情報の収集に努めたい。

長崎市立橘小学校訪問

プリウスPHVに集まる長崎市立橘小学校の子供達

今日の訪問先は長崎市立橘小学校。九州での「飛行船エコ教室」も二回目になるが、ここでも800人以上の子供たちにプリウスPHVを披露し、「エコミッション」で巡った世界各国の環境について話す事ができた。ここ数日、メディアの取材要請が多数く入り、今日もテレビ局の取材でカメラが3台入り、注目度の高さを物語っていた。

小雨まじりで、時折激しく降るあいにくの天気だったが、子供たちや先生、参加された全ての人々が、“エコ”というキーワードで時間を共有できたすばらしい体験だった。名残惜しそうに最後まで手を降って見送ってくれた子供たちに感謝を伝えたい。


60年後の“森”を目指すビル

「アクロス福岡」は近代的なビルが立ち並ぶ福岡市の中心部天神にあって、こんもりとした緑が生い茂り、明らかに異彩を放っている。10年程前エコミッション2001@ジャパンで立ち寄った時には、細い木々が根付いたばかりで段状の構造物がむき出しの状態だったが、重ねた時間と関わった人たちの地道な努力によって、以前とは比べものにならない程“森”へ近づいていた。

歳を重ねるごとに“森”に近づいて行く「アクロス福岡」

南側斜面は段状の森を散策しながら最上階まで昇る事ができる。緑のトンネルの中で深呼吸すると、本物の森の香りがするのは、きちんとした生態系ができている証と言えるだろう。
ビルに降った雨から空調の排水まで、全ての水を一元管理し、地下四階にある600トンものタンク(雨水300トン/浄水300トン)に貯水し、ポンプで屋上に汲み上げて再び流す循環システムを稼働させる事で、厚さ50cmのマットに植物の生育に欠かせない土中菌を繁殖させ、見事なまでに“本当の森”を再現させているのだ。

最上階の展望台まで登りながら、四季の植物を巡るよう植栽されており、竣工時には38,000本だった樹木も50,000本/38種を超えるまでに成長している。最上部付近には人の手で植えた植物に混じって、野鳥が運んで来たものも数多く根付くなど、年々多様性の幅を広げつつある。滝や水溜、小川など変化に富んだ水の表情も楽しみながら、こんな都会の真ん中で年々豊かになる“森”を散策できるとは、これほど贅沢なトレッキング体験は無いだろう。

1996年BCS賞(建築業協会賞)、2010年「生物多様性保全につながる企業の緑100選」に選出。
アクロス福岡HP