曇天の空は抱え切れなくなった雨をパラパラと落としはじめた。お世話になった光市に後ろ髪を引かれながら、徳山東ICで山陽道に上がり、九州を目指して移動を開始する。関門橋からの眺めを期待していたのだが、ますます雨が激しくなり、ついには土砂降りの様相だ。
下関が近づくと、にわかに空が明るくなってきた。気象庁が今年8月にサービスを始めたばかりの「高解像度降水ナウキャスト」をスマホでチェックすると、30分もすれば雨が上がると出ている。250mメッシュの高解像度でピンポイント予測できる新システムを信じて、壇ノ浦PAでしばらく待機する事にした。
小雨に霞む関門海峡もまた一興。大小さまざまな船を眺めているだけで退屈するはずはない。何しろ1日に600隻もの船が往来する海の要衝。本州に近い側の最深部でも47mの水深というから、座礁の危険もあるはずだが、巨大な自動車運搬船やコンテナを満載した大型船が、結構なスピードで目前を航行する姿は迫力満点。その隙間を職人技の見事な操船で縫うように進む小型船も見応え十分だ。
「高解像度降水ナウキャスト」の予報が的中し、何と薄日が差してきた。この気象庁の新サービスは、アウトドアでの活動が多いエコミッションの強い味方になってくれるかも知れない。関門橋を走るプリウスPHVを撮影する体制を整え、いよいよ関門海峡を越えて九州へ上陸する。
官営八幡製鐵所が1901年に東田第一高炉で火入れして以来、鉄の街として繁栄してきた小倉。日本初のアーケード街「小倉魚町商店街」に象徴される昭和の町並みと、小倉城勝山公園周辺の近代的なビル群の対比が面白く魅力的な街だ。この先、九州各地で出会う人々や風景に思いを馳せながら、しばらく夜の小倉を散策して見ようと思う。
明日は小学校で開催される「トヨタ飛行船エネルギー教室」のレポートをお届けします。お楽しみに。