海岸を赤く染めながら陽が落ちると、おだやかな別府湾に赤い月が昇った。突然、スポットライトがくるくる回るミラーボールに向けて放たれ、花吹雪のように光が踊り出す。7色のレーザービームがゴージャスな色彩を添え、白無垢のプリウスPHVは、派手に着飾ったダンサーに変身した。さあ!パーティーの始まりだ!
“エコパーティー「ビカビカ・ジャパン≪ビーチクリーン・ライトアップ≫日本一周、海岸美化発電!」キャラバン2014”で同じ大分に滞在している上井さんを訪ねた。待ち合わせた糸が浜海浜公園へ向かうと、別府湾を望む海岸沿いの美しいキャンプ場に、大型トラックが荷室のウイングゲートを開いて停まっている。
チーム代表の横田さんとは数十年来の知人だが、こうして会うのは10年ぶりとの事。固い握手と抱擁で再会を喜びあっていた。
この見た目もスペシャルなトラックの中が凄い!プラスチックから燃料を精製するオーダーメイドの油化装置を搭載し、大型発電機を稼働することができるハイテクマシンなのだ。上井さんはこのスペシャルトラックで全国を巡り、祭りや各種イベントに参加しては、豊富な電源を使ったライトアップショーを繰り広げている。
活動の糧となるペットボトルキャップは、ビーチクリーニングで拾集されたものや、学校などを通じて回収されたものなど様々。膨大な人の手から手を伝って彼らのもとへと集められたペットボトルキャップが燃料として生まれかわり、全国をライトアップする。何と素敵なエコイベントだろう!
上井さんはこのトラックとともに、1日16時間も停電しているというネパールに渡った。入国は9割方無理と言われていたが、前向きで陽気な人柄と創意工夫で2か月待って、ようやくインドに上陸すると、水を得たクジラのように邁進する。各地で集めたペットボトルのキャップで電気を生み出しながら、ダンスコンテストを開催するなど切り口も斬新。連日のように大勢の観客が押し寄せ大盛況だったという。ヒマラヤを望む山間の村でのライトショーは想像しただけでも鳥肌もの、きっと素晴らしいイベントだったに違いない。
これに共感し、将来は油化装置などエコマシンの開発者を夢見て来日したのが、エコパーティーに参加しているネパール人スタッフのアレックス君だ。きっと夢をかなえてネパールに電気を届けてもらいたいと祈るばかりだ。
今夜、彼が腕を振るってくれた本場のネパール料理の旨かった事。ごちそうさま。
宵闇が突然切り裂かれるような閃光でパーティーが始まった。幻想的な夢のステージは写真と映像でご覧いただきたい。
1973年、デュポン社が開発したペットボトルが登場すると、またたく間に世界中に広まり、現在の生産量は日本だけでも35万トンを超える。今でこそ環境意識が高まりとともに、大半のペットボトルが分別されてリサイクルに回るようになったが、過去数十年の間に自然投棄された数は掛かり知れず、分解する事のないペットボトルは、やがて海へ出る。世界中で投棄されて海上を漂うプラスチックゴミを集めると、オーストラリア大陸と同じ面積になるという驚くべきデータもある。
いずれは大型タンカーに油化装置を積み込んで、世界を巡りながら海洋ゴミを回収したいと語る上井さんの夢は果てしない。
2014年4月19日にアースデー東京からスタートした活動は、現在も進行中です。
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スペシャルトラックがあなたの町に訪れるかも。
上井さん スタッフのみなさん
楽しいライトショーをありがとうございました。
また旅の空でお会いしましょう。