外輪山に張り付くような急坂を駆け上がると、阿蘇平野は遠ざかり、空が広くなっていく。まるで飛行機が離陸するような感覚を味わいながら全長5キロの「天空の道」へテイクオフ!
山頂近くにクルマを停めて崖下を覗き込むと、これはスゴイ!さっき走ってきた黄金色に輝く田んぼが、まるで海のように広がる絶景だ。空へ向かって突き出すような尾根に刻まれたヘアピンカーブを、派手なジャージ姿のサイクリスト達が駆け下りて行くのが見える。
鍋型カルデラの鍋底にあたる平地のフチを外輪山が取り囲むという独特の地形が、阿蘇「天空の道」の絶景を生み出した。丸みを帯びてはいるが、極めて急峻な景観と、霧が発生すると象徴的な尾根が空に浮かんでいるように見える事から、ジブリ作品「天空の城ラピュタ」になぞらえて、いつしかこう呼ばれるようになった。
高原の放牧地でもある外輪山の尾根を結ぶ主要道路「ミルクロード」と、稲作が盛んな阿蘇平野とを結ぶ農道として造られたこの道の正式名は「阿蘇市道狩尾幹線」。全長5.7km、平均斜度8.1%、標高479mから940mまで、高低差461mという険道である。
まるで空を掛けるようなプリウスPHVのムービーは必見。
「天空の道」の絶景をお楽しみください。
阿蘇外輪山のウインドファーム
天空の道から外輪山を反時計回りに行った先に、外輪山の地形を活用した風力発電所があるというので訪れて見た。
風が吹き上げてくる外輪山外側は45メートルが3基、尾根を渡って吹き下ろす内側は60メートルが10基稼働している。台風の接近が報じられている通り、風車は裾野を駆け上がってくる強風を捕らえて高速で回っている。45メートル風車の出力メーターは500kw、MAXに近い発電量を示していた。この風車1基でプリウスPHV約100台分の出力と同等のエネルギーを生み出している事になる。
エコミッションがスタートした1999年当時、国内で風車はまだ珍しく、巨大なローターがブンブンと回る様を近くで見たときの迫力に圧倒されたが、今では当たり前のように、日本中の高原や海岸で稼働するようになった。低周波やバードストライク、景観の問題など課題も多い風力発電だが、しばらくは自然エネルギーの一角を担う事になるだろう。
外輪山俵山の風車は一般的な45メートル、65メートルの2種類。
45メートル風車×3基
名称:久木野風力発電所
メーカー:Enercon社製(ドイツ)
ローター直径:45m
支柱高:50m
出力:600kw(1基当り)
年間総発電量:
60メートル風車×10基
名称:阿蘇にしはらウインドファーム
メーカー:Vestas社製(デンマーク)
ローター直径:66m
支柱高:60m
出力:1,750kw(1基当り)