この流れが津房川から駅館川を経て周防灘へと注ぐ。

清流を彩る滝と石橋 ガズームラ安心院

駅館川水系恵良川に掛かる沈下橋。
駅館川水系恵良川に掛かる沈下橋。

山々に囲まれた安心院あじむ周辺には、周防灘へ注ぐ駅館川水系の河川が数多く流れている。水を蓄えることができない岩山の多いこの辺りの河川は、ひとたび大雨が降ると“暴れ川”に豹変するため、古くから流されにくい強固な石橋が作られて来たのだ。

東椎屋の滝へ登る道は家族連れでいっぱいだ。
東椎屋の滝へ登る道は家族連れでいっぱいだ。
名瀑「東椎屋の滝」落差85メートル。
名瀑「東椎屋の滝」落差85メートル。

駐車場にプリウスPHVを停めて、津房川の渓谷美を楽しみながら山道を登ること15分。滝の多い安心院でも最高の落差85メートルを誇る名瀑「東椎屋の滝」からたっぷりとマイナスイオンを貰い、清流に掛かる石橋めぐりをスタートした。

安心院から院内にかけての一帯には、75基もの石橋が掛かり、天然記念物オオサンショウウオを始めとする多様な生き物が棲む清流に彩りを沿えている。昨日紹介した「鏝絵こてえ」と同じように、たくさんの優秀な石工が安心院周辺に暮らしていた証でもある。

この流れが津房川から駅館川を経て周防灘へと注ぐ。
この流れが津房川から駅館川を経て周防灘へと注ぐ。
石橋モチーフのゲートがある道の駅「石橋ステーション」
石橋モチーフのゲートがある道の駅「石橋ステーション」
石橋の歴史や工法などの展示物がある。
石橋の歴史や工法などの展示物がある。

まずは石橋をモチーフにしたゲートがある道の駅「石橋ステーション」に立寄り情報を入手。ここには石橋の歴史や工法に関する展示物があり江戸時代からの石工の技の一端を知ることができる。そして奥には全長120cmの天然記念物オオサンショウウオが飼育展示されていて、その大きさにビックリ!

流域に棲む天然記念物オオサンショウウオが展示飼育されている。
流域に棲む天然記念物オオサンショウウオが展示飼育されている。
水槽内の穴に隠れているオオサンショウウオの足。
水槽内の穴に隠れているオオサンショウウオの足。
オオサンショウウオの剥製も展示されていた。
オオサンショウウオの剥製も展示されていた。
山間の神社に掛かる「一の橋」は小さいながら均整の取れた素朴な石橋。1893年架設。
山間の神社に掛かる「一の橋」は小さいながら均整の取れた素朴な石橋。1893年架設。

順番通り「一の橋」から、石橋と美しい清流の姿を巡って見ることに。石ノミで丁寧に整形されたものから自然石をそのまま使った素朴なものまで、様々なタイプの橋が掛かっているが、その全てが優雅なカーブのアーチ橋だ。

幅が狭く華奢きゃしゃな橋脚は、急流をしなやかにかわしながらも、崩れない絶妙なバランスが保たれている。何しろ石橋はただ“積み上げただけ”なのだから、巧みの技には驚かされるばかりだ。

一の橋を渡った鳥居の向こうには神楽殿のある北山水神社がひっそりと佇む。
一の橋を渡った鳥居の向こうには神楽殿のある北山水神社がひっそりと佇む。
最古の石橋は1863年架設の「打上橋」。水道橋との2段石橋は草と苔に覆われている。
最古の石橋は1863年架設の「打上橋」。水道橋との2段石橋は草と苔に覆われている。
75基ある石橋を代表する5連アーチが美しい「鳥居橋」1915年架設。
75基ある石橋を代表する5連アーチが美しい「鳥居橋」1915年架設。
優雅な曲線に巧の技を感じる。
優雅な曲線に巧の技を感じる。
恵良川は“暴れ川”。幾度の洪水にもびくともしないという鳥居橋。
恵良川は“暴れ川”。幾度の洪水にもびくともしないという鳥居橋。
橋脚には草が生い茂り歴史と趣きを醸している。
橋脚には草が生い茂り歴史と趣きを醸している。
今日は穏やかな流れだが、ひとたび大雨が降ると“暴れ川”に変貌するという恵良川。
今日は穏やかな流れだが、ひとたび大雨が降ると“暴れ川”に変貌するという恵良川。

鳥居橋から下流を見渡すと、遥か向こうに珍しい沈下橋を見つけた。恵良川に掛かるメインの橋に、山側の分流に掛かる歩行者用の橋がT型に繋がった沈下橋だ。

のどかな風景の中、橋のたもとで軽トラック1台をやり過ごして沈下橋渡り、宇佐別府ハイウエイに乗り換えてガスームラ安心院を後にした。

珍しいT型の沈下橋。
珍しいT型の沈下橋。
河原で畑の土留め用の石を集める地元の農家。ここには川と密接に関わる暮らしがある。
河原で畑の土留め用の石を集める地元の農家。ここには川と密接に関わる暮らしがある。
沈下橋を渡るプリウスPHV
沈下橋を渡るプリウスPHV

清流を彩る滝と石橋