九州



4月 8日 2011

道産子の引き綱を持つ子ども達

道産子の引き綱を持つ子ども達

阿蘇の山々を望む肥後小国の高原に、はるばる北海道からやってきた2頭の「道産子」が暮らす小さな牧場がある。ここハヤノ牧場では、障害を持った子供達が馬と接し、身体的・精神的に適度な刺激を与えることで、目覚ましい改善が認められるという「ホースセラピー」が行なわれているというので、ハヤノ牧場の近所に住んでいる子供達に集まっていただき、実際にセラピーを体験してもらった。野鳥の声が響き渡るのどかな牧場で、子供達と道産子との賑やかで楽しい時間が流れて行く。

セラピー馬として北海道からやってきた道産子の「ニョッキ」と「オリーブ」を調教している、ホースセラピストの長さんにお話を伺った。

「北海道十勝で道産子と接しながらホースセラピストとしての技術を習得し、小国町へ戻りました。馬はとても賢い動物ですから、接する人の気持ちを敏感に察知します。馬の感情を考えて接することで、気持ちが通じる喜びが生まれます。温厚な性格で小柄な道産子は、子供が接するには最適な馬だと思いますよ。道産子と接する事で、自信や喜びを得られたら嬉しいですね。小国町のお隣、湯布院で観光スポットを巡る辻馬車を走らせて、馬を知り尽くしている佐藤さんの手を借りながら、準備を進めているところです。」

子供達を乗せた道産子を引く長さん

子供達を乗せた道産子を引く長さん

江戸時代中期に蝦夷地(現在の北海道)開拓を命ぜられた松前藩士が赴任する際、丈夫な農耕馬として知られる「南部馬」を連れて行った。やがて任が解けて内地へ帰る時に連れ帰らずに原野に放った馬が代を重ね「北海道和種馬」となった。「道産子」の愛称で知られるこの馬は、小柄で従順な性格。近年注目される「ホースセラピー」に最も適している日本在来馬である。

小柄な道産子とはいえ子供の目線からは見上げるような大きさに、始めは戸惑いながら恐るおそる撫でていた子供達だったが、優しい眼差しの馬達と触れ合うにつれ、次第に笑顔がこぼれていく。数時間後には、得意げに引き綱を持ち、馬たちに話しかけながら山道を歩く自信に満ちた姿が見られた。

現在、施設の拡充やセラピーカリキュラムの準備などを進めている最中だというが、小国町の大自然の中で、多くの子供達が道産子に触れ、笑顔いっぱいの経験ができる日は近い。


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4月 7日 2011

この3月に開通した九州新幹線の熊本駅で、今日から参加する地元メンバーと合流。阿蘇山麓を流れる菊池川水系川原川沿いを駆け上る。起伏の激しいワインディングを進むと、時折視界が開けて阿蘇の大パノラマが広がる。渓谷を流れる水の音、ウグイスの澄んだ鳴き声が響き渡る美しい景観を楽しみながら、大分との県境に近い小国町を訪ねた。

岡本とうふ店のお母さん「電気くださ〜い」

岡本とうふ店のお母さん「電気くださ〜い」

岡本とうふ店は地元はもとより、全国的にも知られる明治創業の老舗豆腐店だ。阿蘇に磨かれた豊富な地下水と、熊本産の大豆「福豊」を原料に、丹精込めた仕事ぶりが、多くの美食家を唸らせる。決して便が良いとは言えない立地にも関らず、休日ともなれば行列が出来る程の繁盛ぶりだ。豆腐が旨いのは言うに及ばず、一辺が25cm、厚さ4cmはあろうかという特大サイズの厚揚げは、大豆の甘い香りと、しっとりとした舌触りがたまらない。

岡本とうふ店のお母さんに「電気くださ〜い」と充電をお願いしすると、最高の笑顔で快くプラグインしていただいた。「こんなふうに充電できる未来のクルマで、わざわざ山奥まで来てくれる方々のために、いつでも充電できる場所を作ろうかしら。」と充電ステーションの設置に前向きな言葉をいただいた。老舗としてのプライドを持ちながらも、常に新しい事への関心を忘れない、柔軟な発想力にこちらが関心させられる素敵な出会いとなった。

大きな厚揚げが自慢の逸品

大きな厚揚げが自慢の逸品

豆腐店から10km程にある「ハヤノ牧場」を訪問した。ここは、昨年のエコミッション2010@ジャパンでもお世話になった、カーナビの地図で知られるゼンリンの林会長が所有するファームだ。10年前から、元々松林だった丘を切り開いて、カシ、シイ、ナラなどの広葉樹を植え、野菜、ハーブ、ブルーベリーなどの作物を育てている。林さん自ら腕を振るって、仲間と石を積み上げてハンドメイドした石釜で飛び切り美味しいピザを焼いて振る舞ってくれた。カリッとした香ばしい生地に地産地消を意識したトッピングのピザは専門店顔負けの出来映え。さらにお言葉に甘えて、今夜は大きなログハウスに宿泊させていただく事にした。


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4月 6日 2011

九州へ向かうために本部港フェリーターミナルへ着くと、水平線にポツンと見える白い船影が一直線にこちらへ向かって進んでくるのが見える。やがて大きく右旋回すると、早送り再生しているかのように急速に膨張し、圧倒されるような大きさで波止場へ接岸した。出航予定時刻まで15分しかない。急いで乗船手続きを済ませて車列の最後尾に並ぶと、すぐに先頭のクルマが船体後方にぽっかりと開いたゲートに吸い込まれて行く。係員がフロントガラスに貼付ける認識表を配りながら、プリウスPHVに興味津々といった眼差しで話しかけてきた。家庭のコンセントから充電できるクルマに乗って沖縄を巡り、次の訪問地である九州へ向かう事を告げると、激励の言葉を掛けてくれた。

本部港へ入港するフェリーとプリウスPHV

本部港へ入港するフェリーとプリウスPHV

乗船の順番が回ってきたのでゲートを上り、薄暗い船内へ進む。スロープとフロアをぐるぐると回りながら3階の駐車スペースへ停車してクルマを預けると、アンカーロープで固定されて積載完了となった。渡航中の1泊2日間はクルマに戻る事は出来ないため、出発前に小分けにした手荷物を持って船室へ向かった。

■車両積載の様子

汽笛の合図でエンジンの唸るような振動とともにゆっくり離岸し、ひと呼吸おいて後方のプロペラが勢い良く回ると、泡を含んだ海水がクリームソーダのような波紋を吐き出しながらスピードを増して行く。本部港がみるみる小さくなり、沖縄の思い出を乗せた船は外洋へ出た。

伊江海峡を過ぎたあたりから、甲板に出ているととばされそうな程の強風に見舞われた。船は大波を乗り越える度に大きくピッチングを繰り返し、20メートル以上もある最上段の甲板にまで波しぶきが飛んでくる。見える範囲の海面は白く泡立ち、6,300トンもある大きな船体を揺らし続けた。船内放送では悪天候のため寄港予定の変更が告げられ、この後、鹿児島港へ到着するまで激しい揺れと格闘しながらのハードな船旅となった。

■船体を揺さぶる波

フェリーは沖縄本部を出航し、与論島・沖永良部島・徳之島・奄美大島に寄港しながら鹿児島港を目指す。4月初旬の別れと出会いの時節、立ち寄る港ごとにドラマがあった。すっかり陽が落ちた21時30分、奄美大島の波止場は家族や友人を見送る群衆でごった返していた。進学や就職で故郷の島を後にする若者が大勢乗り込み、何本もの紙テープを大事な人めがけて投げ落していく。クモの巣のように張り巡らされた思いの丈の向こうから“でっかい夢を掴んでこいよ〜” “お前ならがんばれるぞ〜” “身体に気をつけて〜”と声が枯れるほどの激励が飛び交っている。やがて出航の時が訪れると、叫びにも似た声援が頂点に達し、見送られる若者たちは目に一杯の涙を浮かべながら手を降り続けていた。次々と千切れては暗い海へと消えてゆく紙テープが哀愁を誘う中、いつまでも島のどこかの校歌が聞こえていた。

若者の門出で賑わう奄美大島

若者の門出で賑わう奄美大島

夜が開けて鹿児島湾へ入ると正面には頂きからモクモクと噴煙をあげる桜島が見えてきた。設備の整った鹿児島港では、アンカーロープを機械が巻き取り、吸い付くようにすんなりと接岸する。予想外の時化で荒れた航海も無事に終わり、ついに九州へ上陸した。抜けるような晴天の中、咲き誇る桜を愛でながら九州自動車道を北上、最高のドライブ日和の中、今日の宿泊地熊本へ到着した。

プリウスPHVには、専用開発の「グッドイヤー GT3」が装着されている。転がり抵抗を極限まで切り詰めながら、「曲がる」「止まる」というコントロール性能の高さをも合わせ持つ低燃費エコタイヤだ。沖縄での燃費チャレンジに貢献した事は言うまでもないが、バッテリーを追加し、現行プリウスより100kg以上重い車体でも快適でソフトな乗り心地は保たれたまま、きつめのカーブをスピードを上げて駆け抜けてもヨレを感じる事がなく、プリウスPHVにベストマッチなタイヤだと実感している。

低燃費エコタイヤ グッドイヤー GT3

低燃費エコタイヤ グッドイヤー GT3


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