トヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する“マチで暮らす人たちにムラでしか味わえない感動体験”をWebを通してナビゲートしようという、全国に58あるガズームラのひとつ、能登半島最北端にある「GazooMura珠洲」を訪れた。2006年に惜しまれながら廃止された「のと鉄道能登線」に代わる交通の動脈として重要さを増す「珠洲道路」を終点まで走った先に、珠洲の名勝「見附島」が見えてきた。
ガスームラブログで珠洲の観光や田舎暮らしの情報を公開中の「奥能登体験観光珠洲PR隊」さんに珠洲の見所を教えていただこうと「道の駅すずなり」に立ち寄った。ここを運営する「NPO法人能登すずなり(珠洲市観光協会)」では、特産品の販売をはじめ、自然豊かな珠洲を満喫できる体験プログラムのコーディネートも行っている。
能登半島一帯は珪藻土と呼ばれる太古の藻が蓄積した化石地層からなっており、これを原料にした七輪などのコンロ製品が珠洲の特産品として生産されている。珠洲市郊外にある「能登燃焼器工業」さんでは珪藻土を粉砕せずに切り出した塊から、ノミを使った削り出し成形という世界的にもめずらしい技法でコンロを生産しているというので訪れることにした。
幹線道路を外れた谷間に広がる田園風景に溶けこむように、黒瓦とレンガの煙突が印象的な工場が建っている。あいにくお盆休みで生産はしていなかったが、舟場社長のご厚意で中を見せていただくことができた。珪藻土を切り出すために裏山にぽっかりと口を開けた坑道の入口からは天然の冷蔵庫のように、ひんやりとした冷気が霧となって吹きだしている。ここから切り出された珪藻土のブロックを何種類もあるノミを使い分けて削り出し、美しい造形のコンロ作品が生み出されていく。自然素材を使った失敗のきかない成形は、修練の積み重ねが成せる匠の技。この切り出しコンロは、使う喜びを味わえるのはもちろんだが、眺めているだけで豊かな気持ちにさせられる、まさに一生モノの風格ある逸品だ。
珠洲のもうひとつの特産品である塩は、500年前と変わらない「揚げ浜」という技法で作られており、海岸線に塩田が点在している。「奥能登塩田村」では、昔ながらの塩づくりを体験できるというので、参加するご家族2組の皆さんとご一緒させてもらった。テニスコート程の広さの固い塩田に海水と砂を撒き、太陽の熱で蒸発させながら塩分濃度を上げ、砂をかき集めて濃い塩水を作り、それを煮詰めて塩を取り出すという、言葉にすれば単純な作業だが、それぞれの工程でタイミングやコツが要るこれまた匠の世界。何よりも炎天下で重い砂や塩水の入った桶を担ぐ重労働を長時間続ける苦労は並大抵の事ではない。参加した子供たちも額に玉のような汗をかきながら、塩の大切さを実感したことだろう。
重労働の末、仕上がった塩を受け取って一口舐めてみると、角の取れた柔らかなしょっぱさに笑顔が溢れる。子供たちにも印象的な良い経験になると、体験希望者が増えて予約が取りにくい状況だというが、自然と向き合う労働の大変さ、食べ物に対する感謝の気持ちを実感できる、夏のユニークな思い出作りに、家族連れで参加してみてはいかがだろう。
GazooMura珠洲で訪れた場所
■珠洲市野々江町 道の駅「すずなり」
www.notohantou.jp/
■珠洲市上戸町 能登燃焼器工業株式会社
www.suzu.co.jp/notonensyouki/
■珠洲市清水町 奥能登塩田村
www.okunoto-endenmura.jp/
category: ECO-MISSION2011,北陸
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