長崎自動車道を南下すると、長崎と佐世保方面に分岐する武雄ジャンクションを過ぎた辺りで「嬉野IC」の看板が見えてくるが、ここを通過するたびにウキウキとした気分になる。“うれしの”という響きのせいもあるだろうが、この先にある長い俵坂トンネルを越えた先に広がる、すばらしい景色を期待しての事だ。今日は抜けるような晴天、暗がりの先に見える半円形の光がぱっと弾け、瞳孔が収縮するのを感じた瞬間、強い日差しをはね返してキラキラと輝く大村湾の眺望が広がっていた。
ウインドウを全開にして大村湾沿いを走ると、夏を思わせる熱い風が吹き込み、街路樹のフェニックスが異国情緒のような錯覚を起こさせる。爽快なドライブを楽しみながら諫早を経由して今日の宿泊先、長崎に到着した。
長崎の中心街を通過して、平和公園を訪れた。初めて目にする平和祈念像は予想外に大きく、憂いを持った表情が印象的だ。原爆投下の様子を記した碑を見ていると、当時の人口24万人中、73,884人の尊い命が奪われたとある。東日本大震災の犠牲者数の倍以上の方が、たった一発の原爆投下で命を失ったのかと思うと、やるせない気持ちでいっぱいになった。どうか過ちを繰り返さないで欲しいと願うばかりだ。
宿泊先から徒歩で長崎港へ出掛けた。夕方が近いのだが、家族連れやカップルなど多くの人が海浜公園に繰り出している。ゆっくりと揺れながら停泊するヨット、ボール遊びに興じる子供達の笑い声、のんびりと犬を散歩させている老夫婦など平和そのものといった光景だ。やがて空が薄紅色に染まり、太陽が稲佐山へと沈んで行った。
■散り行く桜と浦上天主堂
category: ECO-MISSION2011,九州
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