4月 1日 2011

国道58号線の海沿いを行くプリウスPHV

国道58号線の海沿いを行くプリウスPHV

まだ薄暗い時間に目が覚めた。窓の外には水平線を行き交う船の灯りがゆっくりと動くのが見える。やがて空が白んでくるのを合図に、ソテツ並木に群がる聞き覚えの無い野鳥のさえずりが響き渡り、那覇滞在の初日が始まった。

那覇の中心部にある沖縄県庁隣の県民広場地下駐車場に、プリウスPHVを充電できる設備が整っていると聞き、訪ねてみる事にした。琉球王朝伝統の反り上がる石垣を連想させる、堂々とした外観の県庁舎のスロープを下ると駐車場のゲートが見えてきた。充電場所を探して場内を周回すると、なかなかの混雑ぶりで、人気の観光スポットでもある国際通りに隣接した好立地にあるため、観光客と思しきレンタカーの利用も多いようだ。出口に近い場所に控え目なサインボードが掲げられコンセントが設置された区画がズラリと並んでいた。収容数200台中、15台分ものスペースを割いているのには驚いた。

充電環境は200Vの普通充電タイプで、形状の違う2種類のコンセントが壁に設置され、無料で利用することができる。せっかくなので県の担当者に話を伺いながら「カチッ」とプラグインしていただこうと沖縄県庁の土木建築部道路管理課に連絡してみると、今日は4月1日とあって人事異動の真っ最中。業務引き継ぎやデスクの引っ越しで多忙の中、わざわざ時間を割いて立ち会っていただいた。

沖縄県庁の担当者に電気くださ〜い。

沖縄県庁の担当者に電気くださ〜い。

充電設備はこの駐車場を管理している指定管理者(株式会社ダイケン)が今年2月に設置したばかりで、今回が3台目の利用だという。EV車両がまだまだ一般に浸透していない事もあるが、駐車場入り口に表示がないため、ここに充電設備がある事が周知されていないのかも知れない。充電無料の他にも、周辺商業施設利用で駐車料金の割引が受けられるなどサービスも充実しているので、今後は充電設備を利用する顧客の増加が見込まれるだろう。

プリウスPHVの充電が完了し、那覇の中心街を抜けて海岸線や首里城を訪ねたが、EVモードで走行可能な23.4kmの間、タダでいただいた電気で走行する事ができた。観光立国沖縄県では、レンタカーを利用する観光客を見据えて、地元との連携を考慮した充電サービスの拡大を推進させて行くというから、今後が楽しみだ。

「沖縄料理ふる里」さん、ごちそうさま

「沖縄料理ふる里」さん、ごちそうさま

夕食も駐車場で充電している間に、駐車料金の割引サービスを利用すれば一石二鳥とばかりに、再度、県民広場地下駐車場へプリウスPHVを駐車してプラグイン。パレット久茂地ビル地下にある「沖縄料理ふる里」でソーキそばなど郷土料理に舌鼓を打った。お店の方に駐車場割引の話をすると、このサービスはデパート側でしかやっていないとの事だったが、ご厚意により駐車料金分をおまけしてくれた。店長の遠藤さん、ありがとうございました。

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3月 31日 2011

那覇へ上陸するプリウスPHV

那覇へ上陸するプリウスPHV

太平洋沿岸を西へ進んできた航路は、鹿児島県志布志港に立ち寄ってから南に向き変え、点々と続く島づたいに沖縄本島を目指す。刻一刻と変化する海の色が奄美大島を過ぎた辺りから濃い群青色へと一変し、生温く湿気を帯びた風がデッキを吹き抜けて行く。

春を向かえたばかりの東京から、初夏のような沖縄へと季節をまたぐ航路は1,743kmと国内最長だ。途中、外洋を航行する区間もあるが、このマルエーフェリー 飛龍21は全長167m/9,225トンを誇る巨体に、横揺れ防止スタビライザーを装備しているためか、多少荒れ気味の海面でも滑るような乗り心地で、丸2日間の長旅を快適に過ごす事ができる。パーサーの村山さんの話では、操舵室の船長を頭に、客室や機関室など総勢24名のスタッフでこの巨大な船を運行しているという。この後は那覇へ滞在すると思いきや「いえいえ、準備が整い次第、東京有明埠頭へ向けて出航しますよ。他の航路を含めた船上勤務を2ヶ月間続けて、1ヶ月間お休みをいただいて、また2ヶ月間船の上です。」というから驚きだ。

操舵室を案内してくれた池上船長

操舵室を案内してくれた池上船長

池上船長のご厚意で、船の操舵室を見学させていただいた。
三方を見渡すことができる広い室内には、整然と計器類が配置され、独特の緊張感が漂っている。ちょうど沖縄本島と伊江島に挟まれた伊江水道を通過中で、レーダーにくっきり映し出される岩礁のすき間を進む様子を間近で見る事ができた。

やがて船内放送で間もなく到着する事が告げられると、左手に那覇の街が見えて来た。長い防潮堤沿いを進み、飛行場の手前で大きく旋回した後、ゆっくりと那覇新港に接岸した。2日ぶり対面したプリウスPHVに乗り込んでPOWERボタンを押し込むと、ナビには那覇の街が映し出され沖縄に到着した事を実感する。スロープを降りて船の横にプリウスPHVを停車し、この旅初めてのプラグイン「カチッ」を池上船長にお願いした。これからどんな場所で、どんな出会いが待っているのだろう。ついにエコミッション2011@ジャパンが南の島からスタートした。

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3月 31日 2011

石廊崎、御前崎、潮岬と、太平洋に突き出た岬を結ぶような航路を進むため、一面の大海原に退屈することはない。春の日差しが降り注ぐ展望デッキで、もうすぐ見えてくるであろう、室戸岬を探していると、有明埠頭の待合室で見かけた若い親子連れに目が止まった。

衣類や日用品などを満載した福島ナンバーのクルマの持ち主、長澤さんは南相馬市で被災し、この沖縄行きフェリーに乗船した。不安と期待が入り交じる状況の中、沖縄では民間レベルでの被災者受け入れ態勢が整っていると知り、移住を決意したという。

長澤さんはサーフィンの指導者として、楽しく安全に遊べるビーチを作ることに情熱を傾け、南相馬市のNPO団体「ハッピーアイランドサーフィンツーリズム」を展開。ビーチクリーニングや海岸レスキュー隊の育成に取り組み、ジェットスキーのレスキュー方法をいち早く取り入れた事で全国的に知られた存在で、潮流の激しい場所にもかかわらず10年間事故の無いビーチを守り続けて来たという。

「沖縄に渡っても、これまでの経験を活かして、福島の復興の基盤をつくって行きたいと思っています。被災した地元の現状は、まだまだ厳しい状況ですが、それでも海を愛しています。ただ今は、子どものために遠くへ行きたい。南の海にはこころが安らぐ力もありますから。」
2歳になる東生(もとき)クンを抱っこしながら、やさしい眼差しでこう語ってくれた。

やがてい近づいて来た室戸岬を覆う緑のなかに、ぽつぽつと白く連なる桜並木を見つけた。
もうすぐ桜前線が東北地方にも春を告げる。

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