8月 26日 2011

毎年夏になるとプールや海で遊ぶ子供たちの水難事故が報道される。ボク自身も子供たちがまだ幼かった頃にプールへ遊びに行った時の事、夏休みで賑わうプールサイドの喧騒が途切れ、沈んでいる我が子を見つけた母親の悲鳴が響いた。その時、たまたま居合わせた消防レスキュー隊のお父さんがいち早く人工呼吸と心臓マッサージを施し、一命を取りとめるのを目の当たりにした経験がある。こんな生死を分ける場面に遭遇しないために注意を払って楽しむのが先決だろうが、万が一の心構えとして救命救急の方法を体験しておく事は、慌てずに冷静な行動を取るためにも必要だろう。最近ではプールや海水浴場だけでなく、駅、役所、大型商業施設などにAED(自動体外式除細動器)が設置され、多くの命が救われているというが、これも全く初めて扱うのでは一刻を争う緊急時に対応できるのか不安が残る。そこで、消防署などで救命措置を体験してもらうためのプログラムが用意され、参加する方が増えているという。

白岡八幡宮に到着

白岡八幡宮に到着

埼玉県白岡町消防団第七分団が夏休みの親子を対象にした“救命救急出前講習”を行うというので参加させていただいた。849年(嘉祥2年)の創建と伝えられる白岡八幡宮がその開催場所だ。
元旦には初詣子に集い、婚礼や初参りなど、生涯の節目を通じて代々親しまれて来た町の象徴“白岡八幡宮”は、ここを中心に地域の繋がりを深めてきた心の拠り所でもある。

白岡八幡宮氏子の金子さん“プラグイン”

白岡八幡宮氏子の金子さん“プラグイン”

救命救急出前講習を行う白岡町消防団第七分団の団長佐藤さんの挨拶で今日の催しが始まった。神社に古くから伝えられる「巫女の舞」の演舞、消防署のポンプ車による放水体験、エコミッションの参加など盛りだくさん。白岡町の皆さんも大勢集まり、時期外れの祭りのような賑わいを見せていた。社務所で行われた救命救急出前講習には夏休み中の親子が多数参加し、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDの使い方をダミー人形を相手に体験した。始めは戸惑っていた子供たちだったが、消防団の皆さんの懇切丁寧な指導で少しずつ上達していた。繰り返し体験する事で万一の時にうまく対応できるようになるという事で、白岡町消防団第七分団では今後もこのような場を設けて行く予定だという。

お母さんと一緒に心臓マッサージ体験

お母さんと一緒に心臓マッサージ体験

核家族化が進む都市部を中心に、氏神様に集うことで培われてきた地域の繋がりが忘れ去られようとしているが、災害や万が一の緊急時に頼れるのは、ここ白岡八幡宮に象徴されるようなコミュニティーの存在だけかも知れない。今年3月の東日本大震災の時、目に焼き付いた災害の映像や被災者の叫びが、地域の繋がりの大切さを再認識させてくれたような気がする。沖縄からスタートしたエコミッションでは、日本各地で被災地へ向けたメッセージを頂いてきた。その温かい言葉を見つめていると、白岡町のような地域社会が日本中に広がっているのかも知れないと思えてくる。日本全体が優しさに包まれたひとつの大きなコミュニティーに生まれ変わる事を願いながら、埼玉を後にした。

心のこもったメッセージが詰まった横断幕

心のこもったメッセージが詰まった横断幕

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8月 25日 2011

数年前から自動車雑誌などに“クルマに興味を待たない若者が増えている”という記事が掲載されている。インターネットの普及が追い風となり、興味を向ける矛先が多様化しているのは事実だろうが、本当に若者達はクルマに魅力を感じなくなってしまったのだろうか。プリウスPHVで日本中を旅していると“新しいクルマ”に目を輝かせるたくさんの若者にも出会うし、ボクの近所の子供たちの多くが高校卒業前に教習所通いを始め、就職が決まればピカピカのクーペやコンパクトカーが納車されていたので「若者の自動車離れ」という実感が沸かないのだが、実際はどうなのだろう。

埼玉自動車大学校に到着

埼玉自動車大学校に到着

我々チームACPの仲間でエコミッションでも力を発揮している三角メンバーが若かりし頃、技術の習得に励んだ母校でもある「埼玉自動車大学校」を訪れ、将来の夢をクルマ業界へ向けた若者達に話を聞くことができた。

埼玉自動車大学校は広大なキャンパスに最先端の設備を導入した施設が建ち並び、新しい時代を担う最先端の技術者を養成する恵まれた環境が整っている。整備士をはじめ、カスタム、モータースポーツなどメーカーに囚われないクルマのスペシャリストを輩出する学び舎には、クルマ業界へ将来の夢を託す若者達が全国から集まってくる。

学校に到着すると一見強面だが情熱に溢れ、学生からの信頼も厚いという学生指導の清水先生が出迎えてくださった。休講日にも関わらず、エコミッション来校を知った学生達も揃ったところで、プリウスPHVの“プラグイン充電”をお披露目する。授業でハイブリッドカーやEVカーに触れる機会の多い彼らも、プラグインハイブリッドは初めて見るという事で、見つめる眼差しの真剣さはただものではない。すぐさま技術的な事や走行性能についての質問が飛び交う。

プリウスPHVに見入る埼玉自動車大学校の学生達

プリウスPHVに見入る埼玉自動車大学校の学生達

教材やコレクションとしてたくさんのクルマを所有している中で、東京大学自動車工学の教授もその出来栄えに驚いたという学生達の力作、プリウス(20系)のカットモデルがあるというので見せていただいた。中央部からスパッと鋭利な刃物で切り取られたような精巧な作りにメンバー全員が唸る。その工作過程は、バラバラににしたパーツをひとつずつ糸のこなど身近な工具で切り取り、面取りをした後で組み直したというから、もう、ただ驚くばかりだ。クルマの前にある操作ボタンを押すと、エンジンとモーターの切り替えが再現され、キチンと駆動する念の入れ用。こうした作業の積み重ねがしっかりとした技術習得に繋がっているのかと、あらためて実感させられた。

精巧なPRIUSカットモデルも学生作品

精巧なPRIUSカットモデルも学生作品

充電が完了したところで、次世代のクルマを学生たちに体験してもらおうと試乗会を行う事にした。一般発売前のクルマを運転できるとあって、それまで少し固い表情だった学生達に笑顔が溢れる。簡単な説明をした後、滑るように校内テストコースへ繰り出して行くプリウスPHVの走りに、順番待ちの学生達から「お〜静か、早いなぁ。」などの言葉が飛び出す。試乗後に感想を聞くと、力強さと静かさのギャップが楽しい、これまで知っているクルマのどれとも違う感じ、モーターのトルク感が良い、などクルマ業界を目指す学生ならではの言葉が印象的だった。中には、やっぱりエンジンの鼓動が聞こえないと、これって自動車ですか、などの意見もあったが、それも彼らがクルマを好きな証としての大切な言葉だろう。その後も時間を延長してクルマ談義に花が咲き、彼らのような若者がいる限り次世代のクルマ社会にも希望が持てると感じる事ができた。

多くの所蔵ヒストリックカー

多くの所蔵ヒストリックカー

自動車が発明されて100年余。レシプロエンジンの時代は大きく変わり、電気エネルギーが台頭しようとする時代のこの瞬間に立ち会える事を幸運に思う。これから先の10年で、クルマだけでなく暮らし全体がエネルギーの生産・活用手段を巡って、想像を超える程ドラマチックな変貌を遂げるだろう。次世代を担う若者たちが、正確な情報の元にそれぞれのスキルを習得し、自分たちが社会を創り上げて行くという自覚を持って進む事ができれば、現在の日本が直面しているエネルギー問題にも活路が開けるに違いない。若い学生達と触れ合い、そんな事を考える素敵な一日だった。

お世話になった埼玉自動車大学校の清水先生、松村先生、
良い体験ができました。ありがとうございます。
学生のみなさん、夢に向かってがんばってください。
心から応援しています。

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8月 24日 2011

フロントガラスを叩きつけていた激しい雨が止み、雲の切れ間から妙義山の荒々しい山容が見え隠れしている。それを迂回するように上信越自動車道が蛇行する辺りで「群馬県」のサインボードを見送った。4月初旬に沖縄からスタートしたエコミッション2011@ジャパンが3ヶ月を掛けてようやく関東へと駒を進めた瞬間だ。群馬県は戦前に創設された日本初の民間航空機会社「中島飛行機」があった事から優秀な技術者が多く、現在の自動車産業の基盤を支える「自動車王国」として知られている。群馬県下でトヨタ店、レクサス店、RVパーク、U-Car、Volkswagenなどを展開し、クルマをベースにしたライフスタイルを総合的にサポートするのが「群馬トヨタ」さんだ。数ある店舗の中で交通の拠点とも言える高崎市の中心に位置する「高崎東町店」にプリウスPHVを展示するため訪問させていただいた。

目抜通りの交差点に面した美しい大型店舗

目抜通りの交差点に面した美しい大型店舗

雨の高速道路で汚れたボディを洗車してもらい、高い天井の広々としたショールームに搬入。フロア埋め込み式のコンセントはアース付き3穴タイプで充電ケーブルの取り回しも楽々完了し、“プラグイン”とともに特別展示がスタートした。来店されたお客様は思いがけない“珍客”に興味津々、充電中のプリウスPHVに足を止めていた。

今日は新入社員研修が行われており、長年トヨタ車で世界中を駆け回ってきたTeam ACP代表の横田BOSSも講演することになっている。短い時間だったが、パリダカ時代からエコミッションで巡った世界五大陸、昨年からスタートさせた日本の環境最前線を訪ねる旅の話に、メモを取りながら熱心に聞き入るフレッシュマン達の姿があった。講演が終わり展示しているプリウスPHVを取り囲むように集まった皆さんに、足掛け2年に及ぶ実走体験やEV車との違いなどを話すと、これから始まる本格的な業務を前により多くの知識を得ようと、さらに耳を澄ます表情が印象的だった。新しい時代を担う彼らが、進化を加速させる次世代のクルマと、それを取り巻くエネルギー環境を正しく理解し、真の魅力を多くの方々に広めていただきたいと願うばかりだ。

新人研修でプリウスPHVの実走体験を語る

新人研修でプリウスPHVの実走体験を語る

充電開始から3時間でリチウムイオンバッテリーは満タン。希望する数組のスタッフや一般のお客様に試乗してもらう事にした。ショールームから大通りへEVモードで滑るように走りだすプリウスPHVは高崎の街でも注目の的。5キロほどの試乗を終えて戻ったスタッフに感想を伺うと、力強くしっかりとした加速感に驚いた様子で、発売が待ち遠しいという意見が多く聞かれた。一般発売がすぐそこまで迫ったプリウスPHVが、自動車王国群馬を魅了する日も近い。肌寒いぐらいの陽気が続いていたグレーの空が一転、真っ白な入道雲が湧き上がり暑さがぶり返す上州高崎を後に、関越道を南下して開通したばかりの北関東自動車道で東北道に乗り継ぎ、次の訪問地を目指した。

プリウスPHVに足を止めていただいたお客様、お世話になった群馬トヨタのみなさま
本日はありがとうございました。

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