8月 23日 2011

大阪万博が大成功に終わり日本中が好景気に湧いていた40年前、白馬連峰を望む姫川沿いの斜面をひとり耕す男の姿があった。大規模農法がもてはやされ、農薬や化学肥料を盛んに用いて“美しい畑”で作られた“美しい野菜”が大量に市場に出まわっていた頃、あえて昔ながらの農業の魅力に惹かれ、自給自足を目指した彼は「無農薬・有機農法」の先駆者だった。

顔に力強い生きざまが刻まれている

顔に力強い生きざまが刻まれている

今年で81歳になるという彼の名は山岸豊吉さん。東宝映画の大ヒット作「あゝ野麦峠(1979)」の企画・制作に携わるなど、多くのルポルタージュ作品を中心に手がけて来た映画人でもある彼の元には多くの映画仲間が集い、農作業に汗を流して行くとの事。“土魂塾”と名づけられた畑に建つ母屋の壁に、ずらりと掲げられた塾生名札には有名俳優などが名を連ねている。

「大きいのが穫れたよ〜っ」と横浜から来た女の子

「大きいのが穫れたよ〜っ」と横浜から来た女の子

山岸さんが開墾した農地で農業体験ができるというので北安曇郡小谷村にある“土魂塾”を訪れた。樹齢千年を超える杉の大木を従えた諏訪神社に繋がるように広がる畑は、一見すると雑草が繁茂しているように見えるが、これこそが自然農法。野菜は野草と競うように力強い株に成長し、豊かな実りを授けてくれるという。横浜から自然農業体験に訪れていた子供たちと一緒に畑へ出向き、トマトやインゲン、ズッキーニ、きゅうりなどの収穫の手伝いをさせていただいた。夏の陽と土の栄養をたっぷり吸収した野菜たちは元気の塊のように輝いている。トマトをひとつもいで口にすると、パチッと弾けるしっかりとした皮の中から、ほとばしるような香りと元気が飛び込んでくる。それを呑み込むと身体中が喜んでいるように感じた。

みずみずしい加賀太きゅうりのたたき

みずみずしい加賀太きゅうりのたたき

収穫した籠いっぱいの野菜をかついで“土塊塾”の母屋へ戻り、採れたて野菜を振舞っていただくことになった。見事な加賀太きゅうりの皮を荒く剥いて麺棒で叩き割り、味噌をつけて頬張ると、口元からあふれそうな程の水気を含んで、先程のトマトに負けず劣らずの旨さ。傍らで静かに見守っていた山岸さんもうれしそうに頬張っていた。御年81歳の山岸さんだが、每日のように急斜面の畑を往き来し鍬をふるっている。「農業を続けるのが長生きの秘訣。90歳までは続けますよ。映画は借金して撮るもんだからね、年金はみんなそっちに回るんだよ。これからも畑を増やして口にする全ての食べ物を自分で作りたいんだ。」時折、少年のようにはしゃいだ表情を浮かべながら、そんな夢を語ってくれた。山岸さんはこれからも畑に出ては汗を流し、“将来の夢”に向かって進んで行くだろう。

楽しい時間をありがとうございました。
山岸さんのお人柄に強く惹かれました、いつまでもお元気で。

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8月 22日 2011

長野駅に目と鼻の先の好立地に、淡いグリーンメタリックの堂々とした構えのビルが建っている。“PRISM”の名前の通りガラス張りの吹き抜け部分が光線を透過してキラキラと美しく輝き、まさにプリズムのよう。今日一日、トヨタ販売店にプリウスPHVを展示するために訪れたのだが、平屋のショールームに大きな駐車場という多くの販売店のイメージとはかけ離れた、まるでファッションビルのような佇まいに驚かされた。

「PRISM」で充電中のプリウスPHV

「PRISM」で充電中のプリウスPHV

展示車専用のエレベーターで2階の展示フロア上るとブザーとともにゲートが開き、広々とした展示スペースに到着。美しい外観にひけをとらない高級感溢れる造りの店内では、やさしい笑顔が印象的な女性が出迎えてくれた。「長野トヨタ プリズム店 店長の鹿田です。今日一日よろしくお願いします。」全国の販売店を回って来たが女性の店長さんは初めてで、フロアに数名いたスタッフは皆さん快活な女性揃い。来店されたお客様は明るく爽やかな雰囲気の中で、快適にクルマを見ることができるだろう。

石張りのフロアに点在する埋込み式のコンセントは全てアース付きで、充電ケーブルの取り回しもスムーズに完了し、店長の鹿田さんに“プラグイン”をお願いした。同行取材していただいた「abn長野朝日放送」のTVカメラが回る前で、次世代を象徴する“カチッ”という音と共に、プリウスPHVの展示がスタートした。ゆったりとした時間が流れるような展示スペースを訪れたお客様はプリウスPHVを見つけると足を止め、充電時間や走行距離など多くの質問が寄せられ、発売間近で大きな話題となっている次世代のクルマへの関心の高さが伺える。

元気いっぱいの女性スタッフ

元気いっぱいの女性スタッフ

充電が終わり23.4キロを電気で走行できるようになったところで、スタッフ皆さんに試乗していただくことにした。搬入したエレベータで地上へ戻ったプリウスPHVに4名が乗り込んで長野駅前の大通りへ。市街地を5キロ程試乗した印象を伺うと「静かで力づよい走りに驚きました。走るというより浮き上がって進む感じですね。早くお客様にも体験いただきたい、発売が待ち遠しいです。」発売間近のプリウスPHVの魅力を感じていただけたようだ。

長野トヨタスタッフの皆さん、来店されたお客様。
本日はありがとうございました。

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8月 21日 2011

うだるような暑さが続いていた数日前が嘘のように、前線の南下がもたらした北風の影響でめっきり涼しくなった。初秋を感じるような陽気とはいえ、わずかに青みを帯びて美しく輝く日本海の砂浜には、残り少なくなった夏休みを楽しもうと家族連れや若者が繰り出し、去りゆく季節を満喫する姿が見られる。

懐かしさ漂う海の家「かに屋」

懐かしさ漂う海の家「かに屋」

糸魚川市藤崎海岸では数年前から強い結束力で結ばれた地元サーファー仲間が中心となって、海辺の環境を守ろうと始まった「ビーチクリーン活動」が頻繁に行われている。数十人のメンバーを取りまとめるのは、藤崎海岸びびら浜で夏の間「浜茶屋かに屋」という海の家を営んでいる伊藤さん。この海を愛するサーファーでもある伊藤さんを慕って、地元仲間はもちろん、はるばる長野のスキーヤーも大型バスを貸し切って参加するなど、彼の人望の厚さがうかがえる。

お隣の上越市で“ナニマウロア”というフラダンス教室を主宰する福島さんも、伊藤さんを慕って藤崎海岸に足を運ぶ仲間のひとりだ。本来フラは砂浜で踊るものという原点に立ち返り、夕陽が美しいこの海岸で踊る素晴らしさを生徒さん達に味わってもらう事に喜びを感じている。今日は日没とともに“フラダンス&タヒチアンダンス”演舞が行われるとあって、総勢100名程の“海をこよなく愛する”仲間が続々と集まってきた。

フラの先生の合図で清掃スタート

フラの先生の合図で清掃スタート

「この海岸はもともときれいですけれど、みんなで力を合わせて、もっともっと美しくしましょう!」フラダンスの先生、伊藤さんのアナウンスでビーチクリーンがスタート。集まったメンバー全員が、砂浜を注意深く探りながら小さなゴミを拾い始めた。一見きれいに見える砂浜だが、徐々にゴミの袋が膨らみ10袋ほどを集めて終了、美しさに磨きが掛かった。

浜辺の幻想的なダンスは続く

浜辺の幻想的なダンスは続く

海を愛し、海を楽しむために集う彼らの“ビーチクリーン”は、それ自体が楽しいイベントのような高揚感がある。お仕着せとか、カタチだけの義務感で参加するものは誰一人いないだろう。ストイックに環境整備を唄うのもひとつの方法だろうが「海を楽しむために“遊び場”をきれいにする」という単純明快なビーチクリーンは、海に集う仲間がいる限りずっと続いていく事だろう。すっかり暗くなった浜辺に灯されたかがり火の下で幻想的なフラダンスが続く中、陽気なハワイアンミュージックに見送られるように次ぎの目的地を目指した。

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