奈良市街を一望できる若草山は鮮やかな緑の芝に覆われ、鹿の群れがゆったりと草を食む姿に癒される場所として、観光客や地元の家族連れに人気のスポットだ。食害による森林破壊など各地で鹿の被害が叫ばれる中、千年以上前から神鹿と呼ばれて大切にされてきた奈良の鹿は、世界中で唯一、人と共生する鹿として国の天然記念物に指定されており、人に慣れているとはいえ歴とした野生動物だ。
若草山を覆う日本在来の芝「ノシバ」は種皮が非常に硬く、水分が内部に侵入しにくい堅実種子と呼ばれ、そのままでは発芽しにくい。しかし、鹿が芝とともに食べた種子は消化されずに他の場所へ移動し、排泄物の湿度で種子の皮が柔らかくなって発芽が促進され、テリトリーを広げる事ができるという。また、冬に休眠状態に入り地上部分が枯れてしまうノシバは、侵入してきた他の植物に生存を脅かされるが、発芽しても鹿が食べてくれるのでノシバが守られるという密接な関係にある。奈良の鹿は、人やノシバなど周囲の環境と共生を続けながら、長い歴史を生き抜いてきた希有な存在と言えるだろう。
歴史と伝統の町奈良は先進的な環境企業の町としても知られ、太陽光パネル製造などの生産拠点でもある。世界中から観光客が訪れる奈良が、積極的に自然エネルギーを取り入れる姿勢を示す事は、環境立国日本をアピールする上でも好ましい事だと思う。
次世代のクルマとして来年早々にも一般販売が開始されるトヨタプリウスPHVは、通常の自動車として充分な魅力を持ちながらも、移動できる小型発電所と高性能バッテリーとしての一面を持ち合わせ、電気エネルギーをクルマや住宅、さらには町と共有しながら有効活用する「スマートグリッド」に大いに貢献する全く新しい存在として注目されている。
そこで、自然と共生しながら歴史と伝統を守るとともに環境最先端の町でもある奈良で、プリウスPHVを取り扱う予定のトヨタディーラーの方々にお越しいただき「スマートグリッド」を踏まえた新しいクルマの魅力を伝えるため、トヨタ部品奈良共販本社を訪れた。田園風景が残る街道沿いにあるトヨタ部品奈良共販は、県下に3つの拠点を構え、販売店に車両部品などを安定供給する重要な役割を担っている。到着後、プリウスPHV最大の特長である充電を開始し、後に予定されている試乗会に備える。
講演会場に集まっていただいたトヨタディラーさん、グッドイヤー西日本営業部の方々に、チームACPがこれまで巡ってきた世界の「環境最前線」や「スマートグリッド構想」を交えながら、プリウスPHVの魅力を時間の許す限り話す事ができた。
講演後は、ほとんどの方が未体験だという試乗会がスタートし、講演会に参加された多くの方々にプリウスPHVのハンドルを握っていただいた。滑らかな加速感や静粛性に驚かれ、一般販売が待ち遠しいとの嬉しい反応。またスマートグリッドの一端を担う役割も知り、震災でインフラが寸断した際の活用方法が1日も早く確立する事を願う声も聞かれた。
従来のクルマとは全く違う一面を兼ね備えた多くのプリウスPHVが、東大寺や平城京をバックに颯爽と駆け抜ける姿を目にする日も近い。
Filed under: ECO-MISSION2011,近畿
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