東北自動車道を北上していると、回転灯を忙しなく点滅させながら物資や人員を載せた自衛隊や警察車両を頻繁に目にする。震災から10ヶ月以上経った今でも、崩れた切通しがブルーシートで覆われ、段差や陥没で危険な箇所の復旧工事が続いていた。上下線とも車線規制のために渋滞が頻発して移動時間が予想できない中だが、6月に世界文化遺産に登録されたばかりの「平泉」に立ち寄る事にした。これまでに何度か訪れた事のある平泉だが、東日本大震災直後の世界遺産登録という嬉しい知らせを受けて、岩手県の「復興のシンボル」として期待を寄せているという報道があったのを思い出し、どんな状況かを見てみたいと東北自動車道を降りて国道4号線沿いの「中尊寺」へ向かった。
1993年、法隆寺や姫路城、屋久島とともに日本で最初に世界遺産に登録された自然遺産「白神山地」に続き、今年6月に世界遺産リストに登録された東北地方初の文化遺産「平泉」は、数年前に申請が一度却下された経緯から、登録範囲を限定して再審査を受けたため「平泉 – 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」という長々とした名称で登録されている。
参道入口付近は人が溢れんばかりの賑わいで、駐車待ちの車列が延々と続いている。行ける所まで進もうと細い山道を登ると、すれ違うのは大型観光バスばかりなので、この先にはバス専用の駐車場しかないのではと心配したが、上り詰めた先に砂利敷きの小さな「坂の上駐車場」を発見、数台の空きがあったのでラッキーとばかりにプリウスPHVを停めた。マップを確認すると、一番の見所「金色堂」にも近いのにあまり知られていたいのだろうか、出車の時にも混雑している様子は無かったので、中尊寺参拝の折にはメインの駐車場が混雑していなくても、是非おすすめしたい駐車場だ。ここから少し下った場所には観光バスの降車場があり、県外ナンバーが混じる大型バスが続々と到着すると、旗を振るガイドに引率された観光客が降りてくる。平日にも関わらず「大挙」という言葉がぴったり来る程の混雑ぶりで、それが拝観券発行所のある「賛衛蔵」まで数百メートルも続く。「金色堂」前では主拝道「月見坂」を登って来た拝観客と合流して大群衆が出来上がり、祭りさながらの賑わいにはいささか閉口させられた。
みちのくの古都平泉が「復興のシンボル」としての役割をこれほどまでに成し遂げているとは思いもよらなかったが、「世界遺産」という冠名のチカラを改めて感じ、驚きと同時に嬉しさがこみ上げてきた。それは経済効果もさることながら、郷土の誇りとして平安時代から受け継いで来た伝統・文化が、世界に認められ、注目されているという事が心の支えになっていると感じたからだ。これから先も続けて行かなければならない長い長い復興の道筋を照らすように中尊寺「金色堂」は光輝いていた。
世界文化遺産認定で活況の「平泉中尊寺」
Music by DEPAPEPE
明日は「被災地三陸海岸に戻ってきた鮭を支える人々」を予定しています。
ご期待ください。
Filed under: ECO-MISSION2011,東北
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