4月 7日 2011

この3月に開通した九州新幹線の熊本駅で、今日から参加する地元メンバーと合流。阿蘇山麓を流れる菊池川水系川原川沿いを駆け上る。起伏の激しいワインディングを進むと、時折視界が開けて阿蘇の大パノラマが広がる。渓谷を流れる水の音、ウグイスの澄んだ鳴き声が響き渡る美しい景観を楽しみながら、大分との県境に近い小国町を訪ねた。

岡本とうふ店のお母さん「電気くださ〜い」

岡本とうふ店のお母さん「電気くださ〜い」

岡本とうふ店は地元はもとより、全国的にも知られる明治創業の老舗豆腐店だ。阿蘇に磨かれた豊富な地下水と、熊本産の大豆「福豊」を原料に、丹精込めた仕事ぶりが、多くの美食家を唸らせる。決して便が良いとは言えない立地にも関らず、休日ともなれば行列が出来る程の繁盛ぶりだ。豆腐が旨いのは言うに及ばず、一辺が25cm、厚さ4cmはあろうかという特大サイズの厚揚げは、大豆の甘い香りと、しっとりとした舌触りがたまらない。

岡本とうふ店のお母さんに「電気くださ〜い」と充電をお願いしすると、最高の笑顔で快くプラグインしていただいた。「こんなふうに充電できる未来のクルマで、わざわざ山奥まで来てくれる方々のために、いつでも充電できる場所を作ろうかしら。」と充電ステーションの設置に前向きな言葉をいただいた。老舗としてのプライドを持ちながらも、常に新しい事への関心を忘れない、柔軟な発想力にこちらが関心させられる素敵な出会いとなった。

大きな厚揚げが自慢の逸品

大きな厚揚げが自慢の逸品

豆腐店から10km程にある「ハヤノ牧場」を訪問した。ここは、昨年のエコミッション2010@ジャパンでもお世話になった、カーナビの地図で知られるゼンリンの林会長が所有するファームだ。10年前から、元々松林だった丘を切り開いて、カシ、シイ、ナラなどの広葉樹を植え、野菜、ハーブ、ブルーベリーなどの作物を育てている。林さん自ら腕を振るって、仲間と石を積み上げてハンドメイドした石釜で飛び切り美味しいピザを焼いて振る舞ってくれた。カリッとした香ばしい生地に地産地消を意識したトッピングのピザは専門店顔負けの出来映え。さらにお言葉に甘えて、今夜は大きなログハウスに宿泊させていただく事にした。

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4月 6日 2011

九州へ向かうために本部港フェリーターミナルへ着くと、水平線にポツンと見える白い船影が一直線にこちらへ向かって進んでくるのが見える。やがて大きく右旋回すると、早送り再生しているかのように急速に膨張し、圧倒されるような大きさで波止場へ接岸した。出航予定時刻まで15分しかない。急いで乗船手続きを済ませて車列の最後尾に並ぶと、すぐに先頭のクルマが船体後方にぽっかりと開いたゲートに吸い込まれて行く。係員がフロントガラスに貼付ける認識表を配りながら、プリウスPHVに興味津々といった眼差しで話しかけてきた。家庭のコンセントから充電できるクルマに乗って沖縄を巡り、次の訪問地である九州へ向かう事を告げると、激励の言葉を掛けてくれた。

本部港へ入港するフェリーとプリウスPHV

本部港へ入港するフェリーとプリウスPHV

乗船の順番が回ってきたのでゲートを上り、薄暗い船内へ進む。スロープとフロアをぐるぐると回りながら3階の駐車スペースへ停車してクルマを預けると、アンカーロープで固定されて積載完了となった。渡航中の1泊2日間はクルマに戻る事は出来ないため、出発前に小分けにした手荷物を持って船室へ向かった。

■車両積載の様子

汽笛の合図でエンジンの唸るような振動とともにゆっくり離岸し、ひと呼吸おいて後方のプロペラが勢い良く回ると、泡を含んだ海水がクリームソーダのような波紋を吐き出しながらスピードを増して行く。本部港がみるみる小さくなり、沖縄の思い出を乗せた船は外洋へ出た。

伊江海峡を過ぎたあたりから、甲板に出ているととばされそうな程の強風に見舞われた。船は大波を乗り越える度に大きくピッチングを繰り返し、20メートル以上もある最上段の甲板にまで波しぶきが飛んでくる。見える範囲の海面は白く泡立ち、6,300トンもある大きな船体を揺らし続けた。船内放送では悪天候のため寄港予定の変更が告げられ、この後、鹿児島港へ到着するまで激しい揺れと格闘しながらのハードな船旅となった。

■船体を揺さぶる波

フェリーは沖縄本部を出航し、与論島・沖永良部島・徳之島・奄美大島に寄港しながら鹿児島港を目指す。4月初旬の別れと出会いの時節、立ち寄る港ごとにドラマがあった。すっかり陽が落ちた21時30分、奄美大島の波止場は家族や友人を見送る群衆でごった返していた。進学や就職で故郷の島を後にする若者が大勢乗り込み、何本もの紙テープを大事な人めがけて投げ落していく。クモの巣のように張り巡らされた思いの丈の向こうから“でっかい夢を掴んでこいよ〜” “お前ならがんばれるぞ〜” “身体に気をつけて〜”と声が枯れるほどの激励が飛び交っている。やがて出航の時が訪れると、叫びにも似た声援が頂点に達し、見送られる若者たちは目に一杯の涙を浮かべながら手を降り続けていた。次々と千切れては暗い海へと消えてゆく紙テープが哀愁を誘う中、いつまでも島のどこかの校歌が聞こえていた。

若者の門出で賑わう奄美大島

若者の門出で賑わう奄美大島

夜が開けて鹿児島湾へ入ると正面には頂きからモクモクと噴煙をあげる桜島が見えてきた。設備の整った鹿児島港では、アンカーロープを機械が巻き取り、吸い付くようにすんなりと接岸する。予想外の時化で荒れた航海も無事に終わり、ついに九州へ上陸した。抜けるような晴天の中、咲き誇る桜を愛でながら九州自動車道を北上、最高のドライブ日和の中、今日の宿泊地熊本へ到着した。

プリウスPHVには、専用開発の「グッドイヤー GT3」が装着されている。転がり抵抗を極限まで切り詰めながら、「曲がる」「止まる」というコントロール性能の高さをも合わせ持つ低燃費エコタイヤだ。沖縄での燃費チャレンジに貢献した事は言うまでもないが、バッテリーを追加し、現行プリウスより100kg以上重い車体でも快適でソフトな乗り心地は保たれたまま、きつめのカーブをスピードを上げて駆け抜けてもヨレを感じる事がなく、プリウスPHVにベストマッチなタイヤだと実感している。

低燃費エコタイヤ グッドイヤー GT3

低燃費エコタイヤ グッドイヤー GT3

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4月 5日 2011

降り続いた雨は上がったものの、ここが沖縄?と疑いたくなるほど肌寒い夜を過ごした。早朝、ドアの隙間から漏れる光で夜明けを知り、海側の大きな窓のカーテンを一気に開いて驚いた。昨日の悪天候が嘘のように抜けるような青空の下、白い砂にエメラルドグリーンの美しいビーチ、まるで絵はがきのような景観が現れた。急いで身支度を済ませ、キメ細かいコーラルサンドの感触を楽しみながら波打ち際まで歩くと、限りなく透明で穏やかな波が、美しい曲線を描きながら打ち返している。Gazoo Mura最南端の本部は、1時間後には本部港からフェリーに乗り込んで沖縄を離れる最後の瞬間にも、すばらしい贈り物を用意してくれていた。

本部ビーチ

本部ビーチ

沖縄滞在中、できるだけ燃料を消費することなくEVモードで走るチャレンジを続けて来た。主にトヨタディーラーで充電させていただきながらの移動だったが、沖縄在住の皆さんはもちろん、観光客がプリウスPHVをレンタルできるようになると、公共設備やコンビニエンスストアなどを利用して充電すれば、最小限の燃料だけで、沖縄本島を充分に満喫できるだろう。実は沖縄自動車道にも2カ所の充電設備があるのだが、現在は残念ながら200V急速充電タイプのみ。プリウスPHVに適合する200V電源もガラスドアの向こうに見えるのだが、どういう訳か鍵が掛かっていて使えない。早急な改善を望みたい。

満タン法での計測なので多少の誤差はあるだろうが、滞在期間5泊6日の移動距離394キロを、7.87リットルの燃料で走った事になる。燃費データは結果は以下の通り。

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3月31日:那覇新港到着
ODO:12,057km
4月5日:本部港出港時
ODO:12,451km

給油量:7.87リットル 1,066円(@129円)
走行距離:394km
平均燃費:約50.06km/l
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燃費が好成績を収めることができたのは、沖縄各地で快く「カチッ」とプラグインしてくださった皆さんのお陰です。ありがとうございました!沖縄は、またいつの日か訪れてみたい心優しき南の楽園でした。
“ぐぶり〜さびら にふぇ〜で〜びる!”

■沖縄でプラグインにご協力いただいた方々

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