10月 9日 2011

3連休の初日、昨日までの悪天候が嘘のような青空が広がっていた。朝食もそこそこに札樽自動車道で札幌へ向かう。今日は北海道で初のプラグインハイブリッド(PHV)のお披露目が、ホッキョクグマの自然繁殖に成功して一躍有名になった円山動物園で開催される。しかし、いくら環境に優しいエコカーとは言え174種の野生動物が暮らす園内によくクルマの展示許可がおりたものだ。交渉を担当して頂いた方に聞いてみると「円山動物園は、札幌環境局が運営管理していてエコミッションの活動を理解してくれました。」とのこと。この言葉に気をよくして円山動物園の職員ゲートにPHVを停めると「おはようございます。」と元気な声と一緒に入館許可証が渡された。すかさず案内の方に誘導された駐車場には、100Vの電源が用意されていた。

北極グマの自然繁殖に成功した子ぐまちゃん

北極グマの自然繁殖に成功した子ぐまちゃん

1951年に開設された札幌円山動物園は、当時北海道の中核的な存在だった。その後、1997年には動物の形態展示から行動展示に施設をリニューアルした旭山動物園が注目され、NHKの「プロジェクトX」やテレビドラマの放映などで入場者数全国一になるにつけ、円山動物園の入園者数は激減。2005年、ホッキョクグマ「ピリカ」誕生を機に円山動物園は体感、体験、地域貢献型動物園へと変革する。年間パスポート1,000円(1年間有効)。中学生以下、65歳以上の札幌市在住者、身体障害者と介助者は無料など、地域に優しい料金設定を導入。一方、施設のインフラを整備し、動物の生態や自然環境を体験で学ぶ「ドキドキメニュー」など、ユニークなイベントを連日きめ細かく開催している。現在、入場者は増加傾向にあるそうだ。

家庭用100V電源をPHVにセットして時計を見ると9時の開園時間。晴天の祭日とあって開門と同時に親子連れが続々とゲートをくぐる。今日の「ドキドキメニュー」は、ビーバーの家づくり、カバの大口拝見、猛禽類のフリーフライト、リスざるのお食事タイム。エランドのワンポイントガイドとランチタイムまで続く。予約した「エゾシカの角でキ-ホルダーを作る」は、お昼少し前だ。小走りで丘を登ると、すでに子供たちが待っていた。
テーブルの上にエゾシカの角が数本並べられ、子供も大人も手に取って撫でまわす。開催している酪農学園大学の学生さんの説明によると「エゾシカの角は春にポロリと落ちます。ここに置いてあるのは拾ってきたものです」。鋭く尖った枝角が畑や田んぼに落ちていると、踏んで怪我をしたり農耕機材を壊してしまうそうだ。角に触ってみると結構重い。長さ40㎝はあるだろう、1年でこんな成長するとは驚きだ。

エゾシカ

エゾシカ

平成12年度のエゾシカ農林被害は50億円にもなる。エゾシカは北海道の森林や農林を食いつくし増殖している。天敵絶滅、ハンターの老齢化などが主な原因と考えられている。

午後になるとPHVの展示にも大勢の人が来てくれ、特別参加の「マルヤマン」登場で子供たちは大喜び。テレビ取材もあって賑やかな雰囲気になった。充電風景を記念撮影する人、来年発売のニュースをキャッチしてか、初老の方から価格の質問も多かった。

晴天に恵まれた円山動物園訪問は「東北災害地」に向け応援メッセージを頂いて、夕日を迎えた。

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10月 8日 2011

 

現在の浅草橋から見た小樽運河と散策路

現在の浅草橋から見た小樽運河と散策路

エコミッション北海道編のスタートは札幌予定だが、夕方発の大洗〜苫小牧航路の運行スケジュールで行くと予定より2日早く苫小牧港に到着する。札幌入りする前に小樽へ行こうということに・・・

 実は学生時代にバイクで小樽を旅したとき、廃船が放置された運河は埋め立て工事をしていた。観光地としてまだ有名になる前のことだ。その綺麗になった小樽運河を見に行きたいと提案した。昔、港町として栄えていた小樽の運河が使われずに衰退しヘドロが堆積し不要の長物から今は運河沿いにある石造倉庫群が貴重な歴史的建造物で小樽の宝として北海道の一大観光地になったモデルケースの場所であるからだ。

 小樽の駅前から海に向かっては、電線類が地中化された立派な大通りが走り、運河のたもとには石造倉庫群と都市景観賞を受けたホテルなどが建ち並びレトロな雰囲気を漂わせる素敵な街だ。小樽港は明治時代から開拓とともに栄えてきたが、小樽運河は大正3年に着工し9年の歳月をかけて大正12年に完成した。

そのころが繁栄の絶頂期である。この運河は内陸に水路を掘った運河ではなく沖合を埋め立てて陸との間に出来た水路なので「埋立て式運河」と呼ばれている。海上に停泊した船舶の貨物を艀(はしけ)に積み、その艀を運河に係留し倉庫へ人力で荷揚げをしていたそうだ。戦争後は樺太などとの交易がなくなったほか港湾の近代化が進んだため物流の拠点としても衰退していく。昭和40年代に入ると運河を埋め立てて道路にする方針が打ち出され、それに対し市民による運河の保存運動が何年にもわたりメディアで報道されて全国規模で高まる。半分の幅を残す妥協案が出されたが、全面保存派との意見が折り合わないまま工事に着手し昭和61年4月、現在の整備された小樽運河に生まれ変わったのだ。(小樽運河の歴史資料参考)

 運河の長さは1.144m。そのうちの674mの部分の幅が半分埋め立てられて道路になり、北運河は昔のままで幅40mのまま残された。石造り倉庫群も店舗や博物館として生まれ変わり、ガス灯のゆらめくエキゾチックな遊歩道が完成すると評判を聞きつけた観光客がドッと押し寄せた。

 まもなく近郊の山々では紅葉のシーズンを迎える季節となり週末の連休もあって、午前中の雨にもかかわらず運河に架かる浅草橋周辺は中国語や韓国語の華やいだ声に溢れていた。ガス灯は名画、イングリッット・バーグマン主演の「ガス燈」をモデルにしたとか。

運河周辺を駆ける人力車

運河周辺を駆ける人力車

 人力車が行き交い、観光ルートを循環しているレトロ風のバスが埋め立てによってできた道路(臨港線)を走る。日が暮れるとガス灯がつき、石造倉庫群がライトアップされ、カップル達のデートコースになる。衰退する全国の行政や商工会が視察に訪れるなど、地域再生のモデル事業として、注目を集めるようになった。かつてヘドロで悪臭ただよう運河から素敵な観光地として賑わっていた。平成8年、国土交通省の「都市景観100選」を受賞。

いつかまた誰かとゆっくり来たいものだ。

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10月 7日 2011

土砂降りの雨の中、大洗港へ

土砂降りの雨の中、大洗港へ

北海道まで、陸路を青森まで走るか、カーフェリーで海路を行くか悩んだが、体力を温存するため車ごとフェリーで北海道に行くことにした。

残念ながら、首都圏から北海道行きのカーフェリーは茨木県大洗港まで行かないと乗船できない。朝から怪しげな空模様だったが、昼すぎに新横浜を出発して、湾岸線に入った頃から土砂降りになった。せわしなく動くワイパーの隙間から高層ビルが霞んで見える。そのうち小降りになるだろうと期待していたが、大洗港まで140km常磐道を雨とランデブー走行になってしまった。18:30発の「さんふらわあさっぽろ」13,654トンの巨体にPHVとプリウスを積み込んで一安心。あとは寝ていれば苫小牧まで連れて行ってくれる。この「さんふらわあさっぽろ」は、旅客632名と乗用車100台に、なんとトラック180台を飲み込んで航海速力24ノットで航行する。1ノット=1,852mだから時速約45kmで大海原を進む。あれこれ海上のルールや天候にも左右されるが、20時間ほどで苫小牧へ到着する。

気になるカーフェリーの料金だが、5m以内のプリウス1台とドライバー1名で26,000円。プラチナ割引(60歳以上)とJAF会員割引を適用すると10%レスで23,400円。かなりお得感がある。常磐道、道央高速の通行料5,000円を加えても3万円弱、乗車人数にもよるがカーフェリーがお勧めだ。勿論、エコノミークラスと呼ばれる枕と毛布が45人分並ぶ大部屋だが、シーズンオフはガラガラだからパソコン用のコンセントがある場所を確保できれば、外洋に出る前にLANを接続してメールや必要な情報を取り込んでおくと楽だ。太平洋に出ると携帯やネットは繋がらない。あ、船に弱い方は乗船前に船酔い薬を飲んだほうがいい。

一方、陸路を試算してみた。いずれも乗用車1台を一人で運転した場合です。

東京~青森間は800km弱。高速代が13,500円+津軽海峡をカーフェリーで渡って18,600円也。函館から目的地札幌までは306km(東京名古屋間に匹敵する)、高速代5,300円を加えると37,400円也。燃料費を加味してトータルをザックリ計算すると4万5千円が消え、疲労が溜まる。陸路を走るなら運転できる同乗者が多いほどお得で疲れがない。それに速い。カーフェリー利用では、ドライバーが高齢者で同乗者が少ないほうがお得感があることが分かった。

あれこれ計算しているうちに睡魔に襲われ、久し振りに10時間べったり眠ったら「さんふらわあさっぽろ」は、下北半島を後にしていた。

「さんふらわあさっぽろ」と乗船を待つPHV

「さんふらわあさっぽろ」と乗船を待つPHV

 

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