紀伊半島の先端を目指し熊野街道を走る。雨上がりの澄み切った青空と紺碧に輝く海原を満喫しながらのドライブは本当に気持ち良い。バイパスを抜けた先は岩礁が織りなすリアス式海岸沿いのワインディングが延々と続く。岬を回るたびに坂道とヘアピンカーブが連続し、プリウスPHVのエネルギー表示が刻々と変化していく。こういった運転操作が煩雑なルートほど、ガソリンと電気を効率よく使い分けてくれる、賢いハイブリッドシステムを実感する。
晴れの日が多く、面積も広い和歌山県だが、再生可能エネルギーの導入実績は全国ワースト4位と少ない。この数年、遅れを取り戻すべく、海岸部の高台を中心に、関西国際空港の土砂採取事業で残った広大な跡地や、宅地開発が頓挫した場所などでメガソーラー建設ラッシュが始まっている。
本州最南端の串本で昨年3月に稼働を始めた「南海いずも台ひかりパーク串本」もそのひとつ。太平洋を見下ろす傾斜地に7,515枚のソーラーパネルを設置し、最大1,800kW(一般家庭400戸分)を発電している。
絶好の「発電日和」の中、フルパワーで電気を生み出す現場を訪れて見た。照りつける強い陽射しを受けて、パネルの表面からはもうもうと陽炎が立ちのぼる。パネルの温度が極端に上昇すると発電効率が下がると言われているが、紀伊半島先端一帯は、年中強い風が吹いているため、パネルの冷却にも一役買っているようだ。
せっかく串本まで足を運んだので、最南端「潮岬灯台」まで足を運ぶことにした。この灯台の歴史は古く、鎖国を解いた幕末に諸外国と結んだ「改税条約」によって建設することを約束したもので、1862年(明治2年)に八角形の木造灯台が稼働した。その後、1878年(明治11年)現在の石造灯台に改められ、岩礁地帯で早い潮流の潮岬沖合を航行する船の安全を見守り続けている。
案内板に灯台の電球の使用電力は1,500Whと表記してある。偶然にもプリウスPHVから取り出す事ができる電力量と同じなので、停電などで点灯できない事態になっても、数値上ではプリウスPHVの電気で灯台に灯を点すことが出来るという事になる。もちろん人命に係る灯台運行なので停電対策にも万全を尽くしているだろうが、想像しただけで何だかプリウスPHVが頼もしく思えてくる。
本州最南端のメガソーラーと串本の美しい景色を堪能し、ここからは紀伊半島東海岸へと駒を進める。中央部に広がる熊野の山々が東側の地域に雨を集め、尾鷲市は本州一雨の多い場所とされている。
梅雨本番を向かえ、空模様を心配していたが予報はまずまず。
紀伊半島の新たな顔を求めてエコミッションの旅は続く。