![土砂降りの雨が上がり美しい棚田が姿を見せてくれた。 土砂降りの雨が上がり美しい棚田が姿を見せてくれた。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
国道257号線を山間まで上るうちに、ポツポツと雨が落ちて来た。空は暗い雲に覆われ、だんだん雨が強くなってゆく。新城市の山間部にある「四谷千枚田」まであと1キロの所で、とうとうワイパーが追いつかない程の土砂降りに急変。走るのが困難になりクルマを停めて様子を見ていたが一向に止む気配がなく、泣く泣くUターンを決めた。
半ば放心状態で町へ引き返そうと10キロほど戻った所でにわかに雨が小降りになり、道ばたの茶畑に休耕地を利用したソーラー発電パネルが並んでいるのがふと目に止まった。
“ここを撮影しながら、しばらく様子をみよう。1枚当たり5kWhが10枚だから最大50kWhぐらいかな…”
![四谷千枚田へ戻るきっかけになった茶畑の休耕地のソーラー発電パネル。 四谷千枚田へ戻るきっかけになった茶畑の休耕地のソーラー発電パネル。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
などとお茶を濁しているうちに空が明るくなり、今降りてきた谷間の雲が流れ去って霧が立ちこめて来た。「これは晴れるかも知れない」プリウスPHVをもう一度Uターンさせて山道を引き返した。
![棚田の麓に到着したプリウスPHV&プリウス。周辺3カ所に駐車スペースがある。 棚田の麓に到着したプリウスPHV&プリウス。周辺3カ所に駐車スペースがある。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
四谷千枚田の麓にある駐車スペースに到着すると、傘が要らないほどまでに回復し西の空が明るくなって来た。やがて霧に覆われていた棚田や周辺の景色が、ゆっくりと幕が上がるようにその美しい姿を現してくれた。
標高差200メートル以上の急斜面に延々と続く「四谷千枚田」は想像以上に広大で、尺度の感覚が麻痺するような不思議な感覚に囚われる。メンバー全員が並んで同じ方向を見ているが会話は一切無くなり、ゆっくりと時間が流れて行く。各々の心の中には違った風景が見えているのかも知れない。四谷千枚田は、ただぼ〜っと眺めて物思いに耽るのにうってつけの場所だ。
![棚田の農道は一般車両は進入禁止。歩いて楽しむ。 棚田の農道は一般車両は進入禁止。歩いて楽しむ。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![陽が差してきた棚田には見物に訪れる人がチラホラ。 陽が差してきた棚田には見物に訪れる人がチラホラ。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![近くの連谷小学校へ通う子供たちの通学路にもなっている。 近くの連谷小学校へ通う子供たちの通学路にもなっている。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![棚田を見上げる場所で、大工さんが太い梁を手作業で仕上げていた。 棚田を見上げる場所で、大工さんが太い梁を手作業で仕上げていた。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![湿気を帯びた棚田の緑が美しい。 湿気を帯びた棚田の緑が美しい。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
400年前に開墾されたという四谷千枚田(実際には850枚)は、明治37年、激しい豪雨に見舞われ、大規模な山崩れが発生。11名の犠牲者を出す痛ましい事故で棚田の大部分が崩落してしまう。この不幸にもめげず棚田復興に全力を注ぎ、わずか5年でさらに堅牢な石積みの棚田に蘇らせたという。
![土砂災害で崩壊し多くの方が亡くなった悲しい歴史が記されていた。 土砂災害で崩壊し多くの方が亡くなった悲しい歴史が記されていた。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![標高差200メートルもあるので、横から見ると平均的な棚田よりも石積みが高いのが分かる。 標高差200メートルもあるので、横から見ると平均的な棚田よりも石積みが高いのが分かる。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
愛知県は農業用水路の密集度が日本一と言われているが、この棚田でも無数の水路が張り巡らされている。背後の森林が育む豊富な地下水を隅々まで運ぶ“血管”のような水路には、多くの生き物が棲む健康な水が流れている。
四谷千枚田には、この豊富な水を利用した「小水力発電機」が設置されている。コンパクトな設備で「でんでんちゃん」という地元小学校の児童が命名したニックネームまで与えられ地域に愛されている。発電能力は最大1,000kWhと見た目通りの小さなものだが、景観を壊す事もなく自前のエネルギーを得られる、“身の丈”に合った取り組みだと思う。棚田を耕作している周辺の家屋は19戸で消費電力も限られているし、何しろ水路は無数にあるので、この小さな発電機でも数を増やせばこの一帯の電力を賄うことが出来るのではないだろうか。
「自然エネルギー」とはいえ、美しい風景の中に突然現れるメガソーラーや、緑の高原に林立する大型風車など、景観を台無しにしているとの批判もある。小水力発電のような環境インパクトの少ない装置を上手く取り入れ、“自前のエネルギー”を増やして行く事が、次世代のエネルギー問題を解決するひとつの方法かもしれない。
![水路を覗き込むと沢山の水生昆虫、沢ガニや蛙、ホトケドジョウが蠢いていいた。 水路を覗き込むと沢山の水生昆虫、沢ガニや蛙、ホトケドジョウが蠢いていいた。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![斜面中央部を横切る道をゆっくり走るプリウスPHV。 斜面中央部を横切る道をゆっくり走るプリウスPHV。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![四谷千枚田の最上部に設置されている小水力発電機「でんでんちゃん」 四谷千枚田の最上部に設置されている小水力発電機「でんでんちゃん」](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![作った電気は公衆トイレの照明や換気ファンなどに使われている。 作った電気は公衆トイレの照明や換気ファンなどに使われている。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![四谷千枚田を流れる水路(1) 四谷千枚田を流れる水路(1)](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![四谷千枚田を流れる水路(2) 四谷千枚田を流れる水路(2)](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
![棚田の水路が合流した小川は、麓の集落でさらに大きな流れになる。 棚田の水路が合流した小川は、麓の集落でさらに大きな流れになる。](http://team-acp.co.jp/ecomission2014b/wp-content/uploads/loading.gif)
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