6月 11日 2011

昨日まで美しい稜線を見せていた出雲北山の峰々が、今朝は麓まで白い霞に覆われて今にも降り出しそうな生憎の空模様だ。山陰道を東へ向かうと左手に宍道湖が見えて来た。靄掛かった湖上では、鋤簾(じょれん)を小刻みに動かしながら名物のシジミを穫る漁船が黒いシルエットとなって、一幅の水墨画のように見える。松江を過ぎた所から米子自動車道、中国自動車道、岡山自動車道とハイウエイをスイッチしながら中国山地を抜け、今日の訪問地「吉備中央町」へ到着した。

トヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する、マチで暮らす人々にムラでしか味わえない感動体験をナビゲートしようという「Gazoo Mura」に登録されている吉備中央町では、サイトを盛り上げているブログ仲間の活発な交流がある事を知り、Gazooブロガーとして地元の魅力を発信している方々を訪ねる事にした。

深い山々を貫く幾つものトンネルを出るたび、ぽつぽつ雨が降ったり、にわかに陽が差したりと目まぐるしく変わる天気にヤキモキさせられたが、すぐには降り出しそうもないまずまずの空模様にひと安心、湿気を帯びた木々の緑が冴える田園風景の中を進み「miyakipatora」さんが営む宮木牧場へ到着した。

笑顔でプラグインしてくれたmiyakipatoraさん

笑顔でプラグインしてくれたmiyakipatoraさん

築100年を越えるという威風堂々とした母屋から笑顔いっぱいで出迎えてくれた宮木さんご夫婦に挨拶もそこそこ、プリウスPHVに充電をお願いすると、照れながらも“カチッ”とプラグインしていただき記念撮影。

とうもろこし畑を見つめる宮木さん夫妻

とうもろこし畑を見つめる宮木さん夫妻

宮木牧場さんは60頭余りの乳牛を飼いながら、とうもろこしを栽培している。生食でもはじけるような甘さを実感できるという自慢のとうもろこしは、六本木ヒルズの有名シェフも絶賛するほどの出来映えで、全国から注文が相次いでいる。作付けを始めた当初は上手く育たなかったが、牛糞堆肥を丁寧に鋤き込み、土を作る事に専念して数年後に、ようやく美味しいとうもろこしが育つようになったという。総延長48キロメートルにも及ぶ畝(うね)を相手に、種蒔き、間引き、雑草刈りなど、気の遠くなるような行程を毎日のように手作業で行なう地道な努力を続けた成果が“実を結ぶ”のだ。宮木さんは除草剤を一切使わない。雑草は程よく刈り取るだけで、きちんと手入れをしていれば、保湿や土中温度の上昇を抑える事ができるなど、雑草にも畑を好条件に保つ役割があるというのだ。開花直前のとうもろこし畑を案内していただいたが、輝くような濃緑の畑をみつめる宮木さんのやさしい眼差しが印象的だった。

地元名産のぶどう「ピオーネ」畑を見学に向かう途中で、歴史を感じる重厚な造りの社が目に止まり宮木さんに訪ねると、平安時代中期に創建されたと伝えられる国指定重要文化財の吉川八幡宮という神社で、毎年10月に一ヶ月間も掛けて行なう「当番祭」が有名なのだという。境内には樹齢数百年級の大きな檜神木がそびえ、重厚な本社が鎮座している。小さな集落でこれほど見事な氏神様を九百年以上も継承してきたことに驚かされる。人との繋がりを大切に守っていく吉備中央町の魂がここにあるのかも知れない。

今までなんとか我慢していた雨雲が堪え切れなくなったのか、ついにぽつぽつと雨が落ちてきた。宮木さんに別れを告げ、今日の宿泊先吉備高原リゾートホテルに向かった。このホテルの支配人さんも吉備中央町ブロガー「ICHIRO☆」さん。チェックインを済ませた後にロビーでお話を伺う事ができた。「GazooMuraブログを始めてから、地元との交流ばかりではなく、全国の方との繋がりも出来た事に驚いています。ムラ体験と宿泊や食材などをマッチングさせた吉備中央町の新しい魅力を発信していきたいです。」

昼食に立ち寄った「道の駅かよう」の「うっぽん」さんも地元ブロガーのおひとり。吉備中央町で初めてブログで交流させていただいた「百菜のうどん小僧」さんとは今回お会いできなかったが、お母さんとお会いして楽しい時間を過ごす事ができたし、これからブログデビューされるというイタリアンレストラン・ルーチェさんにご挨拶させていただいたりと、吉備中央町はGazooMuraのブログで、より繋がりを強めながら、全国に情報発信を続けている事を実感した。

宮木さんをはじめ、お世話になった吉備中央町のみなさま、ありがとうございました。

宮木牧場さんでは収穫期に「とうもろこし刈り体験」を実施しているそうです。興味のある方はGazooMura「miyakipatora」さんのブログをチェックしてください。

■明日は、匠の技を継承する城のお話。お楽しみに。


カテゴリー: ECO-MISSION2011,中国

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