皆さんは子どもの頃“木登り遊び”をした経験がおありだろうか?五十路を過ぎたボクなどは、神社の境内にあった鎮守の森で裸足になって木登りに興じ、セミを穫ったり基地遊びに夢中になっていた事を鮮明に覚えている。今になってその木々を見ると、足がすくむような随分高い所まで登っていたものだと我ながら感心する。もしも落下すれば大怪我は間違いなかっただろうが、その頃の大人達はただ見守ってくれていた。それは、大人達もそうして森と接し、本当に危険な事が何かを理解していたからだと思う。
エコミッションでは10年前から、「白神山地のブナ原生林」のように原始のままの荘厳な森、隅々まで人の手が入り、自然と触れ合う事を目的とした「十勝千年の森」など全国のさまざまな森を見て来た。残念な事に多くの森が、森林労働者の高齢化や安価な輸入材木に押されるなど、林業の衰退とともに世代を超えて受け継がれて来た森との関わりが途絶え、人の手が入らずに荒れてしまった“放置林”となっている現状を目の当たりにしてきた。ここ塩江でも同じ問題が起きていたが、数年前から林業を復興させようという機運が高まり、下草の刈り取りや間伐がスタートして確実に成果が現れているという。
「塩江ツリーハウス体験場」は、ツリーハウスの製作を通して森と触れ合いながら、その役割や森林環境保全を目的として今年3月にスタートした。代表の渡邉さんは各地の森を見て回る中で、ここ塩江の環境に魅了され、現在住んでいる東京から足繁く通いながらツリーハウス体験場を運営している。ただならぬ彼の情熱に地元森林組合も材木の提供などのバックアップを引き受け、少しずつではあるが棟数を増やして行く計画だという。
宿泊させていただいた「ペンションとまと」のオーナーKAZZさんや、昨日、ホタルの養殖場を案内していただいた商工会青年部長の松岡さんの子供たちに森で遊ぶ楽しさを経験してもらおうと、朝から集合、同行取材をしていただいた岡山放送TVクルーを交えた大人数がクルマ4台に便乗して、急斜面の頂上にある“遊びの森”へ向かった。
ちょうど良い機会なので、プリウスPHVをKAZZさんに試乗してもらいながら、つづれ織りの林道を15分ほど上った山の頂上にある「塩江ツリーハウス体験場」に向けて出発。朝から1時間、1/3程度の充電しかしていなかったので、道程でEVモード走行からハイブリッドに切り替わったが、全く気づかないほどなめらかな走行フィールにKAZZさんも唖然。下り坂では回生ブレーキで発電された電気が、大容量のリチウムイオンバッテリーに充電されるため、さらに燃費を延ばす事ができると知って、大いに満足してもらえたようだ。
舗装路の脇にクルマを停めて山道に入るとすぐに、わくわくするようなツリーハウスが見えてきた。それを初めて目にした子供たちの輝くような笑顔がたまらない。ツリーハウスは充分な強度を確保しながらも出来るだけ樹木に負荷を与えず、簡単に撤去もできるという相反する要求を満たす優れた構造だ。さっそくハシゴを掛けてもらい子供たちがツリーハウスに登ると、大喜びではしゃぎ回り、ハウスを出たり入ったり、テラスを走り回ったりと、見ている大人達をハラハラさせる。何しろ樹上3メートルの高さの、手すりもないフラットデッキを笑顔で行ったり来たりしているのだ。
そんな子供たちの姿に、渡邉さんがやさしく微笑みながらこう言った。
「子供は本能的に危険を察知する能力が備わっていますから、落ちるような事はありませんよ。逆に大人の方がそういった能力が退化していて危ない。子供たちは、こんな風に森と遊ぶ事で、本来もっている平衡感覚などの基本的な能力が高められ、普段の生活の中でも生かされるんです。何よりこんな素敵な表情の子供たちを見られるなんてすばらしいじゃないですか。」
なるほど、少年時代に木登りをして遊ぶボク達を笑って見ていたあの頃の大人達のように、子供の能力を信じて見守る事も大切なのかも知れない。未来を担う子供たちが森への興味を持ち続け、放置林が美しい森へ変わって行くためのマストアイテムとして、全国にツリーハウスが広がる事を夢見る渡邉さんの挑戦は続く。
■塩江ツリーハウス体験場渡邉さんのGazooブログ
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GazooMura塩江のみなさん
2日間お世話になりました。ありがとうございます。
カテゴリー: ECO-MISSION2011,四国
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