6月 25日 2011

大河ドラマ「龍馬伝」の人気も冷めやらぬ高知市内には、龍馬に因んだ膨大な量の看板が立ち並び、パンフレットを手にした観光客をあちらこちらで目にする。特に龍馬ファンという訳ではないが、大志を胸に刻んだ龍馬の気持ちの1%でも感じられたらと、高知市街を抜けて名勝「桂浜」を訪れた。むせかえるような濃い湿気を帯びた浜風を全身に浴びながら薄暮の桂浜を眺めていると「おまんはどうするぜよ!」と背中を押されるような高揚感を覚えるから不思議だ。

薄暮の名勝「桂浜」

薄暮の名勝「桂浜」

高知市街中心部、悲恋の舞台として知られる「はりまや橋」で交差する土佐電氣鐵道の路面電車は、通勤・通学など身近な移動手段として地元の方々に、親しみを込めて「土電(とでん)」と呼ばれている。100年以上の歴史を誇る「土電」だが、自家用車や路線バスの普及とともに、大幅な縮小や廃線の憂き目にあって消滅した他都市の路面電車同様、何度も存亡の危機を向かえたが、長年愛情を持って利用してきた市民の理解を受けての公金支援や車両広告などのサポート受けながら運行を続けている。東京でも銀座〜湾岸地区で復興が計画されるなど、渋滞解消や環境対策としても再注目されている路面電車の牽引役として、「土電」にはいつまでも元気に走り続けてほしいと思う。

地元では「土電」と呼ばれる路面電車

地元では「土電」と呼ばれる路面電車

レトロなカタチの茶褐色、クリームと緑のツートン、大きな窓で直線基調、3連結の欧州風、などなど。通りを行く「土電」の車両は実にバラエティーに富んだものだ。もともと経費節減のために廃線になった他路線の車両を譲り受けて運行したのが始まりというが、古い電車の保存活動も兼ねており、現在では外国の車両も導入されている事から、鉄道ファンのみならず多くの利用者の注目を集めている。

■現在運行中の車両
* 100形(ハートラム) – 1両 (101)
* 200形 – 15両 (201, 202, 204 – 214, 216, 221)
* 590形(元名鉄美濃町線) – 2両 (591 – 592)
* 600形 – 30両(601 – 605, 607 – 631)
* 700形(元山陽電気軌道) – 3両 (701 – 703)
* 800形(元山陽電気軌道) – 4両 (801-804)
* 1000形(西日本鉄道331形の機器流用車) – 2両 (1001 – 1002)
* 2000形(200形の車体更新車) – 3両 (2001 – 2003)
* 7形(維新号)
* 198形(元ノルウェー・オスロ市電)
* 320形(元オーストリア・グラーツ市電)
* 735形(元ドイツ・シュトゥットガルト市電)
* 910形(元ポルトガル・リスボン市電)
* 貨1形
 (引用:Wikipedia)

交差点には「ココ!マーク」

交差点には「ココ!マーク」

高知湾の切り込んだ入り江を取り囲むような町並みに、城下町特有の碁盤の目に配されるという独特の道路状況は、初めて訪れる観光客には方向感覚が掴みにくい。そこで高知県が考えた妙案が「ココ!マーク」。主要41の交差点に、アルファベット1文字の標識を設置し、専用のガイドマップを配布、迷った時には交差点の表記を見れば自分の位置や行きたい所が一目でわかるというものだ。実際に町を散策すると、その便利さに納得。ちなみに「ココ!マーク」はグッドデザイン賞も受賞するなど好評価を得ており、他の町にも広まって行くかも知れない。

幕末の急流の時代に輝きを放った土佐の高知は、酒の消費量が日本一だという。かつをのタタキに代表される肴をつまみながら、夜が明け切るまで威勢のいい土佐弁が飛び交い、見ず知らずの人を巻き込んで、龍馬談義に花を咲かせる。プライドと情に満ちた地元の方々が、日本一、いや、「世界一の町」と豪語するのがわかるような気がする。静と動が織りなす魅力溢れる高知は何度でも訪れてみたい町だ。


カテゴリー: ECO-MISSION2011,四国

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