2011年 3月 31日




3月 31日 2011

那覇へ上陸するプリウスPHV

那覇へ上陸するプリウスPHV

太平洋沿岸を西へ進んできた航路は、鹿児島県志布志港に立ち寄ってから南に向き変え、点々と続く島づたいに沖縄本島を目指す。刻一刻と変化する海の色が奄美大島を過ぎた辺りから濃い群青色へと一変し、生温く湿気を帯びた風がデッキを吹き抜けて行く。

春を向かえたばかりの東京から、初夏のような沖縄へと季節をまたぐ航路は1,743kmと国内最長だ。途中、外洋を航行する区間もあるが、このマルエーフェリー 飛龍21は全長167m/9,225トンを誇る巨体に、横揺れ防止スタビライザーを装備しているためか、多少荒れ気味の海面でも滑るような乗り心地で、丸2日間の長旅を快適に過ごす事ができる。パーサーの村山さんの話では、操舵室の船長を頭に、客室や機関室など総勢24名のスタッフでこの巨大な船を運行しているという。この後は那覇へ滞在すると思いきや「いえいえ、準備が整い次第、東京有明埠頭へ向けて出航しますよ。他の航路を含めた船上勤務を2ヶ月間続けて、1ヶ月間お休みをいただいて、また2ヶ月間船の上です。」というから驚きだ。

操舵室を案内してくれた池上船長

操舵室を案内してくれた池上船長

池上船長のご厚意で、船の操舵室を見学させていただいた。
三方を見渡すことができる広い室内には、整然と計器類が配置され、独特の緊張感が漂っている。ちょうど沖縄本島と伊江島に挟まれた伊江水道を通過中で、レーダーにくっきり映し出される岩礁のすき間を進む様子を間近で見る事ができた。

やがて船内放送で間もなく到着する事が告げられると、左手に那覇の街が見えて来た。長い防潮堤沿いを進み、飛行場の手前で大きく旋回した後、ゆっくりと那覇新港に接岸した。2日ぶり対面したプリウスPHVに乗り込んでPOWERボタンを押し込むと、ナビには那覇の街が映し出され沖縄に到着した事を実感する。スロープを降りて船の横にプリウスPHVを停車し、この旅初めてのプラグイン「カチッ」を池上船長にお願いした。これからどんな場所で、どんな出会いが待っているのだろう。ついにエコミッション2011@ジャパンが南の島からスタートした。


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3月 31日 2011

石廊崎、御前崎、潮岬と、太平洋に突き出た岬を結ぶような航路を進むため、一面の大海原に退屈することはない。春の日差しが降り注ぐ展望デッキで、もうすぐ見えてくるであろう、室戸岬を探していると、有明埠頭の待合室で見かけた若い親子連れに目が止まった。

衣類や日用品などを満載した福島ナンバーのクルマの持ち主、長澤さんは南相馬市で被災し、この沖縄行きフェリーに乗船した。不安と期待が入り交じる状況の中、沖縄では民間レベルでの被災者受け入れ態勢が整っていると知り、移住を決意したという。

長澤さんはサーフィンの指導者として、楽しく安全に遊べるビーチを作ることに情熱を傾け、南相馬市のNPO団体「ハッピーアイランドサーフィンツーリズム」を展開。ビーチクリーニングや海岸レスキュー隊の育成に取り組み、ジェットスキーのレスキュー方法をいち早く取り入れた事で全国的に知られた存在で、潮流の激しい場所にもかかわらず10年間事故の無いビーチを守り続けて来たという。

「沖縄に渡っても、これまでの経験を活かして、福島の復興の基盤をつくって行きたいと思っています。被災した地元の現状は、まだまだ厳しい状況ですが、それでも海を愛しています。ただ今は、子どものために遠くへ行きたい。南の海にはこころが安らぐ力もありますから。」
2歳になる東生(もとき)クンを抱っこしながら、やさしい眼差しでこう語ってくれた。

やがてい近づいて来た室戸岬を覆う緑のなかに、ぽつぽつと白く連なる桜並木を見つけた。
もうすぐ桜前線が東北地方にも春を告げる。


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