6月 26日 2011

今日の高知は群青の空に真っ白な入道雲、ジリジリとした日差しが盛夏を思わせる。高知駅南口にある町屋風の建物「とさてらす」前には炎天下にも関わらず人垣が出来ているので覗き込むと、現代風にアレンジされた幕末志士の衣装に身を包んだイケメン5人と瓦版屋風のお嬢さん1人が、たくさんのカメラに囲まれて決めのポーズを取っている。今年3月から開催されている「志国高知 龍馬ふるさと博」のイメージアイドルグループ「土佐おもてなし勤王党」のCDリリース記者発表会が行われ、見物客や報道関係者が見守る中、威勢のいい土佐弁で自己紹介が始まった。龍馬や半平太、以蔵など幕末の志士を演じながら、高知の魅力を全国にアピールするため、熱の入ったパフォーマンスが繰り広げられていた。

「土佐おもてなし勤王党」の皆さん

「土佐おもてなし勤王党」の皆さん

高知県自慢の偉人・花・食・体験をテーマに、龍馬を育んだ土佐の風土をまるごと体感できるイベント「志国高知 龍馬ふるさと博」を一層盛り上げるため、メイン会場となる高知駅南口「こうち旅広場」では、大河ドラマ「龍馬伝」で使われた龍馬の生家セットを再現した「幕末志士社中」を建設中で、7月9日(土)オープンに向け急ピッチで作業が続けられている。

高知観光情報発信館「とさてらす」は観光案内所をはじめ、龍馬ゆかりの展示物やお土産売場など“高知を知る”情報が盛り沢山で、よさこい衣装のスタッフが懇切丁寧に案内してくれる。今日は、よさこい踊りに使われる「鳴子」の手作り体験が行われるというので、地元の子供たちと参加することにした。鳴子はもともと農作物を狙う鳥を追い払うための道具をよさこい踊りに取り入れたもの。木片を並べて棒を通す作業はなかなか難しかったが、一生懸命作った鳴子をカチャカチャと嬉しそうに鳴らす子供たちの素敵な笑顔が見られた。

「志国高知 龍馬ふるさと博」開催の今年は、8月には100万人の人出で賑わう「よさこい祭り」で最高潮の盛り上がりを見せるだろう。様々な趣向を準備し、「おもてなし」の心で観光客を迎える態勢も整い、志国高知の熱い夏が始まろうとしている。

龍馬くんも“プラグイン”

龍馬くんも“プラグイン”

駅前パーキングにプリウスPHVを停車し、敷設されたコンセントから充電させて頂いた。プラグインしてもらったのは、地元TV局撮影クルーを引き連れて登場した、高知のイメージキャラクター“龍馬くん”。強い日差しが照りつける中、TVカメラに向かって何度もポーズをとっていた“龍馬くん”お疲れさまでした。

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6月 25日 2011

大河ドラマ「龍馬伝」の人気も冷めやらぬ高知市内には、龍馬に因んだ膨大な量の看板が立ち並び、パンフレットを手にした観光客をあちらこちらで目にする。特に龍馬ファンという訳ではないが、大志を胸に刻んだ龍馬の気持ちの1%でも感じられたらと、高知市街を抜けて名勝「桂浜」を訪れた。むせかえるような濃い湿気を帯びた浜風を全身に浴びながら薄暮の桂浜を眺めていると「おまんはどうするぜよ!」と背中を押されるような高揚感を覚えるから不思議だ。

薄暮の名勝「桂浜」

薄暮の名勝「桂浜」

高知市街中心部、悲恋の舞台として知られる「はりまや橋」で交差する土佐電氣鐵道の路面電車は、通勤・通学など身近な移動手段として地元の方々に、親しみを込めて「土電(とでん)」と呼ばれている。100年以上の歴史を誇る「土電」だが、自家用車や路線バスの普及とともに、大幅な縮小や廃線の憂き目にあって消滅した他都市の路面電車同様、何度も存亡の危機を向かえたが、長年愛情を持って利用してきた市民の理解を受けての公金支援や車両広告などのサポート受けながら運行を続けている。東京でも銀座〜湾岸地区で復興が計画されるなど、渋滞解消や環境対策としても再注目されている路面電車の牽引役として、「土電」にはいつまでも元気に走り続けてほしいと思う。

地元では「土電」と呼ばれる路面電車

地元では「土電」と呼ばれる路面電車

レトロなカタチの茶褐色、クリームと緑のツートン、大きな窓で直線基調、3連結の欧州風、などなど。通りを行く「土電」の車両は実にバラエティーに富んだものだ。もともと経費節減のために廃線になった他路線の車両を譲り受けて運行したのが始まりというが、古い電車の保存活動も兼ねており、現在では外国の車両も導入されている事から、鉄道ファンのみならず多くの利用者の注目を集めている。

■現在運行中の車両
* 100形(ハートラム) – 1両 (101)
* 200形 – 15両 (201, 202, 204 – 214, 216, 221)
* 590形(元名鉄美濃町線) – 2両 (591 – 592)
* 600形 – 30両(601 – 605, 607 – 631)
* 700形(元山陽電気軌道) – 3両 (701 – 703)
* 800形(元山陽電気軌道) – 4両 (801-804)
* 1000形(西日本鉄道331形の機器流用車) – 2両 (1001 – 1002)
* 2000形(200形の車体更新車) – 3両 (2001 – 2003)
* 7形(維新号)
* 198形(元ノルウェー・オスロ市電)
* 320形(元オーストリア・グラーツ市電)
* 735形(元ドイツ・シュトゥットガルト市電)
* 910形(元ポルトガル・リスボン市電)
* 貨1形
 (引用:Wikipedia)

交差点には「ココ!マーク」

交差点には「ココ!マーク」

高知湾の切り込んだ入り江を取り囲むような町並みに、城下町特有の碁盤の目に配されるという独特の道路状況は、初めて訪れる観光客には方向感覚が掴みにくい。そこで高知県が考えた妙案が「ココ!マーク」。主要41の交差点に、アルファベット1文字の標識を設置し、専用のガイドマップを配布、迷った時には交差点の表記を見れば自分の位置や行きたい所が一目でわかるというものだ。実際に町を散策すると、その便利さに納得。ちなみに「ココ!マーク」はグッドデザイン賞も受賞するなど好評価を得ており、他の町にも広まって行くかも知れない。

幕末の急流の時代に輝きを放った土佐の高知は、酒の消費量が日本一だという。かつをのタタキに代表される肴をつまみながら、夜が明け切るまで威勢のいい土佐弁が飛び交い、見ず知らずの人を巻き込んで、龍馬談義に花を咲かせる。プライドと情に満ちた地元の方々が、日本一、いや、「世界一の町」と豪語するのがわかるような気がする。静と動が織りなす魅力溢れる高知は何度でも訪れてみたい町だ。

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6月 24日 2011

高松自動車道を降りて高松市街を走りだすと、いたる所で「讃岐うどん」の看板が目に止まる。多い場所では見える範囲に5つ以上のうどん店が軒を並べ、“やっていけるのか?”と、いらぬ心配をしてしまう程だ。総務省の家計調査によると、都道府県別うどん・そば消費量ランキング1位は香川県で、1世帯あたりの年間消費量は33.2kgと全国平均の2.11倍。店舗数でも人口10万人あたり65.77軒で全国平均の3倍という圧倒的な結果が出ている。さすがは県民食の筆頭、讃岐うどんの本場だけの事はある。

うどん店が林立する本場香川県

うどん店が林立する本場香川県

讃岐うどんの命とも言える、跳ね返るような強いコシと小麦の香りを維持するために、各店舗や製麺所では厳しい基準を設け、適正な熟成時間を超えてしまったうどんは焼却処分されている。廃棄量は香川県全体で年間1500トンにも上り、7割が水分のうどんを燃やすために、より多くの燃料が必要となるためCO2の発生量も膨大となる。ゆで汁の不法投棄による河川汚染とともに、うどん業界を取り巻く環境へのダメージが社会問題となっている。この難問解決に地元企業が名乗りを上げ、廃棄うどんからバイオエタノール精製に成功したという話を聞き訪問する事にした。

冷凍うどん生産ライン 画像提供:ちよだ製作所様

冷凍うどん生産ライン 画像提供:ちよだ製作所様

高松市郊外で製造プラントや搬送設備を開発・製造している「株式会社ちよだ製作所」は、太陽光発電やバイオエタノール精製などの環境事業にも積極的で、常に地域社会に貢献する新しい技術を生み出してきたバイタリティ溢れる企業だ。

敷地内にクルマを進めると、2基の自動追尾装置付きソーラー発電パネルが出迎えるように設置されている。挨拶もそこそこにプリウスPHVに充電をお願いすると、池津社長自ら快く応じていただいた。娘さんがプリウスオーナーで、先日発売されたばかりの「プリウスα」をオーダーして納車を待っているという事で、プラグインハイブリッドにも大変興味を示していた。

池津社長に充電をお願いした

池津社長に充電をお願いした

技術開発担当の尾嵜さんを交えて環境事業についてお話を伺うと、しっかりとまとめられたプレスリリースが用意されており、強い思い入れを感じる。4年前から再生可能エネルギーの開発をスタートさせ、環境先進国スウェーデンのバイオメタンガスインフラを調査・研究し、廃棄食品を原料としたバイオガス発酵設備を建設したのを皮切りに、太陽光発電など再生可能エネルギー設備の開発を進めている。

メタンガス発酵プラント

メタンガス発酵プラント

今回の「廃棄うどんバイオエタノール精製」事業で「かがわ産業支援財団」の新事業公募にエントリーし見事審査に合格、産業技術総合研究所四国センター、県産業技術センター食品研究所の協力を得て溶解酵素や酵母を共同開発し、昨年暮れに精製プラントを完成させ実証実験を始めている。精製されたバイオエタノールは精製度60%と、クルマの燃料に使用するにはさらに精製が必要で、コストが掛かりすぎるため、発電設備や食品製造ラインの燃料に使用する予定だという。

うどんからの精製行程を解説

うどんからの精製行程を解説

廃棄されたうどんからバイオエタノールが生まれ、抽出後の“残さ”もメタン発酵プラントでメタンガスの原料となり、その燃料で稼働する生産ラインで再びうどんが作られるという、うどんを取り巻くエネルギー循環の実現にむけた挑戦は始まったばかり。うどんに限らず、パンや米など多様な食品にも応用できる技術で香川県発、世界のオンリーワンを目指す「株式会社ちよだ製作所」に、今後も注目していきたいと思う。

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