高松市内から剣山系の山懐にある「GazooMura祖谷」を目指して高松自動車道を西へ向かう途中、ワイパーを最速にしても前が見えにくいほどの猛烈な雨に見舞われた。ボディ下から“ドドッ”と大量の水がぶつかる音が聞こえ、まるで渡河しているかのようだ。前を走るプリウスPHVの足回りに目をやると、リブのすき間から跳ね上がる3本の水柱がはっきり見える。“ああ、このクルマもあんな風に排水しながら走っているのか”と少し安心する。車重の関係でサスペンションのセッティングが異なるとは言え、同じタイヤを到着したプリウス同士が並走すると、お互いの足回りをチェックしながら走行できるのが面白い。
しばらくすると雨も小降りになり、高速を降りて峠道を上り始める。きついカーブの度に狭くなるタイヤハウスの中で踏ん張ったり、直線に入ってゆっくりとサイドの膨らみを戻していくタイヤの状態を観察していると、何気なく運転している間にも、しっかりと働いてくれているタイヤが愛おしくさえ思えてくる。
エコミッションの旅でプリウスPHVと現行プリウス(30系)が履いているのは共に新車購入時に標準装着されている、いわゆるノーマルタイヤ「GT3」だ。20系プリウスから標準装着が始まったグッドイヤーのエコタイヤ「GT3」は現行プリウス(30系)にも引き継がれ、Lグレードでは100%標準装着されている。現在、法人向けに限定提供されるプリウスPHVにも全車に装着されており、息の長いパートナーとしてプリウスを支え続けている。
サイズは「185/65R15」と多少狭い事に加え、ラウンドショルダータイプなので接地面積は155サイズ並みで「ころがり抵抗」が極めて少なく、燃費向上に大きく貢献している。同時に、3本の溝をもつリブ基調のトレッドパタ−ンの採用や、シリカ等を使用することにより高いウエット性能を持ち合わせ、安全性能との両立を果たしている。プリウスの技術担当者が、数ある選択肢の中で、せっかくの最新性能がスポイルされる事のないよう「GT3」をチョイスしたのもうなずける。
Team ACPと「GT3」の付き合いは「ECO CAMP2009@Australia」でオーストラリア大陸を一周した時にはじまる。発売直後の30系プリウス購入を機にノーマルタイヤである「GT3」で新たな旅を始める事にしたのだ。それまで3年以上慣れ親しんだグッドイヤー「RV-S」に比べると多少柔らかい印象を受けるが、負荷が掛かるようなタイトコーナーでよれるような事もなく、グラベルを含む多様な14,000kmのルートをノントラブルで駆け抜けてくれた。それ以降、低燃費でなめらかな乗り味の「GT3」が旅の相棒としてエコミッションを支え続けている。
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