6月 30日 2011

高松市内から剣山系の山懐にある「GazooMura祖谷」を目指して高松自動車道を西へ向かう途中、ワイパーを最速にしても前が見えにくいほどの猛烈な雨に見舞われた。ボディ下から“ドドッ”と大量の水がぶつかる音が聞こえ、まるで渡河しているかのようだ。前を走るプリウスPHVの足回りに目をやると、リブのすき間から跳ね上がる3本の水柱がはっきり見える。“ああ、このクルマもあんな風に排水しながら走っているのか”と少し安心する。車重の関係でサスペンションのセッティングが異なるとは言え、同じタイヤを到着したプリウス同士が並走すると、お互いの足回りをチェックしながら走行できるのが面白い。

しばらくすると雨も小降りになり、高速を降りて峠道を上り始める。きついカーブの度に狭くなるタイヤハウスの中で踏ん張ったり、直線に入ってゆっくりとサイドの膨らみを戻していくタイヤの状態を観察していると、何気なく運転している間にも、しっかりと働いてくれているタイヤが愛おしくさえ思えてくる。

大雨の高松自動車道

大雨の高松自動車道

エコミッションの旅でプリウスPHVと現行プリウス(30系)が履いているのは共に新車購入時に標準装着されている、いわゆるノーマルタイヤ「GT3」だ。20系プリウスから標準装着が始まったグッドイヤーのエコタイヤ「GT3」は現行プリウス(30系)にも引き継がれ、Lグレードでは100%標準装着されている。現在、法人向けに限定提供されるプリウスPHVにも全車に装着されており、息の長いパートナーとしてプリウスを支え続けている。

サイズは「185/65R15」と多少狭い事に加え、ラウンドショルダータイプなので接地面積は155サイズ並みで「ころがり抵抗」が極めて少なく、燃費向上に大きく貢献している。同時に、3本の溝をもつリブ基調のトレッドパタ−ンの採用や、シリカ等を使用することにより高いウエット性能を持ち合わせ、安全性能との両立を果たしている。プリウスの技術担当者が、数ある選択肢の中で、せっかくの最新性能がスポイルされる事のないよう「GT3」をチョイスしたのもうなずける。

プリウスPHVにも標準装着されるグッドイヤー『GT3』

プリウスPHVにも標準装着されるグッドイヤー『GT3』

Team ACPと「GT3」の付き合いは「ECO CAMP2009@Australia」でオーストラリア大陸を一周した時にはじまる。発売直後の30系プリウス購入を機にノーマルタイヤである「GT3」で新たな旅を始める事にしたのだ。それまで3年以上慣れ親しんだグッドイヤー「RV-S」に比べると多少柔らかい印象を受けるが、負荷が掛かるようなタイトコーナーでよれるような事もなく、グラベルを含む多様な14,000kmのルートをノントラブルで駆け抜けてくれた。それ以降、低燃費でなめらかな乗り味の「GT3」が旅の相棒としてエコミッションを支え続けている。

ECO CAMP2009@Australiaでグレートセントラルロードを走る30系プリウス

ECO CAMP2009@Australiaでグレートセントラルロードを走る30系プリウス

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6月 28日 2011

次の出会いを求めて走るプリウスPHV

次の出会いを求めて走るプリウスPHV

“プラグイン・ハイブリッドカー”と言えば、「コンセントから充電した電気で走り、電気が無くなるとガソリンで走るクルマ」というのが売りで、実際にリチウムイオンバッテリーを満タンにすると23.4kmを電気だけで走行できるため、通勤や買物など日常的な使われ方の大半を電気だけでカバーし、週末に遠出するようなケースではハイブリッドカーとして電池残量を気にせず、どこまででも走る事ができる。もちろんこれは素晴らしい進化といえるだろうが、プリウスPHVと現行プリウスとの違いは「充電できる」だけではない。

エコミッションでは現行プリウス(30系)とプリウスPHVが同じ条件で旅を続けている。フツーの人が日本中の様々な道路をごくフツーに乗った場合を想定しながら走っているので、特に燃費に気遣った走り方をしていない。暑い日にはエアコンもつけるし、高速道路では流れにのってアクセルを踏み込んだり、急勾配の林道を駆け上がる事もある。宿泊先の駐車場には充電設備がほとんど無いため、訪問先でコンセントがある場合に限り、短時間の充電をお願いしている程度で、今回の総走行距離3,660kmのうちコンセントからの電気で走行した距離は200kmにも満たないだろう。つまり「プラグイン」の恩恵をあまり受けずに全行程を走った訳だが、それでもプリウスPHVは現行プリウスに比べ、18.26%も低い燃費を記録した。これは140kgも重い事を考えると驚くような数値だ。一般発売後には、自宅や勤務先に充電設備(と言っても普通のアース付き100V、または単層200Vコンセント)を設け定期的に充電するという方が大半を占めるだろうから、その差は相当なものになることは容易に想像がつくというものだ。

大阪に到着したプリウスとプリウスPHV

大阪に到着したプリウスとプリウスPHV

この差はひとえにバッテリー容量に起因している。現行プリウスとプリウスPHVが並走しながら山を越えて隣町へ移動したとする。負荷が掛かる上り坂では当然エンジンが回り、140kgも重いプリウスPHVはより多くのガソリンを消費するだろう。2台は山の頂上を過ぎて下り坂に差掛かり、減速するたびに回生ブレーキで発生した電気をバッテリーへと蓄電しはじめる。しばらくすると現行プリウスのバッテリーは満タンになってしまうが、バッテリー容量が4倍あるプリウスPHVは坂を下り切るまで充電を続け、隣町へ到着するころにはたっぷりと電気が蓄えられていて、EVのアシストでより長い距離を走行できるという訳だ。つまり蓄えられた電気が、上り坂で消費されるガゾリンを上回るエネルギーとして駆動系に生かされているため、大きな燃費差となって現れたという事になる。

■中四国編におけるプリウスPHVと現行プリウス(30系)の燃費データ

プリウスPHV
走行距離  3,660 [km]
燃料使用量 160.4 [L]
燃費    22.8 [km/L]

現行プリウス(30系)
走行距離  3,668 [km]
燃料使用量 189.7 [L]
燃費    19.3 [km/L]

今回の旅でも多様な路面状況の中、2台の燃費を計測してみたが結果は一目瞭然。プリウスPHV はバッテリー容量増よって燃費向上の恩恵を受けており、その差は明らかだ。仮にコンセントから全く充電せずに走行した場合でも、現行プリウスより15%以上の好燃費を得る事ができるという予想以上のデータとなった。プリウスPHVは、単にコンセントで充電できるプリウスではなく「走る発電所+大容量蓄電装置」。クルマや住宅、さらには町とエネルギーを共有する「スマートグリッド」の一端をいち早く味わえる1台なのである。

■田園風景を走るプリウスPHVオンボードカメラ

■次回は走行性能の要、プリウスPHVに標準装着される
 GOODYEARエコタイヤ「GT3」についてレポートします。お楽しみに。

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6月 27日 2011

PRIUS PHV

PRIUS PHV

6月5日に東京から920kmを直走り、津和野からスタートした「エコミッション2011@ジャパン中四国編」は、南国土佐を後にして終わりを向かえようとしている。鳴門海峡を渡り淡路島の美しい海岸沿いを走りながらキラキラ輝く海面を眺めていると、時間を遡るように印象的なシーンが思い浮かぶ。梅雨本番で心配された天気に悩まされる事も少なく、新緑映える美しい風景の中で、地元に愛着とプライドを持ちながら前を向いて暮らす方々に会う事ができた。「沖縄・九州編」にも増して、たくさんの素晴らしい出会いに感謝。世界最長の吊り橋「明石海峡大橋」を越えて都市高速に入ると、日常の生活に一歩近づいたような気がする。

お世話になった皆様、ありがとうございます。
またいつの日かお会いいたしましょう。
エコミッションは次のステージ準備のため帰京いたします。

■中四国編訪問地
6月 6日(月):水郷「津和野」〈島根県津和野町〉
6月 7日(火):津和野小学校「エコキッズ飛行船教室」〈島根県津和野町〉
6月 8日(水):日原小学校「エコキッズ飛行船教室」〈島根県津和野町〉
6月 9日(木):ネッツトヨタ島根益田店 訪問〈島根県益田市〉
6月10日(金):山陰道ドライブレポート〈島根県益田市〜出雲市〉
6月11日(土):GazooMura吉備中央 訪問〈岡山県吉備中央町〉
6月12日(日):継承する匠の技「国宝姫路城」〈兵庫県姫路市〉
6月13日(月):どろんこ遊び田植え体験〈兵庫県加古郡稲美町〉
6月14日(火):エコステーション大阪駅〈大阪府大阪市〉
6月15日(水):水の都大阪復興のシンボル「ほんまや」〈大阪府大阪市〉
6月16日(木):太古のノコギリクワガタ〈奈良県橿原市〉
6月17日(金):トヨタ部品奈良共販 訪問〈奈良県奈良市〉
6月18日(土):平城京へ続く日本最古の国道〈奈良県奈良市〉
6月19日(日):里山にミツバチを訪ねて〈大阪府豊能郡豊能町〉
6月20日(月):GazooMura祖谷 訪問〈徳島県三好市〉
6月21日(火):高松市立木太小学校 訪問「エコキッズ」〈香川県高松市〉
6月22日(水):GazooMura塩江訪問〈香川県高松市塩江町〉
6月23日(木):塩江ツリーハウス体験場 訪問〈香川県高松市塩江町〉
6月24日(金):讃岐うどんのエネルギー循環を目指して〈香川県高松市〉
6月25日(土):「土電」が行き交う歴史と情の町〈高知県高知市〉
6月26日(日):志国高知 龍馬ふるさと博〈高知県高知市〉

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