10月 14日 2011

下川町「Gazooの森」に植えられたカラマツの苗たちがゆっくり森になる

下川町「Gazooの森」に植えられたカラマツの苗たちがゆっくり森になる

遙か昔から日本中の森で受け継がれて来た、循環型林業を基本とした持続可能な森林は、安価な輸入材が流通し始めた50年前を境に放置されはじめ、再生が難しいほど荒廃が進んでしまった「放置林」が増え続けている。もちろん長い年月を経て、元来の植生に回帰していく森も多いが、その3割は崩壊の危険をはらみ、土砂災害のきっかけになる可能性が高いという。下川町では安斎町長自らが先頭に立って、植樹してから長い年月をかけて循環する森の将来を見据え、継続的に快適で暮らしやすい地球環境を維持するために日夜奮闘している。「おいでよ森林(もり)と人が輝く町しもかわ」のキャッチフレーズを掲げ、林業振興に積極的な自治体として全国的にも知られており、トヨタ自動車が始めた、ハイブリッドカーラインナップ(SAI、プリウス、プリウスα)での、エコ運転の成果をポイントとして蓄積し、植樹活動に寄与できるという新しい試み「ESPOポイントプログラム※」の植樹地「Gazooの森」を全国で初めて受け入れている。

次世代のクルマ「プリウスPHV」で「Gazooの森」を訪問したいとの申し出に、快く応じていただいた下川町建設林務課林業振興推進室長の三条さんを町庁舎に訪ねた。まずは安斎町長を表敬訪問。正面玄関横にあるコンセントから、プリウスPHVに“カチッ”とプラグインしていただき充電させてもらっている間、お話を伺う事ができた。

下川町の安斎町長を表敬訪問

下川町の安斎町長を表敬訪問

「北海道の中でも特に寒さが厳しいここ下川で、万が一停電が起こった場合、1〜2時間はどうにか我慢できるかも知れませんが、長引いた時の事を考えると不安は尽きませんね。現在の暖房機器は電気なしでは稼働できないものがほとんどですから。ペレット燃料のストーブも普及していますが、やはり電気が欠かせない。何とか早い時期に自前のエネルギーインフラを考えないといけない。浜頓別のように安定した風に恵まれた所は風車が有効でしょうが、開けた場所がない下川のそよ風ではままならないでしょう。いずれにしても小規模発電による自立が大切な時代になって来ているのかも知れません。」

森林に造詣が深い町長さんは、エネルギー問題にも強い関心をもっていて、電気を蓄えて運ぶことができるようになるプリウスPHVに興味が尽きない様子だった。森林維持のために途切れる事のない体制づくりに忙しい中、穏やかな笑顔で出迎えてくれた町長さん、貴重な時間を割いて頂いてありがとうございました。

“林業の要”林道がしっかりと管理されている

“林業の要”林道がしっかりと管理されている

三条さんの案内で植樹が始まっている「Gazooの森」を見せてもらうため、下川町のブロガーさん達もプリウスPHVに同乗していただいき、山道を登る事にした。「林道」と聞いて気負っていたが、一部未舗装区間があるものの良く整備された快適な道が続く、さすがは林業の町を謳うだけあって、要としての林道整備に余念がない。町庁舎をスタートして紅葉が美しい沢沿いのルートを15分ほど登っただろうか、森に覆われていた視界がパッと開け、臼状の山腹が見えてきた。

「Gazooの森」に到着

「Gazooの森」に到着

伐採した後の切り株を掘り起こして整地された斜面に、カラマツの赤ちゃんが行儀よく並び、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。数十年後には立派な森へと姿を変えるだろうが、その間にも間伐や枝打ち、下草の刈り取りなど、多くの人の手が入ることで健全な森が維持できる事を忘れてはいけない。「Gazooの森」は森林がもたらす恩恵以外にも雇用を拡大させることにも繋がるのだ。

パッチワークのような紅葉が美しい手付かずの自然林と、しっかりと管理され健康美に溢れる林業の森が見事に調和した山々が、晩秋の夕陽に照らされて誇らしげにバックミラーに映り込む。「Gazooの森」は都市を走るハイブリッドカーと森を繋ぐ架け橋として、全国に拡大して欲しい試みだと実感しながらGazooMura下川町を後にした。

ESPOポイントプログラムとは
エコドライブの運転結果をトヨタのテレマティクスサービスG-BOOKを通じてG-BOOKセンターに送信し、その情報をもとにエコドライブ度をポイント化してESPO画面に表示。パソコンやケータイ、ナビでエコドライブ履歴やランキングを比較・分析することができる。さらに獲得したポイントは、「Gazooの森」への植樹による環境保全活動に寄付できる。

詳しい内容はWebサイトで エコドライブしよう!


Music by DEPAPEPE

特定非営利活動法人「森の生活」
下川町でお会いした麻生さん達の森を守り育てる活動も注目です。
若い力で森林環境教育などを精力的に行ない森林に活力を与え続けています。

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10月 13日 2011

最北端のガズームラ下川町へ

最北端のガズームラ下川町へ

峠道に差し掛かると稲妻が引っ切り無しに青白い閃光を描き、ワイパーを最速にしても追いつかないほどの豪雨が降りしきる中を、深い森に抱かれた「五味温泉」に到着した。紅葉が見頃を迎えているというのに雨はますます激しくなり、周辺を散策することもままならない。明日から晴れ間が広がるという予報に期待しながら、温泉に浸かって旅の疲れを癒す事にした。深い森にポツンと一件だけ建っている五味温泉は、林業が盛んな下川町らしく木をテーマにした暖かい雰囲気で迎え入れてくれる。湧き出している源泉温度が低いため、木質系バイオマスボイラーで加温を行っているが、様々な効能が評判になり地元の日帰り入浴客にも人気の温泉だ。

トヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する「Gazoo Mura」とは、インターネットとクルマを通じて、マチで暮らす人々にムラでしか味わえない感動体験をナビゲートして、出会いの場と輪を広げ、日本を元気にしようという新しい取り組みだ。足掛け2年に渡る環境最前線を巡る「エコミッション@ジャパン」でも素晴らしい出会いを求めて、 最南端のGazooMura本部町(沖縄県)をはじめとして多くのGazooMuraを訪れ、Gazooサイトでブログを開設して地元の魅力を発信している方々に出会ってきた。ここ、最北端のGazooMura下川町でも、地元の情報を精力的に発信するブロガーさんに集まっていただき、下川町の見所を一緒に回る事にした。

Gazooブロガーさんとランチタイム

Gazooブロガーさんとランチタイム

集合場所の下川町役場にはすでに数名のブロガーさんが到着していて、素敵な笑顔で出迎えてくれた。町職員で今回の訪問をサポートしていただいた三条さん(「Gazooの森」下川ムラ)、地域学「しもかわ学会」の川島さん(はるころ)NPO法人しもかわ観光協会の早坂さん(shimokan)と大澤さん、名寄新聞社の小峰さん(コミ小峰)下川製箸の濱下さん(伸ちゃん)。挨拶もそこそこにプリウスPHVに同乗してもらい、森に囲まれた「エコハウス」を訪れた。

エコハウスでプリウスPHVを充電させていただく

エコハウスでプリウスPHVを充電させていただく

「エコハウス」は適切に管理された森林で生産された材木の証「FSC認証材」をふんだんに使ったシンプルな外観とは裏腹に、太陽光発電やバイオマス暖房設備、木質繊維断熱など、多くのハイテク装備満載の環境負荷を低減しながらも快適に暮らせる次世代モデル住宅だ。広々とした駐車スペースにプリウスPHVを停めて充電をさせてもらう間、中を見せていただく事にする。肌寒い屋外から玄関を入ると、暖房を使用していないのにポカポカしている。太陽光を巧みに取り入れて暖気を自然循環させる吹き抜け構造や、壁にたっぷりと入っている木質繊維の断熱材、2重の合せガラス窓の効果だという。これならば極寒でも暖房エネルギー消費を抑える事ができるだろう。最新のエコ技術を随所に取り入れながらも木の香りが心地よく、快適に過ごすことができる。窓から眺める深い森の景観も素晴らしく予約をすれば休憩や宿泊もできるというので、下川町を訪問予定の方は候補のひとつに上げてみてはいかがだろうか。

湿地には木道が整備されている

湿地には木道が整備されている

エコハウスの側を流れる沢沿いには木道が整備され、昨日の荒天が嘘のように晴れ渡った青空に映える紅葉を眺めながら、のんびりと散策。四季折々の景観を楽しめるが、特に夏にはたくさんのホタルの乱舞が見られるという。こちらもおすすめのスポット。

地元の人が集う「はるころカフェ」

地元の人が集う「はるころカフェ」

下川の町へもどり、ブロガーさんがオーナーの美花夢(美花夢じいじ)で地産地消で提供しているという昼食。その後、やはりブロガーさんが経営している「はるころカフェ」(はるころ)でコーヒー&ケーキタイムと下川の美味しさにも出会うことができ、すっかり下川町の虜になってしまった。

下川町開拓100年のシンボル「万里の長城」

下川町開拓100年のシンボル「万里の長城」

その後、ブロガーさん達に紹介してもらった「万里の長城」を訪ねてみた。「桜ヶ丘公園」をぐるりと囲む長城は、この地を訪れた人々が一つ一つ手で石を積み重ねて作られたもので全長2kmに達しなかなかの迫力だ。長城の一番高いところまで登ると下川町を一望できる。またひとつGazooMuraが繋ぐ出会いに感謝しながら、夕暮れ近い山々が連なる美しい景観をいつまでも眺めていた。

明日は、下川町長表敬訪問の後、「Gazooの森」を訪れた様子をお伝えする予定です。ご期待ください。

快晴ドライブ@GazooMura下川町

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10月 12日 2011

道央自動車道の終点まで走り275号線(頓別国道)をさらに北上すると、頓別川が蛇行しながらオホーツク海に注ぐ河口部でオホーツクラインに合流する。ここ浜頓別町一帯の平野部には、ラムサール条約に登録され多くの渡り鳥が越冬にやって来る「クッチャロ湖」を中心に三日月沼や水路が点在する湿原が広がり、太古の大自然を色濃く残している。晩秋を迎え、繁茂する草原が黄金色に輝く大パノラマの向こうには、5基の風車がオホーツク海を吹き抜ける風を捉えて、ゆったりと回っていた。

風車のシルエットが美しい夕暮れ

風車のシルエットが美しい夕暮れ

Team ACPはエコミッション2001@ジャパンで、町民の力で実現した風車「はまかぜちゃん」が建設されたばかりのここ、浜頓別町を訪れている。あれから10年が過ぎ、エネルギー問題が熱を帯びる今こそ「はまかぜちゃん」その後の姿を見てみたいと再訪することにした。この風力発電事業の発起人で、浜頓別町森林組合の代表理事を務める鈴木さんを町役場に訪れると、懐かしい笑顔で出迎えてくれ、10年前の記憶が一気に蘇ってきた。

「はまかぜちゃん」生みの親、鈴木芳孝さん

「はまかぜちゃん」生みの親、鈴木芳孝さん

「はまかぜちゃん」誕生の道のりは、鈴木さんを始めとする町民の勇気とパワーを感じるエピソードに溢れている。核廃棄物処分場誘致を推進したい行政と、それに反対する町民との衝突に端を発し、それならばエネルギーを自分たちの手で作り出そうと風力発電建設を町民に呼びかけた。鈴木さんが始めた活動は大きなウネリとなって町を包み、人口4.000人足らずの浜頓別町にあって、家計を預かる主婦層が中心の200人余りの町民が“身銭を切って”これに参加、地元企業の協賛もあって1億3千万円の巨費を捻出する。それでも足りない数千万円を工面するべく運営法人を設立し電力売却費を担保に融資を受けて、町民の夢とお金を集めて作った風車「はまかぜちゃん」完成にこぎ着けたのである。ブレる事のない信念と、町民の強い結束力が結実したプロジェクトとして、今こそ見直して欲しい好事例だと痛感する。

鈴木さんに“カチッ”と充電をお願いした

鈴木さんに“カチッ”と充電をお願いした

鈴木さんとの再会を喜びながら挨拶を済ませると、役場のエントランスにプリウスPHVを停車して「はまかぜちゃん」がオホーツクの風で作った電気を分けていただいた。以前は簡素な佇まいの役場の建物だったと記憶していたが、現在は近代的で立派な庁舎に生まれ変わり、しっかりとしたアース付き3穴コンセントも完備していた。周りを見渡すと町並みも再開発を終えたばかりなのか、隅々まで整備が行き届き、10年前に見たプレハブ造りの多い印象とは大きく様変わりしていて、軽いカルチャーショックを覚えた。鈴木さんの話では、一次産業の振興策が順調に進み、とりわけ水産業が好調で、町には活気が溢れているとの事。長引く不況に喘ぐ町が多い中、風車建設を実現させた時と同じように、浜頓別を愛する住民全体が力を合わせて邁進する姿が形となって現れているに違いない。


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