遙か昔から日本中の森で受け継がれて来た、循環型林業を基本とした持続可能な森林は、安価な輸入材が流通し始めた50年前を境に放置されはじめ、再生が難しいほど荒廃が進んでしまった「放置林」が増え続けている。もちろん長い年月を経て、元来の植生に回帰していく森も多いが、その3割は崩壊の危険をはらみ、土砂災害のきっかけになる可能性が高いという。下川町では安斎町長自らが先頭に立って、植樹してから長い年月をかけて循環する森の将来を見据え、継続的に快適で暮らしやすい地球環境を維持するために日夜奮闘している。「おいでよ森林(もり)と人が輝く町しもかわ」のキャッチフレーズを掲げ、林業振興に積極的な自治体として全国的にも知られており、トヨタ自動車が始めた、ハイブリッドカーラインナップ(SAI、プリウス、プリウスα)での、エコ運転の成果をポイントとして蓄積し、植樹活動に寄与できるという新しい試み「ESPOポイントプログラム※」の植樹地「Gazooの森」を全国で初めて受け入れている。
次世代のクルマ「プリウスPHV」で「Gazooの森」を訪問したいとの申し出に、快く応じていただいた下川町建設林務課林業振興推進室長の三条さんを町庁舎に訪ねた。まずは安斎町長を表敬訪問。正面玄関横にあるコンセントから、プリウスPHVに“カチッ”とプラグインしていただき充電させてもらっている間、お話を伺う事ができた。
「北海道の中でも特に寒さが厳しいここ下川で、万が一停電が起こった場合、1〜2時間はどうにか我慢できるかも知れませんが、長引いた時の事を考えると不安は尽きませんね。現在の暖房機器は電気なしでは稼働できないものがほとんどですから。ペレット燃料のストーブも普及していますが、やはり電気が欠かせない。何とか早い時期に自前のエネルギーインフラを考えないといけない。浜頓別のように安定した風に恵まれた所は風車が有効でしょうが、開けた場所がない下川のそよ風ではままならないでしょう。いずれにしても小規模発電による自立が大切な時代になって来ているのかも知れません。」
森林に造詣が深い町長さんは、エネルギー問題にも強い関心をもっていて、電気を蓄えて運ぶことができるようになるプリウスPHVに興味が尽きない様子だった。森林維持のために途切れる事のない体制づくりに忙しい中、穏やかな笑顔で出迎えてくれた町長さん、貴重な時間を割いて頂いてありがとうございました。
三条さんの案内で植樹が始まっている「Gazooの森」を見せてもらうため、下川町のブロガーさん達もプリウスPHVに同乗していただいき、山道を登る事にした。「林道」と聞いて気負っていたが、一部未舗装区間があるものの良く整備された快適な道が続く、さすがは林業の町を謳うだけあって、要としての林道整備に余念がない。町庁舎をスタートして紅葉が美しい沢沿いのルートを15分ほど登っただろうか、森に覆われていた視界がパッと開け、臼状の山腹が見えてきた。
伐採した後の切り株を掘り起こして整地された斜面に、カラマツの赤ちゃんが行儀よく並び、陽の光を浴びてキラキラと輝いている。数十年後には立派な森へと姿を変えるだろうが、その間にも間伐や枝打ち、下草の刈り取りなど、多くの人の手が入ることで健全な森が維持できる事を忘れてはいけない。「Gazooの森」は森林がもたらす恩恵以外にも雇用を拡大させることにも繋がるのだ。
パッチワークのような紅葉が美しい手付かずの自然林と、しっかりと管理され健康美に溢れる林業の森が見事に調和した山々が、晩秋の夕陽に照らされて誇らしげにバックミラーに映り込む。「Gazooの森」は都市を走るハイブリッドカーと森を繋ぐ架け橋として、全国に拡大して欲しい試みだと実感しながらGazooMura下川町を後にした。
※ESPOポイントプログラムとは
エコドライブの運転結果をトヨタのテレマティクスサービスG-BOOKを通じてG-BOOKセンターに送信し、その情報をもとにエコドライブ度をポイント化してESPO画面に表示。パソコンやケータイ、ナビでエコドライブ履歴やランキングを比較・分析することができる。さらに獲得したポイントは、「Gazooの森」への植樹による環境保全活動に寄付できる。
詳しい内容はWebサイトで エコドライブしよう!
Music by DEPAPEPE
特定非営利活動法人「森の生活」
下川町でお会いした麻生さん達の森を守り育てる活動も注目です。
若い力で森林環境教育などを精力的に行ない森林に活力を与え続けています。
Filed under: ECO-MISSION2011,北海道
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