2011年 10月



10月 12日 2011

道央自動車道の終点まで走り275号線(頓別国道)をさらに北上すると、頓別川が蛇行しながらオホーツク海に注ぐ河口部でオホーツクラインに合流する。ここ浜頓別町一帯の平野部には、ラムサール条約に登録され多くの渡り鳥が越冬にやって来る「クッチャロ湖」を中心に三日月沼や水路が点在する湿原が広がり、太古の大自然を色濃く残している。晩秋を迎え、繁茂する草原が黄金色に輝く大パノラマの向こうには、5基の風車がオホーツク海を吹き抜ける風を捉えて、ゆったりと回っていた。

風車のシルエットが美しい夕暮れ

風車のシルエットが美しい夕暮れ

Team ACPはエコミッション2001@ジャパンで、町民の力で実現した風車「はまかぜちゃん」が建設されたばかりのここ、浜頓別町を訪れている。あれから10年が過ぎ、エネルギー問題が熱を帯びる今こそ「はまかぜちゃん」その後の姿を見てみたいと再訪することにした。この風力発電事業の発起人で、浜頓別町森林組合の代表理事を務める鈴木さんを町役場に訪れると、懐かしい笑顔で出迎えてくれ、10年前の記憶が一気に蘇ってきた。

「はまかぜちゃん」生みの親、鈴木芳孝さん

「はまかぜちゃん」生みの親、鈴木芳孝さん

「はまかぜちゃん」誕生の道のりは、鈴木さんを始めとする町民の勇気とパワーを感じるエピソードに溢れている。核廃棄物処分場誘致を推進したい行政と、それに反対する町民との衝突に端を発し、それならばエネルギーを自分たちの手で作り出そうと風力発電建設を町民に呼びかけた。鈴木さんが始めた活動は大きなウネリとなって町を包み、人口4.000人足らずの浜頓別町にあって、家計を預かる主婦層が中心の200人余りの町民が“身銭を切って”これに参加、地元企業の協賛もあって1億3千万円の巨費を捻出する。それでも足りない数千万円を工面するべく運営法人を設立し電力売却費を担保に融資を受けて、町民の夢とお金を集めて作った風車「はまかぜちゃん」完成にこぎ着けたのである。ブレる事のない信念と、町民の強い結束力が結実したプロジェクトとして、今こそ見直して欲しい好事例だと痛感する。

鈴木さんに“カチッ”と充電をお願いした

鈴木さんに“カチッ”と充電をお願いした

鈴木さんとの再会を喜びながら挨拶を済ませると、役場のエントランスにプリウスPHVを停車して「はまかぜちゃん」がオホーツクの風で作った電気を分けていただいた。以前は簡素な佇まいの役場の建物だったと記憶していたが、現在は近代的で立派な庁舎に生まれ変わり、しっかりとしたアース付き3穴コンセントも完備していた。周りを見渡すと町並みも再開発を終えたばかりなのか、隅々まで整備が行き届き、10年前に見たプレハブ造りの多い印象とは大きく様変わりしていて、軽いカルチャーショックを覚えた。鈴木さんの話では、一次産業の振興策が順調に進み、とりわけ水産業が好調で、町には活気が溢れているとの事。長引く不況に喘ぐ町が多い中、風車建設を実現させた時と同じように、浜頓別を愛する住民全体が力を合わせて邁進する姿が形となって現れているに違いない。


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10月 11日 2011

宗谷岬と網走を結ぶ「オホーツクライン」を南下し、夕陽に赤く染まりゆく雄大な景色を堪能しながら、今夜の宿泊先「枝幸町」を目指した。すでに晩秋の面持ちで、いかにも寒々とした浜には、遡上間近の鮭を狙って集まった太公望たちが無数の竿を振り出している。クルマを降りてしばらく眺めていると、半年ぶりに感じるキリリと引き締まった冷気に包まれ、北の最果てに冬が忍び寄る匂いを感じた。

頻繁に見かけるキタキツネの注意標識

頻繁に見かけるキタキツネの注意標識

海を見下ろすポロヌプリ山から吹き降ろす強風をステアリングに感じながら、10kmの長い直線区間を走り終えて右へカーブを切ったところで、“あっ!(あっ)” ナビシートの小川さんと声がシンクロした。キタキツネだ!
ふさふさした大きな尾っぽや、黒目がちのあどけない表情をはっきりと認識した次の瞬間、海岸側のガードレールの下へ潜り込んで消えた。一瞬の出来事だったが、もしもキタキツネが逃げ遅れたらと考えると冷や汗が出た。

札幌をスタートした後、新千歳空港経由で道央自動車を北上してオホーツク沿岸に来る道程には、キタキツネはもちろん、エゾジカ、ヒグマ、タヌキなど、北海道ならではのユニークな絵柄の「動物注意標識」が無数に立っている。初めて見かけたが「動物注意」の電飾サインをルーフに乗せたNEXCOの四駆をパスしたので、冬を前に食べ物を求めて出没する動物達と、頻繁に接触事故が起こる時期なのかも知れない。特に今年は森の食料が乏しく、札幌などの都市部にも頻繁にヒグマが出没しているというニュース報道があったばかり。道路状況などを表示する電光掲示板でも盛んに注意を呼びかけているので、動物相手の交通事故が多発しているのは容易に想像がつく。

「動物注意」を呼びかけるNEXCOの四駆

「動物注意」を呼びかけるNEXCOの四駆

何しろ広い北の大地では、となり町まで行く間に民家が途切れ、森林地帯を通過する事が多いため、本州とは比べものにならない程の高確率で動物に遭遇する。エゾジカやヒグマにヒットしてクルマが大破する話を良くに耳にするが、小動物が相手の場合、それを避けようとして反対車線に飛び出したり、ガードレールに衝突して大事故に繋がるケースが多いという。ともあれ動物標識を見かけたら、万が一の遭遇に備えて対向車や周囲の状況を把握してスピードは控えめに。特に夜間は動物達が活発に活動して道路を横断するので注意が必要だ。のんびりドライブで動物に遭える事を楽しむぐらいの余裕を持って走るのが北海道スタイルなのかも知れない。明日からの数日間は山間部へ出向く予定なので、十分に気をつけて旅を続けたいと思う。


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昨日のレポートで予告した通り、新千歳空港でカメラマンの茅原田隊員とHP担当の山口隊員のメンバー交代が完了し、4人体制の布陣で残りの日程に望む事になった。晩秋の北海道、紅葉の盛りを迎える東北の“今”を巡る旅は始まったばかりだ。

明日は市民の手で自然エネルギーを運営する浜頓別町の取り組みについてレポートする予定です。ご期待ください。


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10月 10日 2011

美しい夕日がチームを励ましているようだ

美しい夕日がチームを励ましているようだ

テレビに映る西日本の行楽地は晴天なのに、札幌は昼ごろから土砂降りになった。市内のロケハンを済ませホテルに帰ると晴れ間がのぞいたり不安定な空模様だ。

今夜から明朝にかけてチームのメンバーチェンジが始まる。

何しろ、北海道・東北編はスタートからつまずいていた。先発メンバーの一角を担う山口君が海外出張で参加できない。彼に一切をお願いしていたTeamのHPがアップできない事態が発生したのだ。数日前に添付されたマニュアルを片手に6回もHPの公開練習をするもことごとく失敗、不安を抱えたままカーフェリーは大洗港を出港した。悪いことは重なるもので、2台の車に4名がノーマル体制だが、参加者のスケジュール調整がつかず、クルマ2台に3名が分乗する、ナビ不在の体制で北海道に上陸した。最も重要なHPのアップをどうするのか、その苦境を救ってくれたのは、今年61歳を迎えた先発メンバーの小川博行さん。エコミッション参加3日前まで巨大モールの施工管理でメールを見る時間もなかった超多忙なヒト。当然、HP制作のマニュアルも見ていないし練習もしていないはずだ。その小川さんがホテルに着くと2台のパソコンを駆使して次々とマニュアルをクリアー。「大丈夫。アップできますよ」とほほ笑んだ、何とも頼もしい“高齢者”である。10年以上も一緒に世界を巡った茅原田カメラマンも写真の選別、HP指定サイズへの圧縮を手際よく処理してゆく。その明け方5:55分、初心者同士が見事にHPの公開に成功した。この時の達成感は思い出すたびにゾク!と感動する。その功労者の一人、茅原田カメラマンが仙台に帰郷する。代わりに福岡から水中遺跡カメラマン山本遊児さんが札幌に着いた。海外出張から休む間もなく、明朝WEB担当の山口君が千歳空港に降り立つ。ようやく4名フォーメーションが整い、PHVは日本列島最北のGazoomura下川まで340km北上だ。

「頼もしいチームメンバーたち」

東北へのメッセージフラッグ

東北へのメッセージフラッグ

TeamACPは、1979年「パリダカールラリー」参戦のために結成されたオフロードフリークのクラブです。2011年度JAF登録チーム員は、国際Cライセンス保持者15名を含む21名全員が国内A、B級ライセンスを所持するJAF加盟クラブです。つい数日前、ファラオラリーでクラス3位をゲットした寺田選手や俳優哀川翔さんのアジアンラリー挑戦のアシスタントを務めた山本選手、辻本選手もチームのヒーロー的存在です。2011年4月、グッドイヤーのCSR(企業貢献活動)の一環として日本最南端、沖縄のGazoomura本部をスタートしたPHVによる環境最前線を訪ねる「エコミッション@ジャパン」では、東北災害地に向けて応援メッセージを携え東北に届けます。この活動にも各所でチーム員が同行して撮影や情報収集、時には埼玉の「レスキュー出前隊」のように取材許可を用意するチーム員、走行コースに沿ってホテル予約する担当する者、ネタ探しでネットに張り付のチーム員、海外ラリーに挑戦するクラブ員を応援すると同時に、国内を走るエコミッションにも協力を惜しまない。TeamACPはそんなパワーに支えられた頼もしいチームです。

国内B級ライセンスを所持していればクラブ登録もかなうかも・・そして走行に参加も。詳細は、TeamACPの入会案内のページをみてね。


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