エコミッション北海道編のスタートは札幌予定だが、夕方発の大洗〜苫小牧航路の運行スケジュールで行くと予定より2日早く苫小牧港に到着する。札幌入りする前に小樽へ行こうということに・・・
実は学生時代にバイクで小樽を旅したとき、廃船が放置された運河は埋め立て工事をしていた。観光地としてまだ有名になる前のことだ。その綺麗になった小樽運河を見に行きたいと提案した。昔、港町として栄えていた小樽の運河が使われずに衰退しヘドロが堆積し不要の長物から今は運河沿いにある石造倉庫群が貴重な歴史的建造物で小樽の宝として北海道の一大観光地になったモデルケースの場所であるからだ。
小樽の駅前から海に向かっては、電線類が地中化された立派な大通りが走り、運河のたもとには石造倉庫群と都市景観賞を受けたホテルなどが建ち並びレトロな雰囲気を漂わせる素敵な街だ。小樽港は明治時代から開拓とともに栄えてきたが、小樽運河は大正3年に着工し9年の歳月をかけて大正12年に完成した。
そのころが繁栄の絶頂期である。この運河は内陸に水路を掘った運河ではなく沖合を埋め立てて陸との間に出来た水路なので「埋立て式運河」と呼ばれている。海上に停泊した船舶の貨物を艀(はしけ)に積み、その艀を運河に係留し倉庫へ人力で荷揚げをしていたそうだ。戦争後は樺太などとの交易がなくなったほか港湾の近代化が進んだため物流の拠点としても衰退していく。昭和40年代に入ると運河を埋め立てて道路にする方針が打ち出され、それに対し市民による運河の保存運動が何年にもわたりメディアで報道されて全国規模で高まる。半分の幅を残す妥協案が出されたが、全面保存派との意見が折り合わないまま工事に着手し昭和61年4月、現在の整備された小樽運河に生まれ変わったのだ。(小樽運河の歴史資料参考)
運河の長さは1.144m。そのうちの674mの部分の幅が半分埋め立てられて道路になり、北運河は昔のままで幅40mのまま残された。石造り倉庫群も店舗や博物館として生まれ変わり、ガス灯のゆらめくエキゾチックな遊歩道が完成すると評判を聞きつけた観光客がドッと押し寄せた。
まもなく近郊の山々では紅葉のシーズンを迎える季節となり週末の連休もあって、午前中の雨にもかかわらず運河に架かる浅草橋周辺は中国語や韓国語の華やいだ声に溢れていた。ガス灯は名画、イングリッット・バーグマン主演の「ガス燈」をモデルにしたとか。
人力車が行き交い、観光ルートを循環しているレトロ風のバスが埋め立てによってできた道路(臨港線)を走る。日が暮れるとガス灯がつき、石造倉庫群がライトアップされ、カップル達のデートコースになる。衰退する全国の行政や商工会が視察に訪れるなど、地域再生のモデル事業として、注目を集めるようになった。かつてヘドロで悪臭ただよう運河から素敵な観光地として賑わっていた。平成8年、国土交通省の「都市景観100選」を受賞。
いつかまた誰かとゆっくり来たいものだ。
カテゴリー: ECO-MISSION2011,北海道
トラックバック Uri
最近のコメント