数年前から自動車雑誌などに“クルマに興味を待たない若者が増えている”という記事が掲載されている。インターネットの普及が追い風となり、興味を向ける矛先が多様化しているのは事実だろうが、本当に若者達はクルマに魅力を感じなくなってしまったのだろうか。プリウスPHVで日本中を旅していると“新しいクルマ”に目を輝かせるたくさんの若者にも出会うし、ボクの近所の子供たちの多くが高校卒業前に教習所通いを始め、就職が決まればピカピカのクーペやコンパクトカーが納車されていたので「若者の自動車離れ」という実感が沸かないのだが、実際はどうなのだろう。
我々チームACPの仲間でエコミッションでも力を発揮している三角メンバーが若かりし頃、技術の習得に励んだ母校でもある「埼玉自動車大学校」を訪れ、将来の夢をクルマ業界へ向けた若者達に話を聞くことができた。
埼玉自動車大学校は広大なキャンパスに最先端の設備を導入した施設が建ち並び、新しい時代を担う最先端の技術者を養成する恵まれた環境が整っている。整備士をはじめ、カスタム、モータースポーツなどメーカーに囚われないクルマのスペシャリストを輩出する学び舎には、クルマ業界へ将来の夢を託す若者達が全国から集まってくる。
学校に到着すると一見強面だが情熱に溢れ、学生からの信頼も厚いという学生指導の清水先生が出迎えてくださった。休講日にも関わらず、エコミッション来校を知った学生達も揃ったところで、プリウスPHVの“プラグイン充電”をお披露目する。授業でハイブリッドカーやEVカーに触れる機会の多い彼らも、プラグインハイブリッドは初めて見るという事で、見つめる眼差しの真剣さはただものではない。すぐさま技術的な事や走行性能についての質問が飛び交う。
教材やコレクションとしてたくさんのクルマを所有している中で、東京大学自動車工学の教授もその出来栄えに驚いたという学生達の力作、プリウス(20系)のカットモデルがあるというので見せていただいた。中央部からスパッと鋭利な刃物で切り取られたような精巧な作りにメンバー全員が唸る。その工作過程は、バラバラににしたパーツをひとつずつ糸のこなど身近な工具で切り取り、面取りをした後で組み直したというから、もう、ただ驚くばかりだ。クルマの前にある操作ボタンを押すと、エンジンとモーターの切り替えが再現され、キチンと駆動する念の入れ用。こうした作業の積み重ねがしっかりとした技術習得に繋がっているのかと、あらためて実感させられた。
充電が完了したところで、次世代のクルマを学生たちに体験してもらおうと試乗会を行う事にした。一般発売前のクルマを運転できるとあって、それまで少し固い表情だった学生達に笑顔が溢れる。簡単な説明をした後、滑るように校内テストコースへ繰り出して行くプリウスPHVの走りに、順番待ちの学生達から「お〜静か、早いなぁ。」などの言葉が飛び出す。試乗後に感想を聞くと、力強さと静かさのギャップが楽しい、これまで知っているクルマのどれとも違う感じ、モーターのトルク感が良い、などクルマ業界を目指す学生ならではの言葉が印象的だった。中には、やっぱりエンジンの鼓動が聞こえないと、これって自動車ですか、などの意見もあったが、それも彼らがクルマを好きな証としての大切な言葉だろう。その後も時間を延長してクルマ談義に花が咲き、彼らのような若者がいる限り次世代のクルマ社会にも希望が持てると感じる事ができた。
自動車が発明されて100年余。レシプロエンジンの時代は大きく変わり、電気エネルギーが台頭しようとする時代のこの瞬間に立ち会える事を幸運に思う。これから先の10年で、クルマだけでなく暮らし全体がエネルギーの生産・活用手段を巡って、想像を超える程ドラマチックな変貌を遂げるだろう。次世代を担う若者たちが、正確な情報の元にそれぞれのスキルを習得し、自分たちが社会を創り上げて行くという自覚を持って進む事ができれば、現在の日本が直面しているエネルギー問題にも活路が開けるに違いない。若い学生達と触れ合い、そんな事を考える素敵な一日だった。
お世話になった埼玉自動車大学校の清水先生、松村先生、
良い体験ができました。ありがとうございます。
学生のみなさん、夢に向かってがんばってください。
心から応援しています。
カテゴリー: ECO-MISSION2011,関東
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