幹線道路を離れ、激しく蛇行する峠道に差し掛かると、樹々の隙間から見える空が暗雲に覆われ、今にも降り出しそうな空模様だ。「越中五箇山相倉集落」の案内板を見つけて左折、さらに深い森へ入りしばらく進んだ先に合掌造りの民家が建ち並ぶ集落が見えてきた。まるでお伽話に出てきそうな景観にしばらく言葉を失う。
集落の入口にある駐車場にプリウスPHVを停め、辺りを散策しようとクルマを降りた途端、バラバラと音を立てて大粒の雨が降ってきた。茅葺きの茶屋の軒先でしばし雨宿り。さらに激しさを増した雨が糸を引くように視界を遮り、ぼんやりと見える合掌造りの連なりが夢のように感じられる。15分程で空が明るく輝き出すと、水道の蛇口を閉じるようにピタリと雨が止み、ちぎれた雲のかけらが谷間に留まって、幻想的な風景に磨きがかかる。
麓からは集落があることすら気づかない程、深い山々に囲まれた「越中五箇山相倉集落」は、平家の落人が住み着いたと伝えられている。世界的にもトップランクの豪雪地帯である五箇山は60年程前までは長い冬の間、外界と完全に隔離された暮らしがあった。雪下ろしや屋根の葺き替え、薪集め、田植えや稲刈りなど、多くの作業を村人が協力しあうことで、人里はなれた暮らしが成り立ってきたという。エネルギーを地域で共有し有効活用しようとする“スマートグリッド”の精神が、この集落には数百年前から根付いていたのだ。薪や建築資材を“おらが村の財産”として共有してきた集落の精神に見習う時期に来ているのかも知れない。
「越中五箇山相倉集落」から10分ほど下った場所に、特産の和紙の魅力を紹介する施設「五箇山和紙の里」がある。トヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する“マチで暮らす人たちにムラでしか味わえない感動体験”をWebを通してナビゲートしようという、全国に58あるガズームラのひとつでもある五箇山で、昔ながらの和紙作りを体験できるというので、ガズームラサイトでブログを公開している「わしのさと」さんの案内で、こどもたちと一緒に参加することにした。何種類かある体験コースのうち、初めてでも簡単にできる「和紙のはがき作り」に挑戦。
木枠を揺すって漉いたあと、紅葉など天然の素材を漉き込んで水分を絞り、乾燥させて出来上がり。手作り感いっぱいのオリジナル和紙はがきに、参加した子供たちも大満足の様子。笑顔あふれる夏休みのひとときとなった。体験の最後には、参加された方々をはじめ、和紙作りの先生や同行取材してくれた地元テレビ局クルーの皆さんにも被災地へ届けるメッセージもいただき、素晴らしい時間を共有できた事に感謝しながら、五箇山を後にした。
■五箇山和紙の里
http://washi.city.nanto.toyama.jp/
■同行取材してくれたテレビ局様
・富山テレビ
・北日本放送
・チューリップテレビ
カテゴリー: ECO-MISSION2011,北陸
トラックバック Uri
最近のコメント