2011年 8月



8月 16日 2011

トヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する“マチで暮らす人たちにムラでしか味わえない感動体験”をWebを通してナビゲートしようという、全国に58あるガズームラのひとつ、能登半島最北端にある「GazooMura珠洲」を訪れた。2006年に惜しまれながら廃止された「のと鉄道能登線」に代わる交通の動脈として重要さを増す「珠洲道路」を終点まで走った先に、珠洲の名勝「見附島」が見えてきた。

ガズームラブロガーさんが運営する道の駅「すずなり」さんに立ち寄る

ガズームラブロガーさんが運営する道の駅「すずなり」さんに立ち寄る

ガスームラブログで珠洲の観光や田舎暮らしの情報を公開中の「奥能登体験観光珠洲PR隊」さんに珠洲の見所を教えていただこうと「道の駅すずなり」に立ち寄った。ここを運営する「NPO法人能登すずなり(珠洲市観光協会)」では、特産品の販売をはじめ、自然豊かな珠洲を満喫できる体験プログラムのコーディネートも行っている。

風車の見える田園に建つ七輪工場

風車の見える田園に建つ七輪工場

能登半島一帯は珪藻土と呼ばれる太古の藻が蓄積した化石地層からなっており、これを原料にした七輪などのコンロ製品が珠洲の特産品として生産されている。珠洲市郊外にある「能登燃焼器工業」さんでは珪藻土を粉砕せずに切り出した塊から、ノミを使った削り出し成形という世界的にもめずらしい技法でコンロを生産しているというので訪れることにした。

幹線道路を外れた谷間に広がる田園風景に溶けこむように、黒瓦とレンガの煙突が印象的な工場が建っている。あいにくお盆休みで生産はしていなかったが、舟場社長のご厚意で中を見せていただくことができた。珪藻土を切り出すために裏山にぽっかりと口を開けた坑道の入口からは天然の冷蔵庫のように、ひんやりとした冷気が霧となって吹きだしている。ここから切り出された珪藻土のブロックを何種類もあるノミを使い分けて削り出し、美しい造形のコンロ作品が生み出されていく。自然素材を使った失敗のきかない成形は、修練の積み重ねが成せる匠の技。この切り出しコンロは、使う喜びを味わえるのはもちろんだが、眺めているだけで豊かな気持ちにさせられる、まさに一生モノの風格ある逸品だ。

匠の技で珪藻土の塊が美しいコンロに生まれ変わる

匠の技で珪藻土の塊が美しいコンロに生まれ変わる

珠洲のもうひとつの特産品である塩は、500年前と変わらない「揚げ浜」という技法で作られており、海岸線に塩田が点在している。「奥能登塩田村」では、昔ながらの塩づくりを体験できるというので、参加するご家族2組の皆さんとご一緒させてもらった。テニスコート程の広さの固い塩田に海水と砂を撒き、太陽の熱で蒸発させながら塩分濃度を上げ、砂をかき集めて濃い塩水を作り、それを煮詰めて塩を取り出すという、言葉にすれば単純な作業だが、それぞれの工程でタイミングやコツが要るこれまた匠の世界。何よりも炎天下で重い砂や塩水の入った桶を担ぐ重労働を長時間続ける苦労は並大抵の事ではない。参加した子供たちも額に玉のような汗をかきながら、塩の大切さを実感したことだろう。

みんなで砂をかき集める

みんなで砂をかき集める

重労働の末、仕上がった塩を受け取って一口舐めてみると、角の取れた柔らかなしょっぱさに笑顔が溢れる。子供たちにも印象的な良い経験になると、体験希望者が増えて予約が取りにくい状況だというが、自然と向き合う労働の大変さ、食べ物に対する感謝の気持ちを実感できる、夏のユニークな思い出作りに、家族連れで参加してみてはいかがだろう。

GazooMura珠洲で訪れた場所

■珠洲市野々江町 道の駅「すずなり」
 www.notohantou.jp/

■珠洲市上戸町 能登燃焼器工業株式会社
 www.suzu.co.jp/notonensyouki/

■珠洲市清水町 奥能登塩田村
 www.okunoto-endenmura.jp/


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8月 15日 2011

能登有料道路を北へ向かうと、横田インターチェンジ辺りで杉林に覆われていた道路際の視界がぱっと開け、美しい田園風景が広がる。七尾市中島町を流れる熊木川中流域には、手入れの行き届いた田んぼを従えた立派な農家の建築群が建ち並んでいる。能登の家屋の代名詞ともなっているピカピカの黒瓦に板壁が特徴的で、近隣どうしで示し合わせたような統一感がある。穂が重みを増して垂れ始めた黄緑色の田んぼに黒瓦の引き締まった建物、遠くには風力発電の風車がゆっくりと回転し、用水路の脇には向日葵が植えられ、景観を一層引き立たせている。

七尾市中島町古江の田園風景

七尾市中島町古江の田園風景

社会や環境に適応しながら何世紀にも渡って発達し、形づくられてきた土地の利用、伝統的な農業とそれに関わって生まれた文化、景観や生物多様性に富み、世界的にも重要な地域を次世代に継承する事を目的とし、イタリア・ローマに拠点を持つ国連食糧農業機関(FAO)が創設した「世界農業遺産」に今年6月、能登の里山里海が認定されたという(先進国としては初「トキと共生する佐渡の里山」とともに認定)。幾代にも渡る持続的な農林水産業の継承によって育まれた素晴らしい景観と、その舞台で脈々と生きづく伝統的な技術、文化、祭礼などが高く評価されたもので、この地に足を運んで目の前に広がる景観をみれば当然の結果に誰もが共感できるだろう。

ひまわりも美しく咲く

ひまわりも美しく咲く

エコミッションで日本各地を巡っていると、目抜き通りには全国展開する大型チェーン店が軒を連ね、その地域が本来備えていたであろう伝統風景が失われている事に落胆することも多いのだが、こんな風景が点在する奥能登地方には、あらためて魅力を感じる。奥能登を訪れる機会があれば有名観光地だけでなく、何気ない農村に目を向けてみてはいかがだろう。田んぼを歩き、農家の建物を見てまわると、細かい所にまで手入れが行き届いた環境で、地に足のついた丁寧な暮らしが続けられている事に気づくのではないだろうか。

明日は能登半島最北端の町、珠洲の魅力をお届けします。
お楽しみに。


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8月 14日 2011

連日の猛暑で暖められた日本海から立ち昇る水蒸気が作り出した、見事な入道雲が群青の空に映える。金沢を出発し、その雲を目指すように海岸線を北上すると「千里浜なぎさドライブウェイ」の標識が見えてきた。

行く先には見事な積乱雲が

行く先には見事な積乱雲が

ここは世界でも珍しい海岸線を普通のクルマで走ることができる砂浜の全長8キロのドライブコース。湿気を含んだ砂の路面は固く引き締まって舗装路のように平滑な上に、ロードノイズを吸収してくれるので、もともと静かなプリウスPHVで走ると景色の方が後ろへ流れていくように感じる。潮風と心地よい波の音、雄大な日本海を眺めながら走る爽快感がたまらない。夏場は遠浅の砂浜を訪れる海水浴客が多いため、ロープが張られて通行帯が設けられているが、普段はただ砂の道が続くのみで、さらに快適なドライブが楽しめる。

潮風が心地よい「千里浜なぎさドライブウェイ」

潮風が心地よい「千里浜なぎさドライブウェイ」

「千里浜なぎさドライブウェイ」の砂浜は、波の侵食などでこの10年で約12メートルも侵食されており、このままのペースで侵食が進むと、20年後にはクルマが走ることが出来なくなるという。侵食原因は、ダム建設により川の上流から流れてくる土砂の供給が減ったためとも、地球温暖化による海水面の上昇など諸説あるようだが、近年「千里浜海岸保全対策検討委員会」が設立され、侵食を防ぐ対策を検討し始めている。世界中でアメリカフロリダ州とニュージーランド、そしてここ千里浜海岸の3ヵ所しかないと言われる希少な天然砂のドライブウェイがこの先も楽しめるように願いながら舗装路へと戻った。

輪島塗とふれあう「輪島工房長屋」で充電中

輪島塗とふれあう「輪島工房長屋」で充電中

日本グッドイヤーが社会貢献活動の一貫として行っている「エコキッズ」体験のため、輪島市を訪れた。MY箸を携帯する方も多いと思うが、手作りの箸をちょっと贅沢な「輪島塗」で作ろうという体験教室に、金沢から遊びに来てくれた子供たちと一緒に参加した。かつて漆職人が多く住んでいた場所に建てられたという「輪島工房長屋」は、輪島塗ができるまでの工程や、素晴らしい作品の数々が展示され、輪島塗を知るための施設として人気を集めている。箸つくり体験では絵付け技法の沈金と蒔絵でオリジナルデザインのMY箸を作る事にした。

真剣な表情で箸に蒔絵を施すこ子供たち

真剣な表情で箸に蒔絵を施すこ子供たち

はしゃいでいた子供たちだったが、箸作りが始まるとおしゃべりをやめて真剣な表情に変わり、すっかり輪島塗のとりこになったようだ。仕上げに金粉を振り掛けて出来上がった箸はどれも傑作揃い。蒔絵技法で作った箸は漆が固まるまでに湿気と温度管理をしながら一週間ほど掛かるため、ここへ預けて後で自宅へ配送してもらうのだが、届いたMY箸で食べ物に感謝しながらいただく食事は、さぞ美味しいに違いない。

素敵な箸が出来たね

素敵な箸が出来たね

石川県輪島市河井町にある「輪島工房長屋」のHPはこちら
http://ringisland.jp/nagaya/

参加してくれた子供たちとご父兄の皆様、「輪島工房長屋」の皆様
本日はありがとうございました。


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