2011年 8月



8月 10日 2011

長良川鉄道郡上八幡駅

長良川鉄道郡上八幡駅

長良川を遡ると支流の吉田川と落ち合う谷間に“水のまち”として知られる郡上八幡がある。奥美濃の小京都と呼ばれるだけあって、袖壁と紅殻格子の歴史的家屋が建ち並び、4万8千石の城下町の面影を色濃く残す美しい景観を誇る町並みでは、いたるところで水の流れる音が聞こえる。町を流れる4本の川(長良川、吉田川、小駄良川、乙姫川)は、それぞれの表情は違うが、豊富な水量と抜群の透明度で、吸い込まれるような魅力に溢れている。

この新橋から吉田川へ飛び込む

この新橋から吉田川へ飛び込む

夏の風物詩として橋の欄干から飛び込む少年たちの映像をテレビなどで見かけた方も多いだろうが、その舞台となるのが吉田川の深い淵に架かる「新橋」。川面までの高さは12メートルもあり、覗き込むだけで足が竦みそうになるが、ここからダイブするとは何とも豪快で頼もしい限りだ。もちろん危険はあるだろうが、自分達もそうして成長したと自負する大人たちが愛情を込めて見守る事で、絶える事なく続いて来た「新橋からの飛び込み」からは、川と共に暮す郡上八幡の人々の原点を垣間見ることができる。

郡上八幡のシンボル「宗祇水」

郡上八幡のシンボル「宗祇水」

圧迫感を感じるほどの山々がもたらす豊富な水が、この町の豊かな伝統文化を遙か昔から繋いで来た。江戸時代に城下の防火や生活用水を目的に巡らされた水路や湧水から「水舟」と呼ばれる3段の水槽に引きこまれ、現役で使われ続けている。上段は飲用水、次の舟で果物などを洗い、最後の舟で食器を洗って魚を放った池に流し込む。食器を洗って出る残飯などは、池に落とされて魚の餌となり、残りは土に沈殿して浄化された後に川へと流される。水と共に暮らして来た先人の知恵が集約された見事な浄化システムが受け継がれているのだ。

郡上おどりに参加した福島の子供たち

郡上おどりに参加した福島の子供たち

PTA連合会と行政、民間のボランティアが力を合わせ、東日本大震災で被災した子供たちを自然豊かな岐阜県に招き、地元の子供たちとの交流の場を作ろうという「児童生徒リフレッシュサマーキャンプ」が開催されるという。先日お世話になったGazooMura郡上明宝の方々も取り組みに参加しているというので同行させていただいた。宿泊先の下呂温泉からバスで到着した60名の子供たちに、郷土料理や流しそうめんが振舞われたあと、夏には一ヶ月間続く郡上八幡の顔とも言える「郡上おどり」に参加するための練習を行った。硬い表情だった子供たちもすっかり打ち解けて笑顔が溢れ出し、日が暮れていよいよ本番。新町通りの踊りの和に加わって郡上八幡の方々の大歓迎を受けながら、楽しそうにいつまでも踊り続けていた。辛い経験をした子供たちに少しでも明るい笑顔を取り戻してもらえた事に、関係者ならずとも嬉しいひとときとなった。


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8月 9日 2011

長良川をさらに上流へ向かい支流の吉田川源流部、飛騨高地の深い森に囲まれた郡上市明宝を訪れた。ここはトヨタ自動車運営サイトGAZOO.comが提案する、マチで暮らす人たちにムラでしか味わえない感動体験をWebを通してナビゲートしようという、全国に58あるガズームラに選ばれている。「GazooMura郡上明宝」では、ガズームラサイトで地元の魅力を発信しているブロガーさん達を中心に、豊かな自然を肌で感じる事ができる体験メニューを用意して、マチから遊びに来る人をもてなしている。

川のせせらぎが心地よい民宿しもだ

川のせせらぎが心地よい民宿しもだ

地元ブロガー“ねむり姫”さんが切り盛りする「民宿しもだ」へ宿泊することにした。川のせせらぎ、迫る山々にこだまする野鳥の声、ゆっくりと流れる時間。豊かな自然を満喫しながら明るい女将さんお手製の郷土料理に舌鼓を打つ贅沢なひとときを満喫させていただいた。

ヤマメ掴み体験へ

ヤマメ掴み体験へ

吉田川沿いをうねるように進む「せせらぎ街道」を登りつめた高原に「めいほうスキー場」がある。雪質の良さで知られるスキー場だが、オフシーズンの夏にもさまざまな自然体験イベントを開催し人気を集めている。地元ブロガー“JIKOMA”さんは「もりっこはうす めいこう高原自然体験センター」を主催し、マチから遊びに来た方々に明宝の自然を紹介している。今日も自然体験が開催されているというので、プログラムの一部を見せていただく事にした。渓谷でヤマメを捕まえて命をいただく意味を知ってもらったり、生地からこねてピザを作り、薪を割って火を扱う方法を教えながら石窯で焼いたりと、美しい風景の中で、参加した家族全員が楽しんでいる姿を垣間見る事ができた。

素晴らしい川遊び体験

素晴らしい川遊び体験

マチに住む子供たちが親元を離れて自然と遊ぶ「冒険キッズ」を主催している「郡上八幡・山と川の学校」三島校長先生もガズーブロガーのお一人で“みっしー校長”として、郡上明宝の魅力を発信している。吉田川が持つ「人間を育てる力」が、現代の子どもたちに大切な経験をさせてくれると確信し、自然と遊ぶ楽しさと責任を学ぶ機会を提供している。たった一人で参加する子供の中には、不安に耐え切れずに泣き出す子もいるというが、豊かな自然の中、共同生活で友達と過ごす時間の大切さや責任感を察知し、あっという間に自立心が芽生えて笑顔が溢れ出すという。水遊びに興じる子供たちの笑顔は、清流にも増して素晴らしく輝いていた。

めいこう高原自然体験センター「自然体験」

郡上八幡・山と川の学校「冒険キッズ」


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8月 8日 2011

清流長良川の船運による物資集散の拠点として繁栄してきた商業の町美濃には、かつての水運港の証として江戸時代に建てられた上有知灯台や商家屋敷が保存されている。古くから特選の和紙や生糸を中心とした経済活動で富を得た商家が屋敷を建立するうちに、通りから目に付く場所にある「うだつ」の豪華さを競うようになった。うだつとは本来、隣り合い連続して建てられている隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものだが、財力を誇示する装飾的な意味に重きが置かれるようになったのだ。

うだつの上がる町を行くプリウスPHV

うだつの上がる町を行くプリウスPHV

豪華な「うだつ」を上げるためには相当の出費が要ることから、裕福な家に限られていた。これが「うだつが上がらない」の語源と考えられている。重要伝統的建造物群保存地区として選定されている美濃町は、別名“うだつの上がる町並み”とも呼ばれ、江戸時代から残る屋敷が連なり、切妻屋根の両側には装飾を凝らした“うだつ”が誇らしげに突き出している。中には国の重要文化財に指定された建物もあるが、ほとんど全ての屋敷が和紙店や旅館、金融業、醸造業、塩問屋など現役の商家として使われ続けているのが素晴らしい。この歴史溢れる“うだつの上がる町並み”は、美濃商人の誇りとして、伝統や文化とともにいつまでも受け継がれていくに違いない。

旧今井家の水琴窟(日本の音風景100選)


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