かつての北九州市は、八幡製鉄所に代表される重化学工業地帯として日本経済の牽引役を果たしていた。高度経済成長期には、立ち上る排煙を“七色の煙”と称し、繁栄の象徴のように市歌にも唱われるほどの深刻な大気汚染と、林立した工場からの排水で洞海湾が“死の海”と化したため「公害の街」の汚名を記せられる事になる。1970年代に全国各地で起きていた公害問題を取り締まる法案が可決すると、北九州市でも官民一体で公害を克服するための取組みが本格化し、積極的な取組みが目覚ましい成果を見せ、青空と魚の棲む海を取り戻す事ができた。公害克服の過程で得られたノウハウをベースに、持続可能な自然エネルギーを取り入れた次世代の「循環共生まちづくり」が進められている。
次世代スマートコミュニティとして生まれかわろうとしている八幡東田地区の広大な工場跡地の一角にある「北九州市環境ミュージム」を訪ねた。この施設は、公害を克服してきた北九州の歴史や、すぐに実践できる身近なエコライフを、インタープリター(展示解説員)のきめ細かい解説を受けながら学ぶ環境学習施設。一般の入場者以外にも、九州や西日本の学校が体験学習に利用しており、今日も島根県から小学生の団体が訪れていた。
館長の諸藤さんの解説を受けながら展示物を見せていただいたが、その解りやすさと手作り感に好感が持てる。特に、“すぐにでも実践できる”というコンセプトのもと、細部に渡って構成された展示内容は、小学生から大人まで幅広く受け入れられるもので、ここを訪れた事がきっかけとなり、普段の生活に取り入れる方も多いのではと思った。
環境ミュージアムに隣接する「エコハウス」にプリウスPHVを停め、事務局長の関さんに“電気くださ〜い”と充電をお願いした。風力、太陽光、排出水素による燃料電池など、最先端の持続可能エネルギーが、プリウスPHVへ充電されて行くのが感慨深い。今後も「世界の環境首都」として牽引役を果たそうとしている北九州市の取り組みに注目して行きたい。
カテゴリー: ECO-MISSION2011,九州
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