エコミッション本編では取り上げられなかった「こぼれ話」を掲載しています。
7億年前、地球上には唯一の大陸「ロディニア」があるだけだった。マントルの活動で大陸の分裂が進み、やがて今の日本列島を含む「ゴンドワナ大陸」が誕生した。現在のロシア最北から南極大陸に及ぶ広大な大陸だ。ゴンドワナ大陸が冷えて安定期を向かえた5億年前、「カンブリア爆発」と呼ばれる生物の多様化が起こり、魚類の先祖「肺魚」や両生類など、現代に繋がる生物のほとんどが出現したと言われている。
茨城県北ジオパークは世界的にもめずらしい、地層の一部が逆転した「スランプ構造帯」が地表に露出している場所。わずか50km四方に5億4200万年前〜現代までの地層を見て回る事ができるとあって、古生物学や地学に興味がある方にとって垂涎の聖地なのだ。化石の代名詞「アンモナイト」が現れる1億年も前の世界に思いを馳せながら茨城県を旅するのも一興、今回は白亜紀(7,500万年前〜)の地層が海岸に露出し、翼竜やモササウルスなど恐竜の化石が発見された「平磯海岸ジオサイト」を訪れた。
プリウスPHVを海岸線の道沿いに停め、ガードレール下に広がる磯場へ降りてみた。まるで舗装道路が大洪水か何かで崩れ落ちたように海面からそそり立つ異様な光景が広がる。ジオパークのサインボード数枚が建っているものの、気にとめる人の姿もなく閑散としている。ここが白亜紀の地層だというバックボーンを知る僕たちだけが感慨に耽ってじっと海岸を見つめるという何とも寂しい顛末に、本編では取り上げられなかった。
潮溜まりに取り残された小魚を捕まえようと、一生懸命にアミを振る親子連れがはしゃぐ声を聞きながら太古のロマン溢れる平磯海岸を後にした。見るからに“太古のロマン”という訳には行かないが、古生物に興味をお持ちの方には魅力的な場所だろう。付近には「大洗水族館」や椿並木がすばらしい「酒列磯前神社」、鹿島灘を見下ろす「大洗磯前神社」などの見所や那珂湊の新鮮魚介類を堪能できるお店もたくさんあるので、訪れて見てはいかがだろうか。
カテゴリー: ECOMISSION2013,こぼれ話,茨城県
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