漆喰壁の古い町並みが続く「美観地区」を散策していた。倉敷の町を一望できる阿智神社を参拝した後、長い石段を下って本通り商店街に差し掛かった時である、タッタッタッと軽快なリズムの足音が背後に近づいてくる。振り向くと一台の人力車がすぐ間近まで迫っている。思わず半歩左に避けると、 “ありがとうございます!” と笑顔でお礼を告げながら、スッと進路を変えてあっという間に通り過ぎて行ってしまった。人力車を牽いていたのは、なんと若いお嬢さん。その軽快な身のこなしと、爽やかな笑顔にすっかり魅了され、この「リキシャレディー」探しを始めた。
天領時代の美しい町並みが保存された「美観地区」は倉敷観光の目玉として人気のスポットだ。休日ともなれば、倉敷川沿いの町並みを中心に、多くの観光客で賑わいを見せる。この辺りは自動車の乗り入れが規制されるなど、美観を保つためのさまざまな配慮がなされている。この区間を中心に活躍しているのが、CO2も排ガスも出さないクリーンな乗り物、人力車。広い町内を丁寧な解説付きで楽に見て回れるとあって、なかなかの人気だ。
一方、本通り商店街は飲食店や酒屋、裁縫店、工芸品店などが軒を連ねた生活道路として、観光客と地元で商売をしている人たちが交わる事ができる庶民的な雰囲気がある。もちろん普通の町と変わらず、クルマでの走行もできる。これまでにも全国各地の古い町並みを訪ねてきたが、伝統的な町の風景と意外にマッチするプリウスPHVを、ここ倉敷でも走らせて見た。
人力車を求めて町中を走り回るが、なかなか見つける事ができない。そこで歩いて美観地区の中心へ向かうと、倉敷川の中橋のたもとに人力車が待機する場所があった。牽き手の男性に声を掛けて「リキシャレディー」の事を訪ねてみた。
「その娘なら、うちのスタッフですよ。今はお客さんを案内している所ですが、もうすぐ戻って来ます。」
そう答えてくれたのは、「えびす屋倉敷」店長の島戸さん。やがて通りの向こうから鯔背な姿がこちらへ向かって走ってくるのが見える。そして2度目の対面。やはり彼女はクリーンな乗り物「リキシャ」の牽き手にぴったりの方だった。
「リキシャレディー」が往く、美しい倉敷の町並みをフォトギャラリーでお楽しみいただきたい。
倉敷に住む中野 慈(めぐみ)さんは、人力車を牽きはじめてまだ半年余りの新人「リキシャレディー」。前職が全国の観光地を飛び回っていたツアーコンダクターだった事もあってか、お客さんのお相手はベテラン顔負け。颯爽と町を走る姿もバッチリ決まっている。それでも、まだまだ新米だと語る中野さんは、これからも倉敷のニューフェイスとしてお客さんを笑顔にしていく事だろう。がんばれ「リキシャレディー」。
倉敷美観地区の人力車レディー
カテゴリー: ECOMISSION2013,岡山県
トラックバック Uri