9月 26日 2013

2年ぶりの「ちよだ製作所」に到着。後ろに鎮座するのは製作中のトンネル防水施工機械

今年2月、ニュースサイトに掲載された記事のタイトルが目に止まった。

「うどんで発電!廃棄物からメタンガスを発生させて燃焼」

“あっ、池津社長だ!” こんな言葉が脊髄反射のように思わず口をついて出た。

2年前のエコミッションで、高松のちよだ製作所を訪ねた時に、この先のビジョンとして社長が話していた発電システムがついに稼働したのかと、記事を読むまでもなく一瞬で悟った。

あれから半年が過ぎ、今回の旅「エコミッション@瀬戸内」が決まった時、あたりまえのように「ちよだ製作所」が訪問先として候補に上がったのは言うまでもない。

高松市郊外の田園風景に囲まれた「ちよだ製作所」。目新しいグリーンのタンクが見える。

高松市郊外の田園風景に囲まれた「ちよだ製作所」を2年ぶりに訪問した。見覚えのある角を曲がると、太陽を自動追尾するソーラーパネルがあの日と同じように律儀に発電しているのが見えて来た。事務所の前にプリウスPHVを停めると、敷地の真ん中に、鮮やかなブルーのトンネルが鎮座し、本業である産業工作機械の製作が行われている。その大きさに圧倒されながら見上げていると、なつかしい池津社長が事務所から出て来てくれた。

うどんのエネルギー循環を目指した創成期

香川県観光協会は、我々が訪問した直後の2011年10月に「うどん県」宣言をして大々的にPR活動に乗り出した。全国随一のうどん生産量を誇る華々しさの陰で、裁断カスや余剰生産分として廃棄処分されるうどんは年間1,500トンを超える。

これに着目し、2007年から環境先進国スウェーデンのバイオメタンガスインフラを調査・研究し、廃棄うどんを原料としたバイオガス発酵設備、バイオエタノール精製プラントなど、再生可能エネルギーの開発をスタートさせたのである。

こちらが2年前に見せてもらった創成期の1号機。

少し大きく本格的になった2号機。

2年前とは比べ物にならない程進化したバイオエタノール精製プラント。

プラスチックやゴムから油を精製するプラント。廃うどんなどから作られたバイオエタノール燃料で稼働させている。

バイオエタノールからバイオガスへ

目覚ましい進化を遂げたバイオエタノール精製プラントだが、出来上がったバイオエタノールは燃料としての汎用性に乏しく、現在は敷地内に併設されたプラスチックやゴムから油を精製するプラントで使用するのみ。そこで、直接発電できるバイオガス発生装置の本格的な開発に乗り出した。

2年前にも丁寧に案内していただいた、技術開発担当の尾嵜さんに本格稼働を始めたばかりのバイオガス発電プラントを見せていただいた。

「廃棄うどんや生ゴミなどを酵母のチカラで発酵させてメタンガスを発生させ、それを燃やして電気を作る。バイオガス発電の原理は単純なものです。それを手間が掛からないように自動運転にしたものがこの施設ですよ。」

尾嵜さんは自信に満ちた口調で続ける。

「この発酵タンクで発生するメタンガスを燃やして、約60世帯分の電気を作る事ができます。しかも風力や太陽光と違って、24時間安定供給できるんですよ。」

たった2年でこれだけのエネルギー施設を作り上げてしまう「ちよだ製作所」の技術力と情熱には、ただただ感服するばかりだ。8月から四国電力への売電もはじまり、年間600万円を超える収益が見込まれているという。

このエネルギー施設は、先日マスメディアに取り上げられた事もあり、見学希望者が増えている。そこで、多くの方に詳細を知ってもらうために、一部の外装材を外して見やすくしたり、タンク内を観察できる“覗き窓”などを取り付けるなど、売り込みにも積極的だ。このプラントをパッケージとして、建設から請け負う商品化もスタートしたというから、この勢いは加速するばかりである。

廃うどんをはじめ、生ゴミや家畜のし尿などを、発酵に最適な状態にするための前処理を行う水処理装置。

酵母の働きによりメタンガスを発生させる発酵タンク。直径10m×高さ9mのコンパクトなサイズながら、一般家庭約60軒分の発電に必要なメタンガス燃料を安定供給できる。

メタンガスに含まれる水分などを取り除く装置(左のパイプ)と、発電ユニット(奥のボックス内)。

発電ユニットはメタンガスを燃やして水を加熱し、発生した水蒸気でタービンを回して発電する。その際に作られるお湯を、発酵タンクの外周に巡らされているパイプに送って循環させ、発酵に最適な温度を保っている。まったく無駄の無い合理的な保温システムだ。

発酵から発電までを総合的にコントロールする操作パネル。基本的に全ての装置がオートパイロットで稼働しており、監視のみを行うという手間要らずのシステムを実現させている。

タンク内の様子を観察できる“窓”。機能的には不要なものだが、このメタンガス発電を見学に来る人(ボクたちのような)が覗き込めるように設置したという。

この階段も見学者用に敷設したもので、発電システムを売り込むための戦略的な意味を持つ。

池津社長はプリウスオーナーで、プリウスPHVにも興味津々なご様子。そこで、ヴィークルパワーコネクタを装着して、LED照明を点けたり、シャボン玉マシンを動かして見せると、

「お〜い、ちょっとみんな、このクルマ見においでよ。」

と事務所に向かって声を掛け、社員のみなさんと一緒に楽しんでくれた。

「災害時にも安心だし、キャンプにも使えるねえ、これはいい。後すこし早く来てくれていたら、このクルマを買ったのにな。この間、新型SAIのGセレクションをオーダーしたばかりだよ。」

やさしい笑顔を浮かべながらも、ちょっと残念そうに池津社長が言った。

プリウスPHVの給電機能を見てもらった。“もう少し早く見ていたら、買ってたよコレ”とは池津社長。先日新型SAIをオーダーしたばかりだという。

最後に応接室におじゃましてお茶をご馳走になりながらの談笑を楽しんでいると、池津社長の魅力的な人柄についつい引込まれて長居をしてしまう。

「どんなに良さそうな事でも、ヒトがやり始めた事からは手を引きます。いつも新しい事に挑戦して行きたいと思っているんですよ。」

エネルギーの未来を見つめ、明確なビジョンを持った池津社長率いる「ちよだ製作所」の躍進は続く。

エネルギー時代の到来を早くから予測し、本業で培った技術と創意工夫で発電プラントを作り上げた池津社長。決して驕ることなく、淡々とした語り口がカッコイイ!

2年前に訪問した時のレポートも合わせて読んでみてください。
エコミッション2011 「讃岐うどんのエネルギー循環を目指して」

池津社長、尾嵜さんはじめ「ちよだ製作所」のみなさん。
多忙な仕事の手を休めてお付き合いいただきありがとうございました。
これからも「新エネルギーへの挑戦」を応援して行きます。

「うどん発電」ちよだ製作所



カテゴリー: ECOMISSION2013,エネルギー,香川県

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