新たに発生した台風の影響だろうか。時折、激しい雨が窓を叩く荒天の朝を向かえた。3日間滞在した瀬戸内海沿岸を離れて中国山地を越え、日本海側へ移動するため、手早く荷物をクルマに詰め込んで宿泊先を後にした。
東洋一の規模を誇る秋芳洞
山口県の中国山地と聞いて「秋芳台」が真っ先に思い浮かび、少しだけ回り道をして立ち寄ることにした。秋芳台周辺は、高原の草地に石灰岩が無数に露出する、特異な風景でおなじみの場所だ。このカルスト台地の直下に広がる鍾乳洞群の中でも、東洋一の規模を誇る「秋芳洞」の見学に訪れた方も多いのではないだろうか。
秋芳洞の総延長は10km以上もあり、そのうち1kmが観光洞として整備され、一般に公開されている。最も広い主洞は高さ40m(最大80m)、長さ200mにも及ぶ。国内の多くの鍾乳洞が天然記念物に指定されているが、 秋芳洞だけが唯一「特別天然記念物」に指定され、文化財保護法によって保護されている。
神秘的な美しさに見とれる
本来ならば、危険を伴なう「ケイビング」によってしか見る事が出来なかった地下200mの世界を、誰もが安全に見る事ができる。変化に富んだ造形の鍾乳石を避けるように散策路が整備され、車いすの方でも介護者が同伴すれば1/3を見て回る事ができる。もちろん照明も設置され、美しい鍾乳石を存分に鑑賞することができる。
LED照明が救う地底の環境
この照明が思わぬ弊害を生む事となる。光を好む苔類が繁茂して鍾乳石を緑色に染め上げていったのである。さらに光を浴びた鍾乳石の温度上昇が拍車をかけ、洞内全体が苔の世界に変わりつつあったという。光量を落としたり、定期的に清掃したりと対策してきたが、根本的な解決には至らなかった。
数年前、苔類が好まない波長のLED照明に変える実証実験が行われ、かなりの効果が示された事から、全ての照明がLEDに取り替えられた。今も照明器機に近い場所には僅かに繁殖が見られるものの、以前のように、鍾乳石全体を覆い尽くす程の状態からは脱却したという。秋芳洞の苔対策の成果は全国の観光鍾乳洞にも波及してきており、地下世界のLED化が進んでいる。
■Googleマップで秋芳洞を散策してみよう。
http://www.google.co.jp/intl/ja/help/maps/streetview/gallery/cave/akiyoshido.html
秋芳台カルストロードを走るプリウスPHV
カテゴリー: ECOMISSION2013,山口県
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