6月 30日 2013

大谷の奇石群御止山に到着

大谷の奇石群御止山に到着

アメリカが生んだ20世紀最高の建築家フランク・ロイド・ライトは、モダニズムと有機的な建築の理想を追及し続け、90年の生涯に400を超える建築物を世界中に残した。日本にも数点の作品があるが、中でもマヤ文明の遺跡を彷彿とさせる意匠が特徴的な「旧帝国ホテル・ライト館」が有名で、ライトが魅了されたという「大谷石」が随所に使われている。特産地である宇都宮市大谷町を訪ね、柔らかく、どこか“和の美”を放つ大谷石の魅力に触れる。

明治村に移築された旧帝国ホテルライト館の玄関

明治村に移築された旧帝国ホテルライト館の玄関

江戸時代から石工が削り出した地下空間

江戸時代から建築材料として全国に広まった大谷石。特産地である宇都宮市内には、大谷石を使った塀や蔵、モニュメントなどが数多く見られ、地域の景観を象徴づけている。

大谷石の蔵が沢山建っている

大谷石の蔵が沢山建っている

風化して丸みを帯びた岩山が点在する大谷町にある「大谷資料館」は、採掘跡に広がる地下巨大空間を見る事ができる人気のスポットだったが、東日本大震災以降、崩落の危険があるという事で閉鎖されていた。先日、ようやく安全が確認されて再公開されているというので、先人達が掘り進んだ“巨大な穴”を見る事にした。

地下世界へと向かう大谷資料館

地下世界へと向かう大谷資料館

古代遺跡のように荘厳な地下世界

階段の先に真っ暗に口を開けた先からは、冷たい風が吹き上がってくる。地下の気温はなんと9度。蒸し暑かった外との気温差に震えながら、踊り場の角を曲がった途端、地下巨大空間が目の前に広がる。思わず上げた“お〜っ”という声が、幾重にも共鳴して自分の元へ帰ってくる。これほど巨大な空間が出来上がるまでに、いったいどれだけの石を切り出したのだろうか。ポツリポツリと白熱電球の赤みがかった照明が点在し、どこか異国の集落を見下ろした夜景を思わせる幻想的な光景は一見の価値がある。

恐ろしく巨大な地下空間が広がる

恐ろしく巨大な地下空間が広がる

この場所のように採掘されなくなった坑道は、コンサートや歌劇の公演、アート作品の展示、映画やCM撮影に使われているほか、一定の温度・湿度が保たれている事から、ワインや日本酒の貯蔵、発酵食品の熟成場所などに再利用されている。また最近では大谷石の特徴でもある、柔らかく加工しやすい事や無数に空いた「ミソ」と呼ばれる小穴が生む“和”の印象が再評価され、建築資材のみならず、照明などのインテリアやオブジェにも用途が広がり、海外へも輸出されているという。廉価石材として全国の塀に見られた大谷石だが、コンクリートブロックには決して真似の出来ない柔らかな温もりを感じる風合いが、ますます好きになる訪問となった。

大谷石旧採掘場の地下巨大空間



カテゴリー: ECOMISSION2013,栃木県

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